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11話 ストーカー行為 その2

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「私の行っていることがストーカー行為だと……?」

「その通りです、デルタ様。デルタ様の行っていることは紛れもなくストーカー行為です。私はそのように最初から言っております」

「……」


 流石のデルタ様も堪えたのか、彼は急に無言になっていた。ストーカー行為を自覚していなかったのことには少し驚いたけれど、これで少しは彼も懲りてくれると助かるのだけれど……。


「ははははっ、ストーカー行為か! ふははははははっ!」

「えっ……? デルタ様……?」


 驚いたことに彼は急に大きく笑い出した。あまりのことに私は付いていけない。


「いやいや、まさかお前の口からストーカー行為などという言葉が出て来るとはな。私としても、正直、驚かされたよ」

「意味が分かりませんが……とにかくそういうことですので。これ以上、私に関わるのは止めてください。」


 最後通告……私の言葉への返答次第では、私は彼に対して強硬手段に出ることも考えていた。どういう手段にしようかは、すぐには考え付かないけれど……前にお父様が言っていた、アンジェリカ姉さまとアルフレッド様に仲介してもらう方法とかね。

 とにかく私は、すぐにでもデルタ様との関係を絶ちたいのだ……それを分かって貰えないというのなら……。


 すると、デルタ様はゆっくりと私の対面の席へと着いた。無言の状態で……。


「大声を出して少しスッキリしたよ、フラウ。まさか、お前が私のことをストーカーだと思っていたとはな」

「気付いていなかったなんて、逆に驚きです……」

「私は良かれと思ってやっていたんだ。お前の気を惹くためにな……強引にお前の前に現れるやり方は、駄目だったと言うことか」

「当たり前です、デルタ様。そんなことで考え直すのでしたら、あなたが屋敷に来た時点でそれを言っているでしょう」

「確かに……そうだな。ふははははは、まったく……私としたことが、こんな過ちにも気付いていなかったとは」


 デルタ様は一人で納得しているようだった。特に、私に謝罪することはしなかったけれど。しばらく、笑い続けた後、彼は立ち上がり……。

「フラウ、それでは出直してくるとしよう」


 それだけ言うと、彼は護衛の人達と一緒に去って行った。また何度も付き纏われるのではないかと思ったけれど……彼の最後の表情は今までと少し違うようにも見えた。これで本当に反省してもらいたい……。
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