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第5章 瀉血の刑
第30話 地獄への入口
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早速、僕は妹の葵を呼び出す為に行動を始めた。
茜のスマートフォンから葵に接触をし、とりあえずこの場に来てもらうように仕向ける。相手は子供だ、少し不安を煽れば口車に乗せる事くらい容易いだろう。
茜のスマートフォンには幸いロックは掛けられておらず、すんなりと中身のデータを確認する事が出来た。
その機械の中に僕の知らない茜の情報が潜んでいるかもしれないと思うと興奮を覚えるが、今の目的はそうではない。
スマートフォンから、吹山 葵とコンタクトを取るのが最優先の目的だ。
「年齢の割には随分と幼いが、茜の面影がある美しい少女だ」
コミュニティアプリのプロフィール画像には幼めの少女が友人達と撮ったであろう笑顔が表示されていた。
子供っぽさが目立つが、やはり茜と同じように美しく気品のある少女。
僕は確信する。やはり彼女から湧き出る血こそが茜に相応しいと。
着信履歴には妹・葵の名がずらりと並んでいた。この数日間の中、家に帰らない姉へとこまめに連絡をしていた事が伺える。
そして、僕はその葵の着信に折り返すべく、画面を操作する。
葵へ着信を折り返すと、すぐに電話は繋がった。
『お姉ちゃん! お姉ちゃん大丈夫なの!?』
焦ったような、少し怒ったような口調で、妹の葵は姉の身を案じる。
『家にもずっも帰らないで連絡も無くて……何してたの?! 電話の一本くらい……』
こちらの声を聞こうともせず、葵は一方的に言葉を投げかける。それだけ姉の身を案じていたのだろう。
しかし、僕はあえて葵を焦らす様に言葉を発しなかった。
『どうして、黙ってるの……ねぇ、お姉ちゃん』
しかし、一切返答の無いこちら側に対し、流石に葵も不信感を抱いたようだ。
子供らしく、感情が読み取りやすい。
「すまない、僕は君のお姉ちゃんではないんだ」
『……誰、誰なの? お姉ちゃんは……』
姉のスマートフォンからは、姉の声ではなく僕の声が返ってきた。その事に葵は驚きを隠せないようだ。
「ああ、茜ね。今は僕の自宅いるから心配しなくていい。僕と彼女は同じ大学の友人でね、彼女の体調が優れないというから、一時的に僕の家で休ませていたんだ」
『でも、そんな連絡一本も無くて……』
「大事にしたくないし、家族には回復したら連絡すると茜本人が言っていたんだ。けれど、流石にこれだけの期間になるとご家族も心配するだろうと、僕が勝手ながら彼女のスマートフォンから妹さんに連絡させてもらったんだ」
僕はあくまで茜の友人で、体調不良の茜を保護し、更にその連絡の為の行動であるように装う。
『はぁ……』
「そこで頼みなんだが、茜を迎えに来てくれないかな? 随分と体調は回復したみたいだけど、一人で帰すのも心配だし……ああ、住所は教えるから」
『えっ……でも』
僕の言葉に、流石に子供といっても警戒しているようで、馬鹿ではないようだ。
『あの……とりあえずお父さんとお母さんに、伝えてから……』
「ああ、でも大事にしたくないからとりあえずは誰にも言わず妹さん一人で迎えに来てくれないかな? まぁ単なる付き添いだし、そこまで騒ぐ事でも無いから」
僕は葵に猶予を与えず、決断を迫る。こういった場面で時間を与えず、考える暇を与えないことが重要なのだ。
『そう、ですか……』
「ああ、ではすぐにでも迎えに来てくれるとありがたい。場所は……」
純粋というか、幼稚な子供である葵は簡単に丸め込めた。所詮は子供、大人のいう事には素直に頷いてしまうものだ。
こうして、吹山 葵を僕と茜の元へ向かわせる事には成功した。
これから自身がどのような仕打ちを受けるかも知ぬまま、葵は着々と僕の元へと向かい始めたのだ。
茜のスマートフォンから葵に接触をし、とりあえずこの場に来てもらうように仕向ける。相手は子供だ、少し不安を煽れば口車に乗せる事くらい容易いだろう。
茜のスマートフォンには幸いロックは掛けられておらず、すんなりと中身のデータを確認する事が出来た。
その機械の中に僕の知らない茜の情報が潜んでいるかもしれないと思うと興奮を覚えるが、今の目的はそうではない。
スマートフォンから、吹山 葵とコンタクトを取るのが最優先の目的だ。
「年齢の割には随分と幼いが、茜の面影がある美しい少女だ」
コミュニティアプリのプロフィール画像には幼めの少女が友人達と撮ったであろう笑顔が表示されていた。
子供っぽさが目立つが、やはり茜と同じように美しく気品のある少女。
僕は確信する。やはり彼女から湧き出る血こそが茜に相応しいと。
着信履歴には妹・葵の名がずらりと並んでいた。この数日間の中、家に帰らない姉へとこまめに連絡をしていた事が伺える。
そして、僕はその葵の着信に折り返すべく、画面を操作する。
葵へ着信を折り返すと、すぐに電話は繋がった。
『お姉ちゃん! お姉ちゃん大丈夫なの!?』
焦ったような、少し怒ったような口調で、妹の葵は姉の身を案じる。
『家にもずっも帰らないで連絡も無くて……何してたの?! 電話の一本くらい……』
こちらの声を聞こうともせず、葵は一方的に言葉を投げかける。それだけ姉の身を案じていたのだろう。
しかし、僕はあえて葵を焦らす様に言葉を発しなかった。
『どうして、黙ってるの……ねぇ、お姉ちゃん』
しかし、一切返答の無いこちら側に対し、流石に葵も不信感を抱いたようだ。
子供らしく、感情が読み取りやすい。
「すまない、僕は君のお姉ちゃんではないんだ」
『……誰、誰なの? お姉ちゃんは……』
姉のスマートフォンからは、姉の声ではなく僕の声が返ってきた。その事に葵は驚きを隠せないようだ。
「ああ、茜ね。今は僕の自宅いるから心配しなくていい。僕と彼女は同じ大学の友人でね、彼女の体調が優れないというから、一時的に僕の家で休ませていたんだ」
『でも、そんな連絡一本も無くて……』
「大事にしたくないし、家族には回復したら連絡すると茜本人が言っていたんだ。けれど、流石にこれだけの期間になるとご家族も心配するだろうと、僕が勝手ながら彼女のスマートフォンから妹さんに連絡させてもらったんだ」
僕はあくまで茜の友人で、体調不良の茜を保護し、更にその連絡の為の行動であるように装う。
『はぁ……』
「そこで頼みなんだが、茜を迎えに来てくれないかな? 随分と体調は回復したみたいだけど、一人で帰すのも心配だし……ああ、住所は教えるから」
『えっ……でも』
僕の言葉に、流石に子供といっても警戒しているようで、馬鹿ではないようだ。
『あの……とりあえずお父さんとお母さんに、伝えてから……』
「ああ、でも大事にしたくないからとりあえずは誰にも言わず妹さん一人で迎えに来てくれないかな? まぁ単なる付き添いだし、そこまで騒ぐ事でも無いから」
僕は葵に猶予を与えず、決断を迫る。こういった場面で時間を与えず、考える暇を与えないことが重要なのだ。
『そう、ですか……』
「ああ、ではすぐにでも迎えに来てくれるとありがたい。場所は……」
純粋というか、幼稚な子供である葵は簡単に丸め込めた。所詮は子供、大人のいう事には素直に頷いてしまうものだ。
こうして、吹山 葵を僕と茜の元へ向かわせる事には成功した。
これから自身がどのような仕打ちを受けるかも知ぬまま、葵は着々と僕の元へと向かい始めたのだ。
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