処女壊体-the making of a saint-

柘榴

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第8章 結合の刑

第50話 暗闇での再会

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 僕はひとまず一人でガレージの中に入り、茜の座す場を目指す。
 茜に再開できる喜びに加え、これから起こる惨劇の結末を想像すると……歩幅も自然と大きくなってしまう。
 期待に胸を膨らませながら歩いていると、茜の元までは一瞬で辿り着いてしまった。
 
「やぁ、茜。お待たせして済まないね、葵に随分と付き合わされてしまって」
「たかしろ、くん……あおい、は……?」
 人形の手足を拘束され、椅子に座した茜。僕の声を聞いた途端、自らが受けた痛みも忘れて葵の事を気に掛ける。その様子を見る限り、茜は自身が助かる事など既に諦めているのかも知れない。
「ああ。随分と元気になった……元気になり過ぎたくらいだ。会えばきっと驚くくらいにね」
 僕の言葉に、茜の表情は安堵に染まった。傷も癒され、また本来の姿で葵が戻ってくると信じきっている、そんな表情だ。

 だが、本来の葵など既に存在しない。今、存在しているのは薬に侵され、狂い、壊れてしまった葵だけ。
 しかし、茜は何も知らない……壊れた葵の姿も、これから更なる惨劇が繰り広げられるという事も、何も知らないのだ。
「……あわせて、くれる……の?」
 何も知らない茜は、表情を柔らかく崩しながら僕に聞く。
 この地獄で、僅かに芽生えた希望。僕が葵には手を出さないという約束に、茜はどれだけ安堵した事だろう。
 何の罪も無い妹だけは助けて欲しい、ただそれだけの願いが聞き入れられる事が、茜にとってどれだけ幸福な事だろう。
 
 だからこそ、僕は笑みを隠し切れない。
 茜の目の前でその僅かに芽生えた希望さえ潰え、崩れ去る瞬間を目にすることができるのだから。

「ああ、構わない。そう言うと思って既に連れてきている。色々と準備も整えてね……」
 その瞬間の為に僕は考え、準備をした。茜を驚嘆させ、絶望させる……ただ、それだけを考えて。

 そして、どのような手段を用いてでも茜の心を真の意味で破壊する。世俗に汚された茜の人格を、崩壊させる。
 寸分の狂いも無い、完全無欠の聖処女の心を新たに茜へ植え付ける為に。
「聞こえているだろう? 葵、来るんだ……そのままの姿で」
 ガレージの入口の方に、僕は声を投げかける。そして反響した声はやがて、葵の耳へと届いた事だろう。入口の扉が軋み、開かれる音がこちらにまで届く。
『は、い……っ』
 扉が開ききり、入口の方から葵の返答がようやく聞こえた。何処か湿っぽい、艶やかな声質だ。

 やがて、僅かだが素足でコンクリートの上を擦る様に歩く音がガレージに響く。
 僕と茜が待つ中、ゆっくりだが葵は確実にこちらへ向かってきている。

『お姉、ちゃん……?』
「あお、い……」
 姉妹の声が暗闇の中で交差する。
 そして、暗闇の中から葵の姿が浮かび上がり、露になる。
 僕と茜の視界の中に、ようやく葵の姿が現れた。
「……え……?」
 
 その姿を目にした茜は、ただ驚嘆し、絶望した事だろう。
 そこに立っていたのは、裸に剥かれ、快楽に表情を紅潮させ、手には肉切り包丁を手にした葵。
 記憶の中の、本来の妹・葵の姿ではなかったのだから。
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