妹に婚約者まで奪われました!~彼の本性を知って、なんとかしてと泣きつかれましたが、私は王子殿下と婚約中なので知りません~

ルイス

文字の大きさ
30 / 58

30話 転換点

しおりを挟む
「はあ……どうしようかしら……」


 ユアン様がアモネートの屋敷を訪れてから、3日が経過した。あの日のことは、お父様やお母様、メープルには話していない。元々は非公式の訪問だったしね。ただ、ユアン様達はこの3日の間で様々な準備を整えてくれたようだ。

 私が別の仕事で宮殿に向かった時、世間話を装って教えてくれた。


「シャルナ、君が屋敷を出た後、しばらくの間は宮殿内に住むと良い。表向きは、婚約者候補の一人として話を通している。君は堂々と正門から入ってくるだけでOKだ」


 ユアン様のお心遣いはとても嬉しかった。私は感謝以外は何も出来ないけれど……。私がアモネートの屋敷を離れる計画は着々と進んでいた。もういつでも実行できる段階にあると言える。


 でも、私のことを信頼してくれているドルチェ達を置いていくのは、少しだけ躊躇われた。私も永久的に出て行くわけではないので、このままアモネートの屋敷に居た方が、彼女たちは安全だろうけど。


「お父様、お母様!! 聞いてくださいよ~~! リシド様が私を拘束するなんて言うんです!」

「拘束ですって……!? 一体どういうことなの!?」

「なんと……あの、リシド様がそんなことを……!」

「このまま結婚したら、私は二度と日の目を見れないかもしれません~~!」


 私の部屋の近くの廊下では、メープルと両親が話をしているようだった。声が完全に漏れているけれど、メープルだったらそんなの気にしないだろう。

 それよりも……お父様とお母様はメープルの発言を完全に信じているように見受けられる。長年、メープルのわがままに悩まされてきた私からすると、確実に演技だと分かるトーンなんだけど。演技というよりは、真実を誇張して話しているように感じられる。

 そんなことをする理由がよく分からないけれど、もしかしたらリシド様に飽きたのかもしれない。過去にもメープルは、同じようなことをしたことがあるし……。

 私はそのタイミングで部屋を出た。メープルがどんな言葉を出してくるのか見定める為に。ある意味で転換点と言えるのかもしれない。


「あっ、姉さま! 酷いですよ!」


 また私を見るなり酷い発言……メープルは私への第一声はその言葉に固定しつつあった。


「いきなり何よ? まだ舞踏会での話を続ける気?」

「いいえ、そっちはどうでもいいんです! 器の大きい私ですから、特別に許してあげます!」

「特別にって……」


 メープルは謝罪することはおろか、全く反省していない。それどころか、特別に恩赦を与えると言わんばかりに私を見ていた。何発かビンタをした方が彼女の為になるのかもしれない……。

「それとは別にですね、姉さま!」

「なによ……?」

「リシド・ブレイク公爵があんな人だなんて、どうして教えてくれなかったんですか!?」

「はっ?」


 私は思わず素の声をあげてしまった。もしかしてメープルは……


「私に自由を与えてくれない旦那様なんて必要ないんです! おまけに私を拘束しようとするし……頼み事も全然聞いてくれなくなったし……!」


 やっぱり……ここに来て、メープルのわがままは限界突破をしたようね。私もこれ以上、彼女と話す気力がなかった。一度、拘束された方がいいだろうし……。

「お父様。私は縁談が決まるかもしれませんので、少しの間、屋敷を離れます。よろしいですね?」

「なに、縁談だと……? 一体、どなたと……?」

「王族の方々に呼ばれております。詳細が分かりましたら、ご連絡いたしますね」

「お、王族……? それは素晴らしい……!」

「ええ! 本当に凄いわ、シャルナ!」


 お父様とお母様の二人は何とも現金な顔つきをしていた……アモネート家の将来が約束された。そのように思っているのかもしれない。はあ、本当に情けない……。


「姉さまっ! そんなのズルいです……一人だけっ!」

「何を言ってるの、メープル? あなたには私から奪う程に愛しているリシド・ブレイク様がいらっしゃるでしょう? あの方は理不尽な婚約破棄をしたけれど、貴族としての振る舞いには誇りを持っているらしいから気を付けてね? 甘ったれたあなたに耐えられるとは思えないけど……」

「ね、姉さま……?」


 私はそこまで言うと、メープルと両親に軽く礼をして去って行った。今は少しでも屋敷から離れることが重要だ……これ以上は本当に、精神が持たないと思えたから。
しおりを挟む
感想 149

あなたにおすすめの小説

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています

平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした

カレイ
恋愛
 「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」  それが両親の口癖でした。  ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。  ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。  ですから私決めました!  王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。  

お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~

柚木ゆず
恋愛
 今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。  お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?  ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

【完結】記念日当日、婚約者に可愛くて病弱な義妹の方が大切だと告げられましたので

Rohdea
恋愛
昔から目つきが悪いことをコンプレックスにしている 伯爵令嬢のレティーシャ。 十回目のお見合いの失敗後、 ついに自分を受け入れてくれる相手、侯爵令息のジェロームと出逢って婚約。 これで幸せになれる─── ……はずだった。 ジェロームとの出逢って三回目の記念日となる目前、“義妹”のステイシーが現れるまでは。 義妹が現れてからの彼の変貌振りにショックを受けて耐えられなくなったレティーシャは、 周囲の反対を押し切って婚約の解消を申し出るが、 ジェロームには拒否され挙句の果てにはバカにされてしまう。 周囲とジェロームを納得させるには、彼より上の男性を捕まえるしかない! そう結論づけたレティーシャは、 公爵家の令息、エドゥアルトに目をつける。 ……が、彼はなかなかの曲者で────…… ※『結婚式当日、婚約者と姉に裏切られて惨めに捨てられた花嫁ですが』 こちらの話に出て来るヒーローの友人? 親友? エドゥアルトにも春を…… というお声を受けて彼の恋物語(?)となります。 ★関連作品★ 『誕生日当日、親友に裏切られて婚約破棄された勢いでヤケ酒をしましたら』 エドゥアルトはこちらの話にも登場してます! 逃走スマイルベビー・ジョシュアくんの登場もこっちです!(※4/5追記)

処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!

秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。 民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。 「おまえたちは許さない」 二度目の人生。 エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。 彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。 1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。 「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」 憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。 二人の偽りの婚約の行く末は……

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~

村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。 だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。 私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。 ……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。 しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。 えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた? いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?

処理中です...