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第11章 逃避の刑
第93話 生と死
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僕は長い道のりを経て、夜が深まった頃……葵を県外の山中の麓へ解放した。昼間は決して人通りも少なくない場所でもあり、近日中に葵は保護される事だろう。
念の為、最低限の食物や水は持たせてやった。せっかく解放してやっても、無様に野垂れ死なれてしまっては元も子も無いからだ。
「これで最後だ。今まで世話になったね、葵」
地面にきょとんと座り込む葵。
辛うじて意識もあり、ティエラの処置により生命維持にも問題は無い。
近い内に保護され、医療機関の治療を受ければ問題無く生命を維持する事が出来るだろう。
「おねぇ、ちゃん……?」
だが、この世界に姉はいない。
いつも一緒だった姉がいない世界で、葵は生き続けなければならない。
これは、埋めようの無い大きな傷だ。
「お姉ちゃんはいない世界だ。けれど、心配しなくても良い。茜が僕の理想の形へと仕上がった暁には……再びこの世界で、君たち姉妹を再開させよう。約束する」
「……ほ、んと?」
「ああ、だから……それまでは何があっても生きるんだ。生き続けろ。辛くて、
苦しくて、絶望したとしても……絶対に生き続けるんだ」
僕はあえて葵に生きる事を強いた。
姉の帰還という遠い遠い夢を与え、生きる意味を葵に与えた。
だが、地獄から生還した彼女に対してこの世界は優しくは無い。
被害者とはいえ、薬物中毒、脳も大きく欠損し、何かしらの障害が残っているかもしれない。
世界は弱者に優しくは無い。同情される事など最初の内だけだ。
葵はこれから、想像を絶する程の差別、迫害を経験する事だろう。
「う、ん……」
それも知らず、生き長らえた事に安堵し、姉の帰りを待つ葵。
死をも上回る絶望が、この世にはある事を知っている。だからこそ、僕は葵を生かす事を選択した。
「ああ、それと……大事な事を忘れていた。君に……もう一つ、託したモノがあるんだ」
「なぁに……?」
そして、もう一つ……葵に仕込んでいるモノがある。葵の知らぬ間にこっそりと仕込んでおいた……特別なプレゼントだ。
「後になれば嫌でも分かるさ……もう、君の身体の中にあるモノだからね」
「?」
それは、僕の思惑通りに葵の中へ入り込み、いつかは成就する事だろう。
「僕からの贈り物だ。何があっても失くしてはならない。また……気持ち良くなりたいのならね」
「うん……わかった……ぁ」
僕に逆らう事を知らない葵は、理解も出来ないまま反射的に頷いた。
葵、そして茜がその絶望を知るのは……もう少し先の話だろう。
念の為、最低限の食物や水は持たせてやった。せっかく解放してやっても、無様に野垂れ死なれてしまっては元も子も無いからだ。
「これで最後だ。今まで世話になったね、葵」
地面にきょとんと座り込む葵。
辛うじて意識もあり、ティエラの処置により生命維持にも問題は無い。
近い内に保護され、医療機関の治療を受ければ問題無く生命を維持する事が出来るだろう。
「おねぇ、ちゃん……?」
だが、この世界に姉はいない。
いつも一緒だった姉がいない世界で、葵は生き続けなければならない。
これは、埋めようの無い大きな傷だ。
「お姉ちゃんはいない世界だ。けれど、心配しなくても良い。茜が僕の理想の形へと仕上がった暁には……再びこの世界で、君たち姉妹を再開させよう。約束する」
「……ほ、んと?」
「ああ、だから……それまでは何があっても生きるんだ。生き続けろ。辛くて、
苦しくて、絶望したとしても……絶対に生き続けるんだ」
僕はあえて葵に生きる事を強いた。
姉の帰還という遠い遠い夢を与え、生きる意味を葵に与えた。
だが、地獄から生還した彼女に対してこの世界は優しくは無い。
被害者とはいえ、薬物中毒、脳も大きく欠損し、何かしらの障害が残っているかもしれない。
世界は弱者に優しくは無い。同情される事など最初の内だけだ。
葵はこれから、想像を絶する程の差別、迫害を経験する事だろう。
「う、ん……」
それも知らず、生き長らえた事に安堵し、姉の帰りを待つ葵。
死をも上回る絶望が、この世にはある事を知っている。だからこそ、僕は葵を生かす事を選択した。
「ああ、それと……大事な事を忘れていた。君に……もう一つ、託したモノがあるんだ」
「なぁに……?」
そして、もう一つ……葵に仕込んでいるモノがある。葵の知らぬ間にこっそりと仕込んでおいた……特別なプレゼントだ。
「後になれば嫌でも分かるさ……もう、君の身体の中にあるモノだからね」
「?」
それは、僕の思惑通りに葵の中へ入り込み、いつかは成就する事だろう。
「僕からの贈り物だ。何があっても失くしてはならない。また……気持ち良くなりたいのならね」
「うん……わかった……ぁ」
僕に逆らう事を知らない葵は、理解も出来ないまま反射的に頷いた。
葵、そして茜がその絶望を知るのは……もう少し先の話だろう。
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