婚約破棄の慰謝料は絶対払ってもらうとか言ってますが、元々は貴方の浮気が原因でしょう?

ルイス

文字の大きさ
4 / 11

4話 準備完了

しおりを挟む
(ブラックル・ウォルト大公殿下視点)


「よし……大体の準備は完了しそうだな」

「はい、ブラックル様。慰謝料請求の準備に関しましては滞りなく、進みそうです」

「うむ、そうか……」


 執事のバームは私に準備完了を報告して来た。ジェシカの婚約破棄に対する慰謝料請求は、ほとんどがこの男を通して進めている。つまりは、バームが準備完了と言うことは、いつでも動き出すことが可能だということだ。


「まったくジェシカの奴め……たかが、浮気如きで婚約破棄を言い渡して来るとは」

「左様でございますね、ブラックル様。ブラックル様の地位について、あの方は良く分かっていないのでしょう」

「ふははははは、そういうことだな」

「はははははは」


 私と執事のバームはほくそ笑み、大笑いを始めた。大公殿下という地位の高さを知らない侯爵令嬢という立場の女……まったく、滑稽という言葉以外では形容しがたい程の事態だ。

「ジェシカの奴は勉強不足だったな。まさか私が多額の慰謝料請求を通せないと思っていたのだろう」

「ジェシカ様がいかにレイクス侯爵のご息女と言えども、相手が悪すぎましたな」

「そういうことだ。ああいう世間知らずの女には現実を知らしめた方が良いというものだ。せっかくこの私が第二夫人に据えてやろうと言ってやったのに、それをふいにしおって。本当に馬鹿な女だ。お前もそう思うだろう?」

「失礼ながら……」


 多額の慰謝料の支払いをせざるを得ない状況に陥った時に、ジェシカも気付くだろう。自分の立場は所詮、大公と比べれば大したことがないのだということを。まあ、その時に泣きついて来るのであれば許してやらんこともないがな。まあ、ベッドの上でしっかりと分からせてやるとするか。

 おっと、下衆な考えに至ってしまったが……ジェシカを屈服させられると思うとどうしてもな、ふははははははっ。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?

ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」 その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。 「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」

「では、ごきげんよう」と去った悪役令嬢は破滅すら置き去りにして

東雲れいな
恋愛
「悪役令嬢」と噂される伯爵令嬢・ローズ。王太子殿下の婚約者候補だというのに、ヒロインから王子を奪おうなんて野心はまるでありません。むしろ彼女は、“わたくしはわたくしらしく”と胸を張り、周囲の冷たい視線にも毅然と立ち向かいます。 破滅を甘受する覚悟すらあった彼女が、誇り高く戦い抜くとき、運命は大きく動きだす。

あなたのことなんて、もうどうでもいいです

もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。 元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

恩知らずの婚約破棄とその顛末

みっちぇる。
恋愛
シェリスは婚約者であったジェスに婚約解消を告げられる。 それも、婚約披露宴の前日に。 さらに婚約披露宴はパートナーを変えてそのまま開催予定だという! 家族の支えもあり、婚約披露宴に招待客として参加するシェリスだが…… 好奇にさらされる彼女を助けた人は。 前後編+おまけ、執筆済みです。 【続編開始しました】 執筆しながらの更新ですので、のんびりお待ちいただけると嬉しいです。 矛盾が出たら修正するので、その時はお知らせいたします。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

ある愚かな婚約破棄の結末

オレンジ方解石
恋愛
 セドリック王子から婚約破棄を宣言されたアデライド。  王子の愚かさに頭を抱えるが、周囲は一斉に「アデライドが悪い」と王子の味方をして…………。 ※一応ジャンルを『恋愛』に設定してありますが、甘さ控えめです。

処理中です...