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14話 王太子殿下の計画 その3
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「な、なにを言っているのかな……メリア王女?」
「あら、聞こえなかったかしら? あなたは独立を考えているのでしょう?」
「……えっ?」
なんだか、雲行きが怪しくなってきた……本来なら、ビクティム侯爵の最高の晴れ舞台のはず。私達に賠償金も余裕で払いますよと言える程にテンションが上がる事態だろう。でもなんだか、流れがおかしい……それは多分、ビクティム侯爵自身が一番思っているはず。
「どういうことだ……?」
「独立……て、一体何のことかしら?」
「待て……それ以前に、オルカスト王国からの独立という意味合いなのか……?」
周囲のビクティム・クラウス派の貴族達も驚いている様子だ。それは当然だろう、侯爵閣下が独立を本当に考えているのであれば、それは一大事なのだから。私とダンテ兄さまは、黙って静観することにした。
「なんだか、凄いことになってますね」
「うむ……どういう風になるのか、見物だな」
確かに見物だ。フューリがメリア王女と一緒に居るのは少しだけ妬いてしまうけれど。大丈夫……これはきっと、必要な演出なはずだから。焦っているビクティム侯爵だけれど、フューリの存在にも気付いたみたい。
「これは……フューリ王太子殿下! まさか、この場にいらっしゃっていただけるとは……!」
「ああ、大規模なパーティなのでな。というより、父上も参加すると言っていただろう?」
「それはそうなのですが……やはり、王太子殿下にお越しいただくというのは、それだけ緊張するというものでして」
ビクティム侯爵はフューリが参加することは知らなかったのかしら? 国王陛下の出席は知っているのに。ああそうか……フューリは今後のオルカスト王国を導く立場。現在の国王陛下はそれなりの年齢になられているし、政権交代を考えてビクティム侯爵は動いているんでしょうね。
つまりはビクティム侯爵にとっては、フューリに顔を売っておく方が重要ということね。ただ、話しの流れ的にとてもそれが上手くいくとは思えないけれど……。
「あらあら、王太子殿下ではありませんか。お久しぶりでございますね」
「確かに、久しぶりだな。メリア王女殿下、相変わらずお美しい」
「あらあら、お上手ですこと」
むむむ……通過儀礼なのかもしれないけれど、美男美女の良い雰囲気になっている気がする。メリア王女に容姿では完璧に負けてるから怖くなってしまう。
「いけませんわ……想い人がヤキモチを妬いているかもしれませんわよ?」
「これは失敬。後で謝っておくとしようか……ところで、面白い話を聞いたな。独立がどうとか?」
「ああ、そのことでございますか。ええ、ビクティム・クラウス侯爵は私と結婚をして強力なパイプラインを確保、それを機に独立……ということを考えているようですわ」
「なに……それは本当か?」
フューリの睨みにビクティム侯爵は明らかに怖がっていた。媚びを売る相手に不信感を持たれているのだから当然かもしれないけれど。
「め、滅相もございません、王太子殿下! メリア王女! そういう冗談はやめていただけないかな? 私は独立をしたいなどと、一度も言ったことはないぞ!?」
おそらくは真実なんだろうけど、周囲の貴族達は不審な目で彼を見ている。フューリの思惑通りというところかしら?
「いや……そもそもの問題として、王家に内緒で他国の王女と婚約話を進めているのが、その証拠だろう? ん?」
「そ、それは……!」
なるほど、そういう風に持って行くのか。流石はフューリ、抜け目ないというかなんというか……王太子殿下の反撃はここから始まろうとしていた。
「あら、聞こえなかったかしら? あなたは独立を考えているのでしょう?」
「……えっ?」
なんだか、雲行きが怪しくなってきた……本来なら、ビクティム侯爵の最高の晴れ舞台のはず。私達に賠償金も余裕で払いますよと言える程にテンションが上がる事態だろう。でもなんだか、流れがおかしい……それは多分、ビクティム侯爵自身が一番思っているはず。
「どういうことだ……?」
「独立……て、一体何のことかしら?」
「待て……それ以前に、オルカスト王国からの独立という意味合いなのか……?」
周囲のビクティム・クラウス派の貴族達も驚いている様子だ。それは当然だろう、侯爵閣下が独立を本当に考えているのであれば、それは一大事なのだから。私とダンテ兄さまは、黙って静観することにした。
「なんだか、凄いことになってますね」
「うむ……どういう風になるのか、見物だな」
確かに見物だ。フューリがメリア王女と一緒に居るのは少しだけ妬いてしまうけれど。大丈夫……これはきっと、必要な演出なはずだから。焦っているビクティム侯爵だけれど、フューリの存在にも気付いたみたい。
「これは……フューリ王太子殿下! まさか、この場にいらっしゃっていただけるとは……!」
「ああ、大規模なパーティなのでな。というより、父上も参加すると言っていただろう?」
「それはそうなのですが……やはり、王太子殿下にお越しいただくというのは、それだけ緊張するというものでして」
ビクティム侯爵はフューリが参加することは知らなかったのかしら? 国王陛下の出席は知っているのに。ああそうか……フューリは今後のオルカスト王国を導く立場。現在の国王陛下はそれなりの年齢になられているし、政権交代を考えてビクティム侯爵は動いているんでしょうね。
つまりはビクティム侯爵にとっては、フューリに顔を売っておく方が重要ということね。ただ、話しの流れ的にとてもそれが上手くいくとは思えないけれど……。
「あらあら、王太子殿下ではありませんか。お久しぶりでございますね」
「確かに、久しぶりだな。メリア王女殿下、相変わらずお美しい」
「あらあら、お上手ですこと」
むむむ……通過儀礼なのかもしれないけれど、美男美女の良い雰囲気になっている気がする。メリア王女に容姿では完璧に負けてるから怖くなってしまう。
「いけませんわ……想い人がヤキモチを妬いているかもしれませんわよ?」
「これは失敬。後で謝っておくとしようか……ところで、面白い話を聞いたな。独立がどうとか?」
「ああ、そのことでございますか。ええ、ビクティム・クラウス侯爵は私と結婚をして強力なパイプラインを確保、それを機に独立……ということを考えているようですわ」
「なに……それは本当か?」
フューリの睨みにビクティム侯爵は明らかに怖がっていた。媚びを売る相手に不信感を持たれているのだから当然かもしれないけれど。
「め、滅相もございません、王太子殿下! メリア王女! そういう冗談はやめていただけないかな? 私は独立をしたいなどと、一度も言ったことはないぞ!?」
おそらくは真実なんだろうけど、周囲の貴族達は不審な目で彼を見ている。フューリの思惑通りというところかしら?
「いや……そもそもの問題として、王家に内緒で他国の王女と婚約話を進めているのが、その証拠だろう? ん?」
「そ、それは……!」
なるほど、そういう風に持って行くのか。流石はフューリ、抜け目ないというかなんというか……王太子殿下の反撃はここから始まろうとしていた。
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