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第6章 (1)父を求めて-前半-
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しおりを挟むお父さんは私が3歳の時に、仕事中の事故で亡くなたってお母さんから聞いた。
だから私は、お父さんの顔を全く覚えていなくて……。
お母さんが悲しむ気がして、私はお父さんの事を深く聞かなかった。
でも、本当はずっとずっと気になってたの。
どんな人だったのかな、って。
ローザはそんな私の気持ちを知ってか知らずか、この写真を渡してくれた。
初めて真っ直ぐ見たお父さん。
その姿を目にしたら、今まで封印していた幼い頃の想いが、私の中でジワジワと溢れてくるようだった。
暖かいような、むず痒いような想い。
写真を見て抱いた不思議な感情に浸っていると、見つめていた写真にフッと影がかかり、背後に感じる人の気配。
「何を見てらっしゃるんですか?お嬢様」
「!……あ、バロン」
後ろから手元の写真を覗き込んだのは、バロン。
興味津々なのか、お父さんの写真をじっと見つめている。
「……似ておりますね」
「えっ?」
「お嬢様は父親似だ、と思いまして」
私と写真を見比べて、彼がにっこり微笑む。
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