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第5章 (3)バロンの観察日記
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しおりを挟むギュッと胸を締め付けられた私は、顔を上げてバロンを見た。
眉間にシワを寄せながらも、怒りながらも。
私を心配して焦ってくれた彼の表情を見たら、自然と熱いものが目の奥から溢れて来て、頬をつたり落ちていった。
「っ……。
怒鳴って……ごめん」
ハッとした表情に、ボソッとバツが悪そうに囁かれた言葉。
私の涙を見たバロンは、きっと自分が泣かせたんだと勘違いしてるんだ。
もう一度私を抱き締めると、優しくあやすように背中をポンポン叩いてくれる。
……違うよ。
これは、嬉しくてっ……。
貴方の優しさが、嬉しいんだよ……っ。
私を大切に抱き締めてくれるその腕が、微かに震えていた。
言葉よりも、彼自身から伝わってくる気持ちが堪らなくて……。
私の涙は、余計に止まらなくなった。
……
…………。
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