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第5章 瀉血の刑
第31話 囚われの少女
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それから一時間も経たないうちに僕の自宅のインターフォンが鳴り響いた。
玄関を開けると、そこには小さく愛らしい幼い少女が、心配な表情で立ち尽くしていた。その様子は怯えた小動物のようだった。
「やぁ、君が茜の妹さん?」
「はい、あの……姉が大変お世話になったみたいで……ありがとうございます」
僕の顔を見た瞬間、葵は少しぎょっとした様な様子だった。あの完全無欠、才色兼備である姉の友人が、こんなにも醜い男だとは思っていなかったのだろう。子供らしい正直な反応だ。
「いやいや、大したことはしていないよ。さぁ上がって、遠慮しないで」
「は、はい……」
葵の表情には緊張と、それ以上の警戒と疑念が確かに同居していた。子供ながら僅かでも不信感は持っているらしい。
だが、こうして僕の元まで足を運んだ時点でいかなる警戒も疑念も意味を持たない。
僕には、いかなる手段を用いても彼女たち姉妹を支配する権利と責任があるのだから。そしてその権利と責任を果たす為ならば、どんな残酷で卑劣な行為も行う覚悟がある。
そこから逃れる術などありはしない。
葵を家に招き入れても、葵の警戒は更に強まるばかりだった。
「あの、姉はどこに……?」
とりあえずリビングに招き入れ、お茶を勧めるも葵は遠慮がちだった。
終始落ち着かない様子で、葵の意識は、常に姉の茜に対して向けられていたのだ。
「ああ、正確にはこの家の中にはいないんだ。下にガレージがあっただろう? そこで眠っている」
「ガレージ……どうして?」
「まぁ、色々事情があってね。とりあえず、ガレージに降りようか。家から直接、階段で降りれるようにしているから」
僕の言葉に、葵の疑念は一層深まったような様子だった。だが、姉の所在を聞き、今すぐに駆けつけたいという思いからか葵は特に逆らうことも無くガレージに繋がる階段を降りて行った。
「じゃあ、行こう」
こうして、葵は決して逃れる事の出来ない地獄へと自らの足を踏み入れる事となったのだ。
ガレージ内は漆黒に包まれていた。この光の無い世界に、葵の姉である茜は眠っている。
僕と二人だけのこの世界で。
「あの……暗くてよく見えないんですけど」
葵は怖がりながらも、姉の為に暗闇の中を恐る恐る進んでいく。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん? いるの……?」
姉を想う純粋な気持ちだけが、幼い葵を暗闇の中へ進ませる。
そして、葵の足は徐々に生まれ変わった姉である茜の元へと向かっていく。
姉妹の感動的な再開に、僕はガラにもなく若干の興奮を覚えてしまう。
そして、葵の耳元でこう囁いた。
「葵ちゃん、よく見てごらん。お姉ちゃんなら、君の目の前にいるじゃないか」
葵が手術台の目前にまで迫ったとき、僕はそう囁いてガレージ内の照明の電源を入れる。
ガレージ内の闇が晴れ、一瞬で視界が光に満たされて広がる。
「ひっ……」
そして、光が満ちたと同時に葵は短い悲鳴をあげ、その場に尻餅をつく。
「……なに、これ」
葵は、手術台に拘束され、横たわった姉……今まで見たことのない姿の姉・葵の姿に驚愕していた。
「お姉ちゃん? お姉ちゃん……なに、なにこれ……っ」
葵が茜に向ける目には、驚愕と恐怖が満ちていた。四肢を切り落とされ、代わりに人形の手足を埋め込まれた姉の姿。何度見ても芸術品のように美しく、崇高な美であると僕は改めて実感する。
だが、残念ながら凡人の葵にもこの茜の美しい身体を理解することはできなかったようだ。吐き気を堪え口元を抑えながら、葵は茜の顔を恐る恐る覗き込む。
「こんな……なに、これ……生きてる、の?」
狼狽える葵、それとは対照的に屍のように虚空を見つめる茜。どうやら目の前の実妹すら認識出来ない程に茜は消耗している様だ。
「おいおい、大好きなお姉ちゃんに対してこれは無いだろう。こんなにも美しく生まれ変わったのに」
「でも、手と、足が……ッ」
四肢を人形に造り替えられた姉を見て、葵は半泣きになっていた。
それを見て僕は、一体、何を悲しむことがあるのだろうという疑問を感じながらも、茜の頬に優しく触れた。
「造り替えてあげたんだよ、僕がね」
「あなたが……」
葵はようやく事の重大さに気付いたようで、腰を抜かしながらも這いずり出口へと向かおうとする。
「ひっ……」
だが、僕はすかさず葵の長い髪を鷲掴みにし、逃走を阻止する。
「あ、 ……た、たすけ……っ!」
恐怖でうまく発声すらできなくなっていた葵。
そんな少女を、僕は容赦なく殴りつけ、拘束する。
「すまないね葵ちゃん。僕は君を騙して、ここに呼び込んだんだ。大好きな姉……茜のために、妹として色々と協力してもらおうと思ってね」
「いや……っ、嫌ぁあぁ!」
僕の拘束を振りほどこうと、葵は小さな身体で必死に抵抗する。
しかし、少女の力など取るに足らない。僕は力づくで葵の拘束を進める。そしてもう一発、口元を殴りつけ静かにさせる。
「おいおい、大好きなお姉ちゃんを見捨てて逃げるのか? 茜と違って薄情な子だ。まぁ……この際は君の人格は考慮しないでおこう。人の血には人格は関係ないんだから」
僕が欲しいのは葵の血であって、言ってしまえば葵は生きた輸血パックなのだ。
それ以外の点は、考慮する必要など無い。
つまり、その役割さえ満たしてしまえばどのような処理をしようとも何の問題も無い。
もしくは、違うパーツとして茜の役に立ってもらう事も。
玄関を開けると、そこには小さく愛らしい幼い少女が、心配な表情で立ち尽くしていた。その様子は怯えた小動物のようだった。
「やぁ、君が茜の妹さん?」
「はい、あの……姉が大変お世話になったみたいで……ありがとうございます」
僕の顔を見た瞬間、葵は少しぎょっとした様な様子だった。あの完全無欠、才色兼備である姉の友人が、こんなにも醜い男だとは思っていなかったのだろう。子供らしい正直な反応だ。
「いやいや、大したことはしていないよ。さぁ上がって、遠慮しないで」
「は、はい……」
葵の表情には緊張と、それ以上の警戒と疑念が確かに同居していた。子供ながら僅かでも不信感は持っているらしい。
だが、こうして僕の元まで足を運んだ時点でいかなる警戒も疑念も意味を持たない。
僕には、いかなる手段を用いても彼女たち姉妹を支配する権利と責任があるのだから。そしてその権利と責任を果たす為ならば、どんな残酷で卑劣な行為も行う覚悟がある。
そこから逃れる術などありはしない。
葵を家に招き入れても、葵の警戒は更に強まるばかりだった。
「あの、姉はどこに……?」
とりあえずリビングに招き入れ、お茶を勧めるも葵は遠慮がちだった。
終始落ち着かない様子で、葵の意識は、常に姉の茜に対して向けられていたのだ。
「ああ、正確にはこの家の中にはいないんだ。下にガレージがあっただろう? そこで眠っている」
「ガレージ……どうして?」
「まぁ、色々事情があってね。とりあえず、ガレージに降りようか。家から直接、階段で降りれるようにしているから」
僕の言葉に、葵の疑念は一層深まったような様子だった。だが、姉の所在を聞き、今すぐに駆けつけたいという思いからか葵は特に逆らうことも無くガレージに繋がる階段を降りて行った。
「じゃあ、行こう」
こうして、葵は決して逃れる事の出来ない地獄へと自らの足を踏み入れる事となったのだ。
ガレージ内は漆黒に包まれていた。この光の無い世界に、葵の姉である茜は眠っている。
僕と二人だけのこの世界で。
「あの……暗くてよく見えないんですけど」
葵は怖がりながらも、姉の為に暗闇の中を恐る恐る進んでいく。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん? いるの……?」
姉を想う純粋な気持ちだけが、幼い葵を暗闇の中へ進ませる。
そして、葵の足は徐々に生まれ変わった姉である茜の元へと向かっていく。
姉妹の感動的な再開に、僕はガラにもなく若干の興奮を覚えてしまう。
そして、葵の耳元でこう囁いた。
「葵ちゃん、よく見てごらん。お姉ちゃんなら、君の目の前にいるじゃないか」
葵が手術台の目前にまで迫ったとき、僕はそう囁いてガレージ内の照明の電源を入れる。
ガレージ内の闇が晴れ、一瞬で視界が光に満たされて広がる。
「ひっ……」
そして、光が満ちたと同時に葵は短い悲鳴をあげ、その場に尻餅をつく。
「……なに、これ」
葵は、手術台に拘束され、横たわった姉……今まで見たことのない姿の姉・葵の姿に驚愕していた。
「お姉ちゃん? お姉ちゃん……なに、なにこれ……っ」
葵が茜に向ける目には、驚愕と恐怖が満ちていた。四肢を切り落とされ、代わりに人形の手足を埋め込まれた姉の姿。何度見ても芸術品のように美しく、崇高な美であると僕は改めて実感する。
だが、残念ながら凡人の葵にもこの茜の美しい身体を理解することはできなかったようだ。吐き気を堪え口元を抑えながら、葵は茜の顔を恐る恐る覗き込む。
「こんな……なに、これ……生きてる、の?」
狼狽える葵、それとは対照的に屍のように虚空を見つめる茜。どうやら目の前の実妹すら認識出来ない程に茜は消耗している様だ。
「おいおい、大好きなお姉ちゃんに対してこれは無いだろう。こんなにも美しく生まれ変わったのに」
「でも、手と、足が……ッ」
四肢を人形に造り替えられた姉を見て、葵は半泣きになっていた。
それを見て僕は、一体、何を悲しむことがあるのだろうという疑問を感じながらも、茜の頬に優しく触れた。
「造り替えてあげたんだよ、僕がね」
「あなたが……」
葵はようやく事の重大さに気付いたようで、腰を抜かしながらも這いずり出口へと向かおうとする。
「ひっ……」
だが、僕はすかさず葵の長い髪を鷲掴みにし、逃走を阻止する。
「あ、 ……た、たすけ……っ!」
恐怖でうまく発声すらできなくなっていた葵。
そんな少女を、僕は容赦なく殴りつけ、拘束する。
「すまないね葵ちゃん。僕は君を騙して、ここに呼び込んだんだ。大好きな姉……茜のために、妹として色々と協力してもらおうと思ってね」
「いや……っ、嫌ぁあぁ!」
僕の拘束を振りほどこうと、葵は小さな身体で必死に抵抗する。
しかし、少女の力など取るに足らない。僕は力づくで葵の拘束を進める。そしてもう一発、口元を殴りつけ静かにさせる。
「おいおい、大好きなお姉ちゃんを見捨てて逃げるのか? 茜と違って薄情な子だ。まぁ……この際は君の人格は考慮しないでおこう。人の血には人格は関係ないんだから」
僕が欲しいのは葵の血であって、言ってしまえば葵は生きた輸血パックなのだ。
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