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第5章 瀉血の刑
第29話 純潔の血の在処
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茜の肉体を満たすのに的確な血。それは、本来ならば茜自身の血なのだ。だが、本来は純潔であるはずの茜の血は、年月とともに俗世間の穢れにより虚しく汚され、今や泥水にも等しい。
「泥水……いや、糞尿にすら劣る程の醜さだ……臭い、汚い、汚らわしい……」
床を濡らす、そのどろどろに濁ったその血は、黒く乾き変色し最早本来の純潔な茜の血とは思えない程の汚液に成り下がってしまった。愚かな世俗の穢れが茜の血を汚し、やがてそれは身体中を循環し、茜の心まで腐らせてしまった。茜が僕を拒否し続けてきたのも、この血が茜の心までも汚していたからに違いない。
こんな汚らわしい血は、茜の肉体を満たすのに相応しくない。一滴残らず吸い出してやりたい。
だが、生き物である以上は血の循環がなければ死んでしまう。血など無くとも生きられるような身体にいつかは茜を造り替えたいとは思っているが、現状の技術では到底不可能だ。だから、今の僕には……茜の血を、綺麗で淀みのない血に移し替えてやることくらいしかできない。
だが、最大の問題は誰の血を移し替えるかだ。凡人の汚らわしい血を茜に注ぐことになってしまえば、本末転倒。新たに茜の肉体を構築する純潔の血の一滴にまで、僕はこだわなければならない。茜の美の保全のためならば、僕は一切の妥協はしない。
「……茜、すぐにその淀んだ血を抜き取って、綺麗な血を吸わせてあげるからね。もう少し……待っていてくれ。その穢れた血を一滴残らず吸い出してやれば、君はまた一歩、僕の理想の聖処女に近付く」
本来の茜の純潔な血を取り戻すためには、少しずつでも茜の血を確実に浄化してやらなければならない。最初は完全な純潔でなくとも、ひとまず汚れの少ない茜に相応しい血を手に入れる必要がある。そして、更に美しい血を探し出し、また茜に注ぎ込む。
そして、やがて辿り着く。僕と聖処女だけの理想郷へ。
「茜の血……茜と同じ血を宿している者……」
そして、僕は一つの結論に辿り着いた。茜により近い存在……つまりは親族。親族の者の血こそ、純潔に近い血として茜の肉体を構成するに相応しい血だという結論に至ったのだ。
茜自身の血ではなくとも、それに限りなく近い人間……つまり近親者の血を茜に輸血してやれば、茜の身も心も少しは浄化されるはずだろう。
父の血、母の血? いや、違う。幼く、まだ世俗の穢れが浸透しきっていない少女の血……そう、茜の部品として最も血を捧げるのに相応しいのは、茜の妹である少女『吹山 葵』の血。
茜の家族構成などとっくに把握している。茜には、葵という名の妹がいる事も僕は既に知っていた。
なら話は早い。茜の実妹、吹山 葵を早急に手中に収め、彼女の血を一滴残らず姉である茜に注いでやろう。
葵は茜という大作を仕上げるための部品の一部。偉大なる姉の『部品』となれるのだから、葵も本望だろう。
「吹山 葵、君は光栄に思うべきだ。君は……唯一無二の聖処女の誕生に、大きく貢献することができるのだから」
そして茜、君は幸福だ。実の妹の身体と引き換えに……君は唯一無二の聖処女へとまた一歩近づくのだ。
「泥水……いや、糞尿にすら劣る程の醜さだ……臭い、汚い、汚らわしい……」
床を濡らす、そのどろどろに濁ったその血は、黒く乾き変色し最早本来の純潔な茜の血とは思えない程の汚液に成り下がってしまった。愚かな世俗の穢れが茜の血を汚し、やがてそれは身体中を循環し、茜の心まで腐らせてしまった。茜が僕を拒否し続けてきたのも、この血が茜の心までも汚していたからに違いない。
こんな汚らわしい血は、茜の肉体を満たすのに相応しくない。一滴残らず吸い出してやりたい。
だが、生き物である以上は血の循環がなければ死んでしまう。血など無くとも生きられるような身体にいつかは茜を造り替えたいとは思っているが、現状の技術では到底不可能だ。だから、今の僕には……茜の血を、綺麗で淀みのない血に移し替えてやることくらいしかできない。
だが、最大の問題は誰の血を移し替えるかだ。凡人の汚らわしい血を茜に注ぐことになってしまえば、本末転倒。新たに茜の肉体を構築する純潔の血の一滴にまで、僕はこだわなければならない。茜の美の保全のためならば、僕は一切の妥協はしない。
「……茜、すぐにその淀んだ血を抜き取って、綺麗な血を吸わせてあげるからね。もう少し……待っていてくれ。その穢れた血を一滴残らず吸い出してやれば、君はまた一歩、僕の理想の聖処女に近付く」
本来の茜の純潔な血を取り戻すためには、少しずつでも茜の血を確実に浄化してやらなければならない。最初は完全な純潔でなくとも、ひとまず汚れの少ない茜に相応しい血を手に入れる必要がある。そして、更に美しい血を探し出し、また茜に注ぎ込む。
そして、やがて辿り着く。僕と聖処女だけの理想郷へ。
「茜の血……茜と同じ血を宿している者……」
そして、僕は一つの結論に辿り着いた。茜により近い存在……つまりは親族。親族の者の血こそ、純潔に近い血として茜の肉体を構成するに相応しい血だという結論に至ったのだ。
茜自身の血ではなくとも、それに限りなく近い人間……つまり近親者の血を茜に輸血してやれば、茜の身も心も少しは浄化されるはずだろう。
父の血、母の血? いや、違う。幼く、まだ世俗の穢れが浸透しきっていない少女の血……そう、茜の部品として最も血を捧げるのに相応しいのは、茜の妹である少女『吹山 葵』の血。
茜の家族構成などとっくに把握している。茜には、葵という名の妹がいる事も僕は既に知っていた。
なら話は早い。茜の実妹、吹山 葵を早急に手中に収め、彼女の血を一滴残らず姉である茜に注いでやろう。
葵は茜という大作を仕上げるための部品の一部。偉大なる姉の『部品』となれるのだから、葵も本望だろう。
「吹山 葵、君は光栄に思うべきだ。君は……唯一無二の聖処女の誕生に、大きく貢献することができるのだから」
そして茜、君は幸福だ。実の妹の身体と引き換えに……君は唯一無二の聖処女へとまた一歩近づくのだ。
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