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第3章 レベルってゲームですか?
第40話 弟子が現れた
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「え、えーっと、いらっしゃいませー……」
「……」
俺は、すぐ様笑顔を浮かべて接客をする。
しかし、その女性は真顔で自分の黒髪を耳に掛かると、何処か蔑んだ様な目で此方を見つめて来る。
「こ、此方の席にどうぞー?」
「……」
俺は笑顔でカウンターの席を薦めるが、その女性は何も反応を見せず、俺をジッと見てくる。
す、凄く気まずいんですけど? 勘違いした上に、俺の接客にこの態度……流石に泣けて来るね!
俺が心の中で涙を流していると、背後から救世主が現れる。
「哲平さん……何入り口で突っ立って……っ! いらっしゃいませ! ご来店ありがとうございます! おひとり様でしょうか?」
俺の陰で隠れて見えなかったのか、急いで取り繕った笑顔を見せる比奈。
だがそれではもう遅い! ふっふっふっ、比奈も俺と同じ気持ちになるんだなっ!
そんな事を思いながら、俺は2人の様子を伺う。
「…………あぁ」
「!」
「それでは此方のカウンター席にどうぞ」
「ありがとう」
女性は比奈の誘導のまま、大人しく席に着いた……これが比奈……コミュ力お化けという事なのか……。
俺は驚きに打ちひしがれながらも、大人しくメニュー表を差し出す。
「ご注文お決まりになりましたら、お呼びく
「右京 天峯を出せ」
お客さんは、俺の言葉を遮って言った。
はぁ? 右京さんを出せだと?
「……此方メニュー表になりますねー。メニュー以外の物は注文しないで下さいねー」
「誤魔化しても無駄だ。此処に入り浸ってる事は調査済みだ」
……本当に何を言ってるんだか。此処はそういうお店ではない。
「あのー……すみません。右京さんと言う方がもし此処に来ていたとしても、個人情報になるので何もお教えする事はありませんよ?」
「私はあの人の弟子だぞ?」
「弟子であろうとですよ」
ったく。最近の若者は押しが強くて困る。
SNSに拡散するぞ、オラァ。
「まずは注文でもされてはどうですか?」
イライラしてきた感情を抑える俺と変わって、比奈がメニュー表をもう一度差し出す。
「ふん、此処の料理なんてたかが知れてるのにか? それなら金をドブに捨てた方がマシだ」
女性は、そのメニュー表を叩き落とす。
おいおい、良い加減に……
「そんな事ないもん!!」
そんな時、店の入り口から眉を吊り上げてメマが入って来る。
「ここのおりょうりは、ぜんぶおいしいもん!! おとーちゃんはすごいんだもん!!」
「め、メマ……」
嘘でもそんな事を言って貰えるのは父親…? で良いんだよな? なんか嬉しいものがあるぞ!
「そんなの、貴女にとってだろ? 私の凄い物は師匠のだけだ」
しかし、女性は目を細めて冷たく言い放つ。
何なんだこの人は……さっきから右京さんの事ばっかだ。自分の事を弟子って言ってるし……ちょっと連絡してみるか?
そんな事を考えているとーー。
「今日は来たわよ!」
右京さんが、メマの背後から笑顔で現れる。
ステータスボードの一件以来来てなかったが、来たという事は源さんに勧められてステータスボードを開いてみたのかな?
「師匠!!」
顎に手を当て考えていると、女性は右京さんの元へと駆け寄った。それに右京さんは目を細めて迎える。
「……凪……何故貴女が此処に?」
知り合いだったのか……でも何でそんな冷たい感じなんですかね?
「師匠がお出掛けから帰って来られないので、お出迎えに参りました」
「……私はそんな事頼んだ覚えはないし、颯太には旅館を頼むと言って来た筈。もう一度聞くけど、何で居るの?」
おぉ………凄く不機嫌そうだ。
「師匠が心配で」
「は? 私を心配? 心配する前に貴女は自分の料理の腕の心配をした方が良いわよ? このままじゃいつまで経っても私には敵わないわよ?」
「師匠に勝とうなんて、私には一生掛かっても無理でしょう」
「………そ。哲平さん、私にいつもの」
そう言って、右京さんはカウンター席に座った。
「あ、あぁ。枝豆と牛乳だな」
「師匠! 此処でお食事をなされるのですか!?」
あぁ……もうキャンキャンと……。
「何? 貴女が私の食べる物に口出しをするの?」
「そ、そういう訳ではありませんが……態々師匠がこんな所で食べなくても……」
「凪……貴女は一度外に出てなさい」
「なんで
「早く」
「……はい」
凪、という女性は眉尻を下げ、店の外へと出て行く。途中に俺の方を睨みをきかせるのも忘れない……何なの、本当に……。
凪さんが出て行くと、右京さんは大きく溜息を吐いた。
「哲平さん、ウチの弟子がごめんなさい。気分が悪いわよね」
「あー……いや、良いんです。いずれは、ああ言うお客さんを相手にする時もあるでしょうから。それより弟子って……?」
「私の旅館の下で働く、料理修行中の者達の事よ。あの子は百何人といる弟子の中でも、一番出来る子なんだけど……私を異常に崇拝し過ぎなのが傷なのよ……」
玉に瑕とかじゃないんだ。傷なんだ。
「でも、一番出来る子なんですよね?」
それに比奈が反応する。
「まぁ、そうなのだけど……あの子が一番だとダメなのよ」
「ダメ?」
「さっきの話を聞いてたでしょ? 私の事を崇拝してるって。だから私以上の料理人になる向上心がないの。それだと後々の『桜花』の事を考えると……」
あぁ。心配になるよなぁ。右京さんは源さんと同じ79歳。ハッキリ言えば老い先は短い人生だと言えるだろう。未来の事を考えれば、後進が育たっていないのは心配なのだろう。
「それに私は、私より美味しい料理を作る者と出会いたい。自分の腕を、向上させる為に」
そう言って、右京さんは口角を上げた。
それは今までにない程に、綺麗で、獰猛な笑みだった。
俺はそれに自然と少し体を引きながらも見ていると、右京さんは「あっ」と思い出したかの様に拳を掌に当てた。
「実は今日もお願いがあって来たのよ」
「へ? お願い、ですか?」
「えぇ、前々から考えていたのだけど、凪が来て決心がついたわ」
目を閉じていた右京さんは、カッと目を見開いた。
「此処に『桜花』の弟子達を数人連れて来たいの」
「弟子、をですか?」
「このままだと『桜花』は何もなく衰えて行くだけ。それなら少しの挑戦もありかなって思ったのよ。どうかしら?」
まぁ………それぐらいなら、何とか良いかな?
「キャーッ!!?」
そんな事を思っていると、外から悲鳴が聞こえて来る。
「い、今の声って!」
「な、凪!!!」
俺、右京さん、比奈、メマは急いで店の裏側へと向かうのだった。
「……」
俺は、すぐ様笑顔を浮かべて接客をする。
しかし、その女性は真顔で自分の黒髪を耳に掛かると、何処か蔑んだ様な目で此方を見つめて来る。
「こ、此方の席にどうぞー?」
「……」
俺は笑顔でカウンターの席を薦めるが、その女性は何も反応を見せず、俺をジッと見てくる。
す、凄く気まずいんですけど? 勘違いした上に、俺の接客にこの態度……流石に泣けて来るね!
俺が心の中で涙を流していると、背後から救世主が現れる。
「哲平さん……何入り口で突っ立って……っ! いらっしゃいませ! ご来店ありがとうございます! おひとり様でしょうか?」
俺の陰で隠れて見えなかったのか、急いで取り繕った笑顔を見せる比奈。
だがそれではもう遅い! ふっふっふっ、比奈も俺と同じ気持ちになるんだなっ!
そんな事を思いながら、俺は2人の様子を伺う。
「…………あぁ」
「!」
「それでは此方のカウンター席にどうぞ」
「ありがとう」
女性は比奈の誘導のまま、大人しく席に着いた……これが比奈……コミュ力お化けという事なのか……。
俺は驚きに打ちひしがれながらも、大人しくメニュー表を差し出す。
「ご注文お決まりになりましたら、お呼びく
「右京 天峯を出せ」
お客さんは、俺の言葉を遮って言った。
はぁ? 右京さんを出せだと?
「……此方メニュー表になりますねー。メニュー以外の物は注文しないで下さいねー」
「誤魔化しても無駄だ。此処に入り浸ってる事は調査済みだ」
……本当に何を言ってるんだか。此処はそういうお店ではない。
「あのー……すみません。右京さんと言う方がもし此処に来ていたとしても、個人情報になるので何もお教えする事はありませんよ?」
「私はあの人の弟子だぞ?」
「弟子であろうとですよ」
ったく。最近の若者は押しが強くて困る。
SNSに拡散するぞ、オラァ。
「まずは注文でもされてはどうですか?」
イライラしてきた感情を抑える俺と変わって、比奈がメニュー表をもう一度差し出す。
「ふん、此処の料理なんてたかが知れてるのにか? それなら金をドブに捨てた方がマシだ」
女性は、そのメニュー表を叩き落とす。
おいおい、良い加減に……
「そんな事ないもん!!」
そんな時、店の入り口から眉を吊り上げてメマが入って来る。
「ここのおりょうりは、ぜんぶおいしいもん!! おとーちゃんはすごいんだもん!!」
「め、メマ……」
嘘でもそんな事を言って貰えるのは父親…? で良いんだよな? なんか嬉しいものがあるぞ!
「そんなの、貴女にとってだろ? 私の凄い物は師匠のだけだ」
しかし、女性は目を細めて冷たく言い放つ。
何なんだこの人は……さっきから右京さんの事ばっかだ。自分の事を弟子って言ってるし……ちょっと連絡してみるか?
そんな事を考えているとーー。
「今日は来たわよ!」
右京さんが、メマの背後から笑顔で現れる。
ステータスボードの一件以来来てなかったが、来たという事は源さんに勧められてステータスボードを開いてみたのかな?
「師匠!!」
顎に手を当て考えていると、女性は右京さんの元へと駆け寄った。それに右京さんは目を細めて迎える。
「……凪……何故貴女が此処に?」
知り合いだったのか……でも何でそんな冷たい感じなんですかね?
「師匠がお出掛けから帰って来られないので、お出迎えに参りました」
「……私はそんな事頼んだ覚えはないし、颯太には旅館を頼むと言って来た筈。もう一度聞くけど、何で居るの?」
おぉ………凄く不機嫌そうだ。
「師匠が心配で」
「は? 私を心配? 心配する前に貴女は自分の料理の腕の心配をした方が良いわよ? このままじゃいつまで経っても私には敵わないわよ?」
「師匠に勝とうなんて、私には一生掛かっても無理でしょう」
「………そ。哲平さん、私にいつもの」
そう言って、右京さんはカウンター席に座った。
「あ、あぁ。枝豆と牛乳だな」
「師匠! 此処でお食事をなされるのですか!?」
あぁ……もうキャンキャンと……。
「何? 貴女が私の食べる物に口出しをするの?」
「そ、そういう訳ではありませんが……態々師匠がこんな所で食べなくても……」
「凪……貴女は一度外に出てなさい」
「なんで
「早く」
「……はい」
凪、という女性は眉尻を下げ、店の外へと出て行く。途中に俺の方を睨みをきかせるのも忘れない……何なの、本当に……。
凪さんが出て行くと、右京さんは大きく溜息を吐いた。
「哲平さん、ウチの弟子がごめんなさい。気分が悪いわよね」
「あー……いや、良いんです。いずれは、ああ言うお客さんを相手にする時もあるでしょうから。それより弟子って……?」
「私の旅館の下で働く、料理修行中の者達の事よ。あの子は百何人といる弟子の中でも、一番出来る子なんだけど……私を異常に崇拝し過ぎなのが傷なのよ……」
玉に瑕とかじゃないんだ。傷なんだ。
「でも、一番出来る子なんですよね?」
それに比奈が反応する。
「まぁ、そうなのだけど……あの子が一番だとダメなのよ」
「ダメ?」
「さっきの話を聞いてたでしょ? 私の事を崇拝してるって。だから私以上の料理人になる向上心がないの。それだと後々の『桜花』の事を考えると……」
あぁ。心配になるよなぁ。右京さんは源さんと同じ79歳。ハッキリ言えば老い先は短い人生だと言えるだろう。未来の事を考えれば、後進が育たっていないのは心配なのだろう。
「それに私は、私より美味しい料理を作る者と出会いたい。自分の腕を、向上させる為に」
そう言って、右京さんは口角を上げた。
それは今までにない程に、綺麗で、獰猛な笑みだった。
俺はそれに自然と少し体を引きながらも見ていると、右京さんは「あっ」と思い出したかの様に拳を掌に当てた。
「実は今日もお願いがあって来たのよ」
「へ? お願い、ですか?」
「えぇ、前々から考えていたのだけど、凪が来て決心がついたわ」
目を閉じていた右京さんは、カッと目を見開いた。
「此処に『桜花』の弟子達を数人連れて来たいの」
「弟子、をですか?」
「このままだと『桜花』は何もなく衰えて行くだけ。それなら少しの挑戦もありかなって思ったのよ。どうかしら?」
まぁ………それぐらいなら、何とか良いかな?
「キャーッ!!?」
そんな事を思っていると、外から悲鳴が聞こえて来る。
「い、今の声って!」
「な、凪!!!」
俺、右京さん、比奈、メマは急いで店の裏側へと向かうのだった。
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