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30話 転換点
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「はあ……どうしようかしら……」
ユアン様がアモネートの屋敷を訪れてから、3日が経過した。あの日のことは、お父様やお母様、メープルには話していない。元々は非公式の訪問だったしね。ただ、ユアン様達はこの3日の間で様々な準備を整えてくれたようだ。
私が別の仕事で宮殿に向かった時、世間話を装って教えてくれた。
「シャルナ、君が屋敷を出た後、しばらくの間は宮殿内に住むと良い。表向きは、婚約者候補の一人として話を通している。君は堂々と正門から入ってくるだけでOKだ」
ユアン様のお心遣いはとても嬉しかった。私は感謝以外は何も出来ないけれど……。私がアモネートの屋敷を離れる計画は着々と進んでいた。もういつでも実行できる段階にあると言える。
でも、私のことを信頼してくれているドルチェ達を置いていくのは、少しだけ躊躇われた。私も永久的に出て行くわけではないので、このままアモネートの屋敷に居た方が、彼女たちは安全だろうけど。
「お父様、お母様!! 聞いてくださいよ~~! リシド様が私を拘束するなんて言うんです!」
「拘束ですって……!? 一体どういうことなの!?」
「なんと……あの、リシド様がそんなことを……!」
「このまま結婚したら、私は二度と日の目を見れないかもしれません~~!」
私の部屋の近くの廊下では、メープルと両親が話をしているようだった。声が完全に漏れているけれど、メープルだったらそんなの気にしないだろう。
それよりも……お父様とお母様はメープルの発言を完全に信じているように見受けられる。長年、メープルのわがままに悩まされてきた私からすると、確実に演技だと分かるトーンなんだけど。演技というよりは、真実を誇張して話しているように感じられる。
そんなことをする理由がよく分からないけれど、もしかしたらリシド様に飽きたのかもしれない。過去にもメープルは、同じようなことをしたことがあるし……。
私はそのタイミングで部屋を出た。メープルがどんな言葉を出してくるのか見定める為に。ある意味で転換点と言えるのかもしれない。
「あっ、姉さま! 酷いですよ!」
また私を見るなり酷い発言……メープルは私への第一声はその言葉に固定しつつあった。
「いきなり何よ? まだ舞踏会での話を続ける気?」
「いいえ、そっちはどうでもいいんです! 器の大きい私ですから、特別に許してあげます!」
「特別にって……」
メープルは謝罪することはおろか、全く反省していない。それどころか、特別に恩赦を与えると言わんばかりに私を見ていた。何発かビンタをした方が彼女の為になるのかもしれない……。
「それとは別にですね、姉さま!」
「なによ……?」
「リシド・ブレイク公爵があんな人だなんて、どうして教えてくれなかったんですか!?」
「はっ?」
私は思わず素の声をあげてしまった。もしかしてメープルは……
「私に自由を与えてくれない旦那様なんて必要ないんです! おまけに私を拘束しようとするし……頼み事も全然聞いてくれなくなったし……!」
やっぱり……ここに来て、メープルのわがままは限界突破をしたようね。私もこれ以上、彼女と話す気力がなかった。一度、拘束された方がいいだろうし……。
「お父様。私は縁談が決まるかもしれませんので、少しの間、屋敷を離れます。よろしいですね?」
「なに、縁談だと……? 一体、どなたと……?」
「王族の方々に呼ばれております。詳細が分かりましたら、ご連絡いたしますね」
「お、王族……? それは素晴らしい……!」
「ええ! 本当に凄いわ、シャルナ!」
お父様とお母様の二人は何とも現金な顔つきをしていた……アモネート家の将来が約束された。そのように思っているのかもしれない。はあ、本当に情けない……。
「姉さまっ! そんなのズルいです……一人だけっ!」
「何を言ってるの、メープル? あなたには私から奪う程に愛しているリシド・ブレイク様がいらっしゃるでしょう? あの方は理不尽な婚約破棄をしたけれど、貴族としての振る舞いには誇りを持っているらしいから気を付けてね? 甘ったれたあなたに耐えられるとは思えないけど……」
「ね、姉さま……?」
私はそこまで言うと、メープルと両親に軽く礼をして去って行った。今は少しでも屋敷から離れることが重要だ……これ以上は本当に、精神が持たないと思えたから。
ユアン様がアモネートの屋敷を訪れてから、3日が経過した。あの日のことは、お父様やお母様、メープルには話していない。元々は非公式の訪問だったしね。ただ、ユアン様達はこの3日の間で様々な準備を整えてくれたようだ。
私が別の仕事で宮殿に向かった時、世間話を装って教えてくれた。
「シャルナ、君が屋敷を出た後、しばらくの間は宮殿内に住むと良い。表向きは、婚約者候補の一人として話を通している。君は堂々と正門から入ってくるだけでOKだ」
ユアン様のお心遣いはとても嬉しかった。私は感謝以外は何も出来ないけれど……。私がアモネートの屋敷を離れる計画は着々と進んでいた。もういつでも実行できる段階にあると言える。
でも、私のことを信頼してくれているドルチェ達を置いていくのは、少しだけ躊躇われた。私も永久的に出て行くわけではないので、このままアモネートの屋敷に居た方が、彼女たちは安全だろうけど。
「お父様、お母様!! 聞いてくださいよ~~! リシド様が私を拘束するなんて言うんです!」
「拘束ですって……!? 一体どういうことなの!?」
「なんと……あの、リシド様がそんなことを……!」
「このまま結婚したら、私は二度と日の目を見れないかもしれません~~!」
私の部屋の近くの廊下では、メープルと両親が話をしているようだった。声が完全に漏れているけれど、メープルだったらそんなの気にしないだろう。
それよりも……お父様とお母様はメープルの発言を完全に信じているように見受けられる。長年、メープルのわがままに悩まされてきた私からすると、確実に演技だと分かるトーンなんだけど。演技というよりは、真実を誇張して話しているように感じられる。
そんなことをする理由がよく分からないけれど、もしかしたらリシド様に飽きたのかもしれない。過去にもメープルは、同じようなことをしたことがあるし……。
私はそのタイミングで部屋を出た。メープルがどんな言葉を出してくるのか見定める為に。ある意味で転換点と言えるのかもしれない。
「あっ、姉さま! 酷いですよ!」
また私を見るなり酷い発言……メープルは私への第一声はその言葉に固定しつつあった。
「いきなり何よ? まだ舞踏会での話を続ける気?」
「いいえ、そっちはどうでもいいんです! 器の大きい私ですから、特別に許してあげます!」
「特別にって……」
メープルは謝罪することはおろか、全く反省していない。それどころか、特別に恩赦を与えると言わんばかりに私を見ていた。何発かビンタをした方が彼女の為になるのかもしれない……。
「それとは別にですね、姉さま!」
「なによ……?」
「リシド・ブレイク公爵があんな人だなんて、どうして教えてくれなかったんですか!?」
「はっ?」
私は思わず素の声をあげてしまった。もしかしてメープルは……
「私に自由を与えてくれない旦那様なんて必要ないんです! おまけに私を拘束しようとするし……頼み事も全然聞いてくれなくなったし……!」
やっぱり……ここに来て、メープルのわがままは限界突破をしたようね。私もこれ以上、彼女と話す気力がなかった。一度、拘束された方がいいだろうし……。
「お父様。私は縁談が決まるかもしれませんので、少しの間、屋敷を離れます。よろしいですね?」
「なに、縁談だと……? 一体、どなたと……?」
「王族の方々に呼ばれております。詳細が分かりましたら、ご連絡いたしますね」
「お、王族……? それは素晴らしい……!」
「ええ! 本当に凄いわ、シャルナ!」
お父様とお母様の二人は何とも現金な顔つきをしていた……アモネート家の将来が約束された。そのように思っているのかもしれない。はあ、本当に情けない……。
「姉さまっ! そんなのズルいです……一人だけっ!」
「何を言ってるの、メープル? あなたには私から奪う程に愛しているリシド・ブレイク様がいらっしゃるでしょう? あの方は理不尽な婚約破棄をしたけれど、貴族としての振る舞いには誇りを持っているらしいから気を付けてね? 甘ったれたあなたに耐えられるとは思えないけど……」
「ね、姉さま……?」
私はそこまで言うと、メープルと両親に軽く礼をして去って行った。今は少しでも屋敷から離れることが重要だ……これ以上は本当に、精神が持たないと思えたから。
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