処女壊体-the making of a saint-

柘榴

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第8章 結合の刑

第56話 壊れた玩具

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 その後、葵が茜の乳房の肉の欠片までを完全に切り落とすまでにそれほどの時間はかからなかった。実の姉に対する行いとは思えない程に残酷で、手際の良い作業。まるで豚や魚を解体する様な手付きで妹は姉の乳房を切り落としたのだ。

「おおきくて、やわらかくて……あはぁ……いやらしいねぇ……おねぇちゃんの、ここ……」
 切り落とした乳房の感触を楽しみ、染み込んだ血と脂を舐め取る葵。
「……ァ……あ……」
そして、悲鳴を上げる事すら諦め、痴呆のように呻き声を垂れ流すだけの茜。
 壊れてしまった姉妹の姿を目にし、僕の下半身は不本意ながら硬直していた。

 そして、僕は僕の仕事を全うしなければならない。
 茜の身体に刻まれた二つの傷。かつて乳房が存在していた部分に刻まれた赤黒く円型の傷。直に肉が露出したその部分へ、僕は先程切り落とした葵の乳房の残骸を縫い付ける。
 葵の乳房の中に残っていた余分な脂肪を洗い流し、代わりに豊胸手術などで使用されるシリコン製のバッグを内部に埋め込んだ。そうする事で人工的とはいえ、一切の歪みの無い完璧な美を再現する事ができる。

 そして、僕は理想の乳房を再現する事に成功する。少女らしい、控えめでありながら魅力を併せ持つ高貴な乳房。一切の歪みも無く、絶妙な膨らみが美しい。
 しかし、実妹とはいえ他人の乳房をそのまま強引に縫い付けたのだ、痛々しい接合の跡や皮膚色の不適合など歪な部分は目立つが、今では生身と生身の結合を実感させてくれるその歪みですらも美しく感じられる。

「少々、歪ではあるが……僕好みではある。どうだい、葵? 君の一部がお姉さんの身体に取り込まれ、結合された感想は」
 本物の少女の、未発達な身体を切り取り、結合させて再現した聖処女の乳房。        
 二人の美しい肉体が結合し、溶け合った成れの果て……限り無く美しい。
「うん……っ、おねぇちゃんが、おねぇちゃんじゃないみたい……っ、それで……それで……っ、わたしも、わたしじゃないみたいっ……っ……」
 葵は頬を染め、涎を垂れ流しながら興奮気味に口走る。
 今では自らに備わっていたはずの乳房は切り落とされ、姉の身体へと無造作に縫い付けられている。
 妹と姉、葵と茜の肉体が溶け合い、結合している光景を目にし、葵の下半身が淫らに湿っていくのが分かる。
「えへ……これ、きれい? ……おねぇちゃんみたいに……きれい?」
 そして、狂った葵は自らの肉体へ姉の一部……乳房を結合し、自らの肉体に姉を取り込もうとしていた。
 床に落ちていた乳房の残骸。そこへ床に飛び散った、血と脂肪の混じった粘液を手で掬って再び姉の乳房へと詰め込んでいた。最早、どちらの血と脂なのかも判別がつかないが、茜の乳房は再び膨らみを取り戻す。
 そして、その血と脂の詰まった乳房を……葵は自ら針を用いて自らの傷口、切り落とした乳房の跡へと縫い合わせている。
「おとなに……なった、みたい……あは……すごく、おおきくて……やわら……かい」
 歪に縫い合わされた乳房を乱暴に揉み、葵は満足そうな表情を浮かべる。

 ……狂っている。今の葵を目にして、僕が抱いた率直な感想だった。

「……壊れきったか」
 それと同時に、葵の終焉が近付いているのだと僕は感じ取る。覚醒剤の効力とはいえ、ここまで理性も人格も破壊されてしまえば、もう人間には戻れない。
 家畜の様に、ただ僕の実験動物として生き長らえるしか葵の生きる道は無い。
「……っえ、なにぃ……? たかしろ、さん……なんか、いった……ぁ?」
 接合された乳房を揉みながら、自らの下半身へも手を伸ばす葵。接合した他人の乳房の感触を楽しみながら自慰行為に及ぶその姿は、狂気そのものだ。
 人間で無ければ、既に家畜ですら無いのかもしれない。
「いや、大した話じゃないさ。ただ、使い古して壊れた玩具をどう処理するかを考えていただけだから」

 ただの、壊れた玩具だ。
 そして、僕はこの葵と言う名の壊れた玩具を、どう処理……いや、再利用するかを考えなくてはならない。
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