妹と婚約者に嵌められ、虐めの加害者にされていました

ルイス

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7話 舞踏会 その1

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「き、緊張致します……! フェリックス様……」


 私とフェリックス様は舞踏会の会場の前に立っていた。舞踏会自体は既に始まっているようなので、扉を開ければたくさんの貴族の姿を拝むことが出来るのだろう。

 目の前の扉の向こうの貴族には、私の噂が流れていることだろう。妹のマーガレットを虐め、婚約者であったはずのバレット・スミス侯爵からは婚約破棄をされてしまったという噂だ。婚約破棄をされたのは事実なので、その部分を否定することは出来ない。

 だからこそ、かなり面倒なことになっているのだった。フェリックス様がどのように思われているのかは分からないけれど、少なくとも私はそのように考えていた。


「心配することはないさ、フリージア嬢」

「フェリックス様?」


 そんな時、フェリックス様が私の肩に手を置いてくれた。私のことを安心させる為だと思うけど……。

「私が一緒に行くんだ。周囲の貴族達も簡単に噂話をすることはないさ。君が一人で向かったのなら、話は別かもしれないがね」

「フェリックス様……左様でございますね。ありがとうございます」


 いつの間にか、私の中での緊張感、恐怖感というのは取り払われていた。そういった感情はなるべく早く取り除いた方が良いことは確かだ。フェリックス様と一緒に舞踏会に出るということは、もっとも取り除くのに適した環境だと言えるだろうか。


「それではフェリックス様。本日はよろしくお願い致します」

「こちらこそ、よろしく。なんとか君の悪い噂を取り払うのに協力させてもらうよ。とは言っても、純粋に舞踏会を楽しみたいとも考えているが……」

「うふふ、それではフェリックス様がエスコートしてくださいね?」

「ははは、承知したよ。なんだか照れ臭いけどね。はははははっ」

「うふふ、よろしくお願いいたします」


 私達の雰囲気はいつの間にか、それらしいものへと変わっていた。本日の主目的は噂話を取り払うことにあるけれど、そっれと同じくらい舞踏会も楽しまなくちゃ。せっかく、初恋のフェリックス様とこうして来ているんだから。

 私の中ではそういった決意が生まれていた。
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