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第5章 瀉血の刑
第28話 醜く汚れた血
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抜歯が全て完了した頃には、既に床は茜の血と涎が混じった粘液に汚されていた。とても茜の内側から生成されたものだとは思えない程に濁りきり、汚らしい粘液が夥しい量ぶちまけられ、お世辞にも美しいとは言えない光景だった。
「ああ……随分と汚してしまって、お行儀が悪いぞ茜」
抜歯の痛みに耐えきれず、茜が口元からだらしなく垂れ流し続けた夥しい量の汚液が、茜の苦痛そのものを表していると言っても過言ではないだろう。
「ッ……ァ………ぁ……」
茜は度重なる激痛により放心状態に陥っており、今もなお口元をだらしなく開き、既に歯が一本も無い口元の隙間から赤く濁った涎を垂れ流している。
あの大学内のマドンナだった眉目秀麗の茜と同一人物とは到底、思えない程の変貌ぶりだった。
だが、目の前の茜も僕にとっては愛しき茜である事に変わりはない。僕は茜の口元を汚す血の滲んだ粘液を優しく自らの舌で舐め取ってやり、口元を綺麗にしてやる。
その光景は、ひどく歪だった。
そして、僕は考える。美しい茜の内側にすら、こんな汚く濁ったものが廻っているのだと。他の人間と同じように。
「……外側がいくら美しくても、その内側も美しいとは限らない。茜、君も例外ではないようにね」
「……」
僕の言葉に、茜は一切の反応を示さなかった。意識が朦朧としており、更には視点すらも定まっていない。
一方、僕は舐め取った茜の涎を舌で転がしながら、その味を確かめていた。その味は、他の醜く愚かな凡人と同じ……ひどく不快な味だった。
「残念だけど……同じ、君も同じだ。有象無象……凡人共の中身と、同じく醜く汚れた味だ。君の内側も……俗世間に汚されてしまっているのだと」
茜ですら特別ではない。その内側は、他の凡人と何ら変わりない。茜から生成された唾液を味わい、その事実を僕は思い知らされた。茜も、単なる人間の一人であるという事を。
本来、人間の唾液の味に差異など無いのかもしれない。皆、汚らわしい血と唾液を身体に宿している。
だが、茜はそうではいけない。そうであってはならないのだ。茜を単なる人間の常識に当てはめることなどあってはならないのだ。
何故なら茜は、人間を超える究極の美へと昇華するべき存在。他の凡人と同じモノを宿し、同じ内側であってはならない。そんな事は僕が許さない。
茜は、特別でなければならない。外側も内側も完璧な美を保たなければならない。
「医学を学ぶ中、様々な人間の臓物、血、骨……あらゆる中身を見てきた。皆、醜かった。歪で、吐き気を催す様な造形。そこで僕は痛感した。外側だけを取り繕っても真の美とは言えない。真の美とは……」
外見が美しい人間、醜い人間……あらゆる人間の内側を見る機会があったが、その度に僕は痛感した。人間の中身は、等しく汚れており、醜いのだ。
濁った血、濡れた臓器……どの人間にも当たり前に存在する機関の全てを、僕は醜いとしか感じられなかった。不快で異形の汚物としか捉えられなかった。
だからこそ、茜からはそれらを取り除く必要がある。完璧な美を目指す茜にとって、こんなものは必要ない。
「その皮膚の下、骨の髄まで一点の汚れも無い存在を指す。茜、君はこれからその真の美へと進化する、この僕の手で外側から内側まで全てを壊し、新たに創造する。その為にも、まずはこの濁り切った汚濁の血を君から取り除こう。そして、新たに美しく清潔な血を君へと注ぎ込んであげよう」
だからこそ、まずはこの床を汚しているこの血を清潔なものへと浄化しよう。泡を立て、濁り、汚れているこんな汚らしい血を、茜の中に残してなどおけない。
一滴残らず、清潔で美しい真紅の汚れを知らぬ血へと浄化しなければならない。
「分かっている。これは君の責任ではない。本来、純粋な君の内側を侵し、汚したのはこの汚れた世界そのものだ。だから、君をその世界から隔離し、救い出そう。その為の第一歩だ」
汚らわしい光景、汚らわしい音、汚らわしい世界……茜はそれらの所謂世俗の汚れに侵され、本来美しいはずの内側まで醜く汚された。
それならば、僕はその世界に汚された君を内側から浄化し、救ってみせよう。
その為にも、まずは身体中を廻る血の一滴すら、汚れのない清潔な血へと浄化しよう。
「その血も……有象無象のものでは意味がない。君の身体を構成するのに相応しい血……それを、手に入れよう。そして、注ぎ込み君の全身に染み込ませよう」
外側だけではなく、内側まで僕は茜を愛する。だからこそ、内側まで美しい茜を僕は望む。
その為に……その汚れた血を取り除き、新たに清らかな血を注いであげよう。
そして、茜。君を内側から浄化し完璧な美へと造り替えよう。
「ああ……随分と汚してしまって、お行儀が悪いぞ茜」
抜歯の痛みに耐えきれず、茜が口元からだらしなく垂れ流し続けた夥しい量の汚液が、茜の苦痛そのものを表していると言っても過言ではないだろう。
「ッ……ァ………ぁ……」
茜は度重なる激痛により放心状態に陥っており、今もなお口元をだらしなく開き、既に歯が一本も無い口元の隙間から赤く濁った涎を垂れ流している。
あの大学内のマドンナだった眉目秀麗の茜と同一人物とは到底、思えない程の変貌ぶりだった。
だが、目の前の茜も僕にとっては愛しき茜である事に変わりはない。僕は茜の口元を汚す血の滲んだ粘液を優しく自らの舌で舐め取ってやり、口元を綺麗にしてやる。
その光景は、ひどく歪だった。
そして、僕は考える。美しい茜の内側にすら、こんな汚く濁ったものが廻っているのだと。他の人間と同じように。
「……外側がいくら美しくても、その内側も美しいとは限らない。茜、君も例外ではないようにね」
「……」
僕の言葉に、茜は一切の反応を示さなかった。意識が朦朧としており、更には視点すらも定まっていない。
一方、僕は舐め取った茜の涎を舌で転がしながら、その味を確かめていた。その味は、他の醜く愚かな凡人と同じ……ひどく不快な味だった。
「残念だけど……同じ、君も同じだ。有象無象……凡人共の中身と、同じく醜く汚れた味だ。君の内側も……俗世間に汚されてしまっているのだと」
茜ですら特別ではない。その内側は、他の凡人と何ら変わりない。茜から生成された唾液を味わい、その事実を僕は思い知らされた。茜も、単なる人間の一人であるという事を。
本来、人間の唾液の味に差異など無いのかもしれない。皆、汚らわしい血と唾液を身体に宿している。
だが、茜はそうではいけない。そうであってはならないのだ。茜を単なる人間の常識に当てはめることなどあってはならないのだ。
何故なら茜は、人間を超える究極の美へと昇華するべき存在。他の凡人と同じモノを宿し、同じ内側であってはならない。そんな事は僕が許さない。
茜は、特別でなければならない。外側も内側も完璧な美を保たなければならない。
「医学を学ぶ中、様々な人間の臓物、血、骨……あらゆる中身を見てきた。皆、醜かった。歪で、吐き気を催す様な造形。そこで僕は痛感した。外側だけを取り繕っても真の美とは言えない。真の美とは……」
外見が美しい人間、醜い人間……あらゆる人間の内側を見る機会があったが、その度に僕は痛感した。人間の中身は、等しく汚れており、醜いのだ。
濁った血、濡れた臓器……どの人間にも当たり前に存在する機関の全てを、僕は醜いとしか感じられなかった。不快で異形の汚物としか捉えられなかった。
だからこそ、茜からはそれらを取り除く必要がある。完璧な美を目指す茜にとって、こんなものは必要ない。
「その皮膚の下、骨の髄まで一点の汚れも無い存在を指す。茜、君はこれからその真の美へと進化する、この僕の手で外側から内側まで全てを壊し、新たに創造する。その為にも、まずはこの濁り切った汚濁の血を君から取り除こう。そして、新たに美しく清潔な血を君へと注ぎ込んであげよう」
だからこそ、まずはこの床を汚しているこの血を清潔なものへと浄化しよう。泡を立て、濁り、汚れているこんな汚らしい血を、茜の中に残してなどおけない。
一滴残らず、清潔で美しい真紅の汚れを知らぬ血へと浄化しなければならない。
「分かっている。これは君の責任ではない。本来、純粋な君の内側を侵し、汚したのはこの汚れた世界そのものだ。だから、君をその世界から隔離し、救い出そう。その為の第一歩だ」
汚らわしい光景、汚らわしい音、汚らわしい世界……茜はそれらの所謂世俗の汚れに侵され、本来美しいはずの内側まで醜く汚された。
それならば、僕はその世界に汚された君を内側から浄化し、救ってみせよう。
その為にも、まずは身体中を廻る血の一滴すら、汚れのない清潔な血へと浄化しよう。
「その血も……有象無象のものでは意味がない。君の身体を構成するのに相応しい血……それを、手に入れよう。そして、注ぎ込み君の全身に染み込ませよう」
外側だけではなく、内側まで僕は茜を愛する。だからこそ、内側まで美しい茜を僕は望む。
その為に……その汚れた血を取り除き、新たに清らかな血を注いであげよう。
そして、茜。君を内側から浄化し完璧な美へと造り替えよう。
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