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第431話 実食! トルティージャライス配信
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~~シュンカトウ騎士団四天王第三の槍 ザザード~~
急遽、決まったエキシビションマッチ。
今回は【オムライス】をテーマにした料理対決という事で、ジュール店長とアオギチーム、そしてワット店長とレガリスチームの対決となった。
対決を行う事になった理由について、上層部は教えてはくれていないが、私としては確実に、ジュールの店の売り上げが圧倒的に伸び悩んでいる事が理由だろうなと感じていた。
だって、誰が見ても明らかなくらい、ジュールの店の直営店と、ワットの店の直営店には、明らかに差があると感じていたから。ワットの店はこの大会で確実にお客様の心を掴むという事をしっかりやり遂げており、売り上げとしてはジュールの店の直営店の2倍か3倍ほど稼いでいるそうなのだ。
そのため、急遽エキシビションマッチとして、ジュール店長とワット店長の対決が決まったそうなのである。
とりあえず、先の1回戦と2回戦はジュールの店が先に審査されるという流れになっていたので、エキシビションマッチはワット店の審査から始めようと、私はそう思って、スタッフの皆様に指示を出す。
「それではまず、ワット店長とレガリスチームからの料理の審査からお願い致します」
私がそう言うと共に、スワロウ商工組合のスタッフさん達が審査員の皆様の前に、ワットの店が作り出した料理が並ぶ。
「ワットさん、料理名の説明をお願いします」
「はい。【ホワイトサモーンチーズ入りトルティージャライス】になります」
トルティージャとは何かとワット店長に聞くと、ジャガイモと玉ねぎを使った素朴なオムライス料理らしい。ふっくらと膨らんだあの卵の中には、手ごろな大きさに切り揃えられた具材が入っているという料理らしい。
今回の場合で言うと、ジャガイモと玉ねぎ、それにホワイトサモーンチーズが入ったトルティージャオムレツの下に、チキンライスが乗っているという感じでしょうか?
「では、皆様! 実食――って、え?」
実食をお願いしようとしたところ、スッと、ワット店長が私の目の前に、【ホワイトサモーンチーズ入りトルティージャライス】を差し出して来た。
「審査員とは別に、司会のお二方用にも作らせていただきました。実況するにも、味を知った方が良い。知らない方よりは良い」
なんと、司会である私とダラに対しても、料理をくださると?! 一見すると賄賂のように思えてしまう行動ではあるが、ワット店長の顔からはそういった感情は一切感じない。だったらレガリスの差し金かと思うも、レガリス自身も「え?」と驚いている様子から見ると、彼女も知らなかったみたいである。
「(まぁ、確かに司会としては審査員の反応から味を想定するよりも、きちんと食べて実況した方が良いに決まっている)」
私はワット店長からの料理を受け取り、一口パクリと食べる。
すると、口の中に広がって来るのは、チーズの美味しい甘さ。それにくるまれた玉ねぎとジャガイモの美味しさである。卵の中でじっくり美味しく調理された3種の具材が、口の中で美味しさのハーモニーを奏でていく。
しかし、それだけではなく、この3種の具材による美味しさに慣れて来たと思ったら、さらに奥からもう一段、玉ねぎがどっと凝縮された甘味が口の中へと入って行く。それだけではなく、香ばしい香りも口いっぱいに広がって行くようだ。
「これは……! チーズの美味しさだけではなく、玉ねぎの濃縮された甘味が感じられる一品ですね! この玉ねぎの甘味はどのようにして出しているのでしょうか?」
「それにつきましては――」
と、ワット店長の視線が、レガリスの方に向く。
なるほど、彼女のアイデアかと即座に理解した私は、マイクをレガリスへと向けた。
「では、レガリスさん。よろしければ、その事について、教えていただけると助かるのですが」
「えっと……キャラメリゼしたんです」
いつもの堂々としたリーダータイプのレガリスにしては、少々控えめな意見だなと感じつつ、私はキャラメリゼしたからこそ、この甘味が感じられたんだと納得していた。
キャラメリゼ、またの名をキャラメル化は、砂糖などの糖類を加熱することで、褐色の色に変化させる。それだけではなく、香ばしい風味と苦味を加え、パリッとした食感を出す調理法の事である。
砂糖や水飴を鍋で煮詰めたり、ナッツなどをキャラメルでコーティングするなどがあるが、今回は糖類が豊富に含まれていて甘味が強いスィーツオニオンを煮詰めて、キャラメリゼしたモノを加えて、オムレツの味をさらに深めたという事でしょう。
「しかし、ただ甘い玉ねぎを入れるだけでは、素朴な味が魅力であるトルティージャでは、失敗する可能性もあったのでは?」
「それは、そうですが……妾は失敗しません。これまで多くの料理を作って来た経験があるのですから!」
ふんすっと、自信満々に言い切るレガリス。そしてその様子を「良く言ってくれました」と、ワット店長は嬉しそうに見ているのであった。
急遽、決まったエキシビションマッチ。
今回は【オムライス】をテーマにした料理対決という事で、ジュール店長とアオギチーム、そしてワット店長とレガリスチームの対決となった。
対決を行う事になった理由について、上層部は教えてはくれていないが、私としては確実に、ジュールの店の売り上げが圧倒的に伸び悩んでいる事が理由だろうなと感じていた。
だって、誰が見ても明らかなくらい、ジュールの店の直営店と、ワットの店の直営店には、明らかに差があると感じていたから。ワットの店はこの大会で確実にお客様の心を掴むという事をしっかりやり遂げており、売り上げとしてはジュールの店の直営店の2倍か3倍ほど稼いでいるそうなのだ。
そのため、急遽エキシビションマッチとして、ジュール店長とワット店長の対決が決まったそうなのである。
とりあえず、先の1回戦と2回戦はジュールの店が先に審査されるという流れになっていたので、エキシビションマッチはワット店の審査から始めようと、私はそう思って、スタッフの皆様に指示を出す。
「それではまず、ワット店長とレガリスチームからの料理の審査からお願い致します」
私がそう言うと共に、スワロウ商工組合のスタッフさん達が審査員の皆様の前に、ワットの店が作り出した料理が並ぶ。
「ワットさん、料理名の説明をお願いします」
「はい。【ホワイトサモーンチーズ入りトルティージャライス】になります」
トルティージャとは何かとワット店長に聞くと、ジャガイモと玉ねぎを使った素朴なオムライス料理らしい。ふっくらと膨らんだあの卵の中には、手ごろな大きさに切り揃えられた具材が入っているという料理らしい。
今回の場合で言うと、ジャガイモと玉ねぎ、それにホワイトサモーンチーズが入ったトルティージャオムレツの下に、チキンライスが乗っているという感じでしょうか?
「では、皆様! 実食――って、え?」
実食をお願いしようとしたところ、スッと、ワット店長が私の目の前に、【ホワイトサモーンチーズ入りトルティージャライス】を差し出して来た。
「審査員とは別に、司会のお二方用にも作らせていただきました。実況するにも、味を知った方が良い。知らない方よりは良い」
なんと、司会である私とダラに対しても、料理をくださると?! 一見すると賄賂のように思えてしまう行動ではあるが、ワット店長の顔からはそういった感情は一切感じない。だったらレガリスの差し金かと思うも、レガリス自身も「え?」と驚いている様子から見ると、彼女も知らなかったみたいである。
「(まぁ、確かに司会としては審査員の反応から味を想定するよりも、きちんと食べて実況した方が良いに決まっている)」
私はワット店長からの料理を受け取り、一口パクリと食べる。
すると、口の中に広がって来るのは、チーズの美味しい甘さ。それにくるまれた玉ねぎとジャガイモの美味しさである。卵の中でじっくり美味しく調理された3種の具材が、口の中で美味しさのハーモニーを奏でていく。
しかし、それだけではなく、この3種の具材による美味しさに慣れて来たと思ったら、さらに奥からもう一段、玉ねぎがどっと凝縮された甘味が口の中へと入って行く。それだけではなく、香ばしい香りも口いっぱいに広がって行くようだ。
「これは……! チーズの美味しさだけではなく、玉ねぎの濃縮された甘味が感じられる一品ですね! この玉ねぎの甘味はどのようにして出しているのでしょうか?」
「それにつきましては――」
と、ワット店長の視線が、レガリスの方に向く。
なるほど、彼女のアイデアかと即座に理解した私は、マイクをレガリスへと向けた。
「では、レガリスさん。よろしければ、その事について、教えていただけると助かるのですが」
「えっと……キャラメリゼしたんです」
いつもの堂々としたリーダータイプのレガリスにしては、少々控えめな意見だなと感じつつ、私はキャラメリゼしたからこそ、この甘味が感じられたんだと納得していた。
キャラメリゼ、またの名をキャラメル化は、砂糖などの糖類を加熱することで、褐色の色に変化させる。それだけではなく、香ばしい風味と苦味を加え、パリッとした食感を出す調理法の事である。
砂糖や水飴を鍋で煮詰めたり、ナッツなどをキャラメルでコーティングするなどがあるが、今回は糖類が豊富に含まれていて甘味が強いスィーツオニオンを煮詰めて、キャラメリゼしたモノを加えて、オムレツの味をさらに深めたという事でしょう。
「しかし、ただ甘い玉ねぎを入れるだけでは、素朴な味が魅力であるトルティージャでは、失敗する可能性もあったのでは?」
「それは、そうですが……妾は失敗しません。これまで多くの料理を作って来た経験があるのですから!」
ふんすっと、自信満々に言い切るレガリス。そしてその様子を「良く言ってくれました」と、ワット店長は嬉しそうに見ているのであった。
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