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4話 再会 その2
しおりを挟む「これは……フェリックス・ドストレイ公爵!」
「やはり、フリージア嬢か! 久しぶりだな!」
「はい、お久しぶりでございますね……!」
ワンダースワル湖でまさか、フェリックス様と再会することになるなんて……! 私としては嬉しさと驚きの両方が合わさったような感覚になっていた。どういう確率なのだろうか? とても信じられないわ。
「まさか、フリージア嬢とこんなところで会うことになるとはな……」
「私も同じ気持ちでございます、フェリックス様」
「いや……まあ、初めて君と会った時もこの湖の前だったから、それほど不思議がる必要もないのか」
「それは、そうかもしれませんが……」
通常の精神状態なら、そこまで驚くことではないけれど、今の私はバレット・スミス侯爵に婚約破棄をされ、妹のマーガレットには婚約者を奪われた状態なのだ。さらになぜか、マーガレットを虐めているという悪評まで広められた状態で。
通常状態でフェリックス様と会うのとは、全く状況が違っていた。
「ん? どうかしたのか?」
「わ、私はその……あの……通常の状態でフェリックス様とお会いしていたのなら、喜びを表現出来ていたと思いますが、その……」
「フリージア嬢……」
フェリックス様にも私の状況は伝わっているようだった。それは、彼の表情を見れば容易に判断することが出来る。
「バレット・スミス侯爵との件で合っているかな?」
「は、はい……その件になります……」
「そうか……確かに話は聞いている。なんでも、君の妹のマーガレット嬢がバレット殿と婚約したそうだな?」
「さ、左様でございますね」
当然だけれど、その辺りもしっかりと伝わっていたか。改めてフェリックス様の口から言われると、悔しさが滲み出てしまうわね。本当にどうしてあんなことになってしまったのだろうか。
「妹のマーガレット嬢を君が虐めていたから、バレット殿は憤慨し君との婚約を破棄したと聞いているが……」
「は、はい……そういうことになっております」」
「まさかそんなことは……事実ではないのだろう?」
「フェリックス様……?」
彼の最初の言葉……私を疑うことをせずに、事実ではないと言ってくれた。そのことが、どれほど私の心を癒したのか、私自身にも分からない。ただ、自然と涙が出てしまう程に私は感動していたのだ。
彼は……フェリックス・ドストレイ公爵は私のことを信用してくれているのだと。それだけで、心が満たされていくようだった。
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