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6話 作戦会議 その2
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「ウォルト大公殿下はおそらく、議会を通して多額の慰謝料の請求を行うでしょう。そもそも、慰謝料請求をする場合に、我が国では必ず議会の承認が必要になりますからな。それが例え、貴族が一般人に行う場合でも同じです」
伯父様が冷静にブラックル様の行動予測を行っている。ブラックル様は議会を通して慰謝料請求をしてくるのは間違いない。でも、議会に事実だけを話した場合、「多額の慰謝料」の請求が通るとは思えないけれど。
ブラックル様の口振りから察するに、レイクス侯爵家に打撃を与える程の額を請求してきそうだし……。慰謝料を支払うのは確かに痛手ではあるけれど、侯爵家である私達が払えないとは思えない。まあ、本当に私が個人で支払わないといけなくなった場合は厳しいけれど、そんなこと起こるわけがないし……。
ブラックル様の狙いは一体、なんなのかしら?
「ブラックルは今回の慰謝料請求を父上にも話している。どういう内容かは分からないが、懸念点があるとすれば、その部分になるか」
「そうですね、王子殿下。今回の話は完全にウォルト大公殿下に非がありますが、強引に国王陛下と議会を味方に付けたのだとしたら……少々、厄介なことになりかねません」
「うむ……そうか」
伯父様の話にラクロアも軽く唸っているようだった。国王陛下や議会を後ろ盾にするほどのことには見えないけれど、そこまでしてブラックル様が考えていることはなんだろう?
レイクス侯爵家の没落……? 慰謝料だけでの没落はあり得ないから、評判を落としての没落を考えている? いや、まさかそんなことは……。
「ブラックル様の考えが読めません……少し不安になって来てしまいます」
「心配するなよ、ジェシカ。必ず私が守ってあげるから」
「ラクロア……ありがとう」
第三王子殿下のラクロアからこんな言葉を掛けられる令嬢はそうは居ないはず……別に優越感に浸るつもりはないけれど、とても嬉しかったのは事実だ。幼馴染の特権なのかもしれない。
「……」
今、ラクロアと少しだけ良い雰囲気になったかしら? そんなことも考えていたけれど、お父様と伯父様がこちらに視線を合わせていた。ニヤニヤとした表情を浮かべながら……考えていることが丸分かりだわ。
「私達はしばらく、別の部屋に行っていた方が良いですかな?」
「そうですな、ラクロア王子殿下の気が済むまで……」
「おい、何か妙な勘違いをしていないか?」
「お父様、伯父様……」
「いやいや、ジェシカ。冗談だよ、冗談」
「本当に冗談なのですか……?」
重苦しい雰囲気が少しだけ晴れたような気がする。見事にからかわれてしまったけれど、その点については良かったかもしれない。と、そんな風に感じていた時、使用人の一人が応接室の中に入って来た。
「お忙しい中、申し訳ございません。至急、お伝えしたいことがございまして……」
「どうしたんだ?」
「は、はい……どうやら、ブラックル・ウォルト大公殿下が、こちらを訪れるようでございます。事前のアポイントは取っておりませんし、如何いたしましょうか……?」
ベストタイミング、と言えば良いのかしら? まさかこの状況で、ブラックル様が訪れるなんて。
「構わぬ、お通ししろ」
「畏まりました!」
お父様は即座に言い放った。ラクロアも伯父様も頷いているし、屋敷に来てもらった方が良いみたいね。まあ、相手の動向や考えが分かるかもしれないし。ブラックル様からすれば、私やお父様を見下したいだけなんだろうけれど。
伯父様が冷静にブラックル様の行動予測を行っている。ブラックル様は議会を通して慰謝料請求をしてくるのは間違いない。でも、議会に事実だけを話した場合、「多額の慰謝料」の請求が通るとは思えないけれど。
ブラックル様の口振りから察するに、レイクス侯爵家に打撃を与える程の額を請求してきそうだし……。慰謝料を支払うのは確かに痛手ではあるけれど、侯爵家である私達が払えないとは思えない。まあ、本当に私が個人で支払わないといけなくなった場合は厳しいけれど、そんなこと起こるわけがないし……。
ブラックル様の狙いは一体、なんなのかしら?
「ブラックルは今回の慰謝料請求を父上にも話している。どういう内容かは分からないが、懸念点があるとすれば、その部分になるか」
「そうですね、王子殿下。今回の話は完全にウォルト大公殿下に非がありますが、強引に国王陛下と議会を味方に付けたのだとしたら……少々、厄介なことになりかねません」
「うむ……そうか」
伯父様の話にラクロアも軽く唸っているようだった。国王陛下や議会を後ろ盾にするほどのことには見えないけれど、そこまでしてブラックル様が考えていることはなんだろう?
レイクス侯爵家の没落……? 慰謝料だけでの没落はあり得ないから、評判を落としての没落を考えている? いや、まさかそんなことは……。
「ブラックル様の考えが読めません……少し不安になって来てしまいます」
「心配するなよ、ジェシカ。必ず私が守ってあげるから」
「ラクロア……ありがとう」
第三王子殿下のラクロアからこんな言葉を掛けられる令嬢はそうは居ないはず……別に優越感に浸るつもりはないけれど、とても嬉しかったのは事実だ。幼馴染の特権なのかもしれない。
「……」
今、ラクロアと少しだけ良い雰囲気になったかしら? そんなことも考えていたけれど、お父様と伯父様がこちらに視線を合わせていた。ニヤニヤとした表情を浮かべながら……考えていることが丸分かりだわ。
「私達はしばらく、別の部屋に行っていた方が良いですかな?」
「そうですな、ラクロア王子殿下の気が済むまで……」
「おい、何か妙な勘違いをしていないか?」
「お父様、伯父様……」
「いやいや、ジェシカ。冗談だよ、冗談」
「本当に冗談なのですか……?」
重苦しい雰囲気が少しだけ晴れたような気がする。見事にからかわれてしまったけれど、その点については良かったかもしれない。と、そんな風に感じていた時、使用人の一人が応接室の中に入って来た。
「お忙しい中、申し訳ございません。至急、お伝えしたいことがございまして……」
「どうしたんだ?」
「は、はい……どうやら、ブラックル・ウォルト大公殿下が、こちらを訪れるようでございます。事前のアポイントは取っておりませんし、如何いたしましょうか……?」
ベストタイミング、と言えば良いのかしら? まさかこの状況で、ブラックル様が訪れるなんて。
「構わぬ、お通ししろ」
「畏まりました!」
お父様は即座に言い放った。ラクロアも伯父様も頷いているし、屋敷に来てもらった方が良いみたいね。まあ、相手の動向や考えが分かるかもしれないし。ブラックル様からすれば、私やお父様を見下したいだけなんだろうけれど。
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