学園祭で侯爵令息にいきなり婚約破棄されました!

ルイス

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9話

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「チェスター王子殿下! どうしてあなた様がここに……こんな一般区画に来るなんて……」

「特別区画と一般区画を今さら分ける意味はない気がするがな。まあ、そんなことはどうでもいい。ヨシュア……非常に残念だよ」


「あ、いや……こ、これは……!」


 シャリーが出て来たことは無視しているヨシュアだったけれど、流石にチェスター王子殿下が出て来たときは顔色が変わっていた。まあ、当たり前のことだけれど……。それに言い逃れもできないしね。


「ヨシュア、リッカ。先ほどの言葉に嘘はないようだな? エスメラルダに対しての非礼……とても見逃せるものではないぞ」

「ち、違うんです! 王子殿下……!」

「なにが違うと言うんだ? エスメラルダの教室の机が表に出されたのも、アルドが性的な嫌がらせをしたのも、全てはお前が引き金ではないか!」

「ひ、ひい……! ですが、ですが私はそんなことを命令したことはありませんし……そいつらが勝手にやっただけで……」


 ヨシュアはここに来てもまだ、無駄な言い訳を始めていた。そんなこと通用するはずがないのに……それどころか逆に印象が悪くなると思われる。

「お前が直接やっていないとしても、自分に罪がないとでも言いたいのか? あり得ないな……お前が行ったことは苛めに拡張されてもおかしくない行為だ。そして、その拡張は実際に行われた。お前が直接手を下したも同然だな。おそらく、普通のエスメラルダ相手ではあんな行為は行われなかっただろうし」

「そ、そんな……!」

「実行犯たちも罪には問われるが、お前は最も重い罪に問われることを覚悟してもらおうか」

「つ、罪……!?」


 これはもう犯罪行為だとチェスター王子殿下は言ったも同然だった。ヨシュアもリッカも先ほどから震えて今にも膝から崩れ落ちそうだった。


「罪になるなんて……そんな! ちょっと、ヨシュア! そんなの聞いてないわよ!?」

「わ、私だって聞いていないよ、そんなこと……!」

「リッカの方はともかくとして、ヨシュア、お前は家を巻き込んでしまったな。罰などについてはまた今度、お前の家でしっかりと話そうか」

「ちぇ、チェスター王子殿下……ご、ご慈悲を……!」

「今さら遅すぎる。罪をおかせば後戻りはできないのだ。しっかりと脳に焼き付けておけ」


 まさに正義の鉄槌を下された感じだった。私もシャリーも思わずチェスター王子殿下に見惚れている。う~ん、格好いい! まさに王子様の鑑みたいな人ね。こんな人が婚約者だったらよかった……なんて考えるのは贅沢だろうか。
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