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6話 バレットとマーガレット
しおりを挟む(バレット・スミス侯爵視点)
「うふふ、上手く行きましたね」
「はっはっは、まさしくな」
私は愛しのマーガレットを膝の上に乗せ、ソファに座っていた。彼女は綺麗でスタイルも良い。ほとんど重さを感じない程の体重なのだ。話の内容は姉のフリージアについてのことだった。
「上手く浮気をしていることを誤魔化せたのは良かったな。まあ、その為に虐めをされていたことにする、お前の考えは驚いたが……」
「うふふ、なかなかの妙案でございましょう? お父様やお母様は家の存続を第一に考えるはずですから、慰謝料請求だってしてこないですよ。家系的には私とバレット様が一緒になれば、お父様もお母様も喜ぶはずですしね」
「ああ、確かにそうなるか……ふふふふ」
「うふふふふふ」
私は共に笑い合った。私達が婚約をする為に、姉であるフリージアを生贄にした形になったが、まあ、それは仕方ないだろう。あの女は変に真面目でつまらなかったからな。信憑性を増す為に、虐めの事実を貴族の間にも流してやった。これでしばらくは、フリージアは表の席には出て来れないだろう。
「しかし、実の姉に虐められていたことにして、心は痛まないのか?」
「心が痛む? 私の心がですか?」
「ああ、そうだが……」
「痛みませんよ、そんなの。だって、姉のフリージアには昔から腹が立っていたんですから」
「そうだったのか?」
ほう、これは意外なことを聞いたかもしれないな……マーガレットはフリージアに恨みを持っていたのか。
「私は姉と比べられて来ました……いつも、姉には勝てなかった。貴族の方々も姉のことを好いているようでしたし。私が好きになった方も姉の方へといったりしました……だからこそ、今回の件を思いついたんです。フリージアの泣きそうな顔は今見ても笑ってしまいますわ」
「確かに面白かったな、ふはははは」
なるほど……マーガレットとフリージアの間には、なかなか大きな溝があるようだな。今回の一件で彼女なりの恨みを晴らしたということか。
「それよりも、バレット様」
「ん? どうかしたのか?」
「今度の舞踏会への出席でございますが、私は新調したドレスを着て行きたいですわ。よろしいでしょうか?」
「なんだそんなことか。勿論、構わないとも。次の舞踏会を私が婚約したことを証明する場としたいからな」
「ありがとうございます、バレット様! とても嬉しいですわ!」
虐めの噂は既に流れているだろう。フリージアが出席している可能性はないはずだ。マーガレットは悲劇のヒロインを演じる舞台となる。それを救ったのがこの私ということだ。
ふふふ、マーガレットのドレスを新調しても余りある程のリターンが期待出来そうだな。
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