処女壊体-the making of a saint-

柘榴

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第11章 逃避の刑

第95話 男の帰還

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 普段より重く感じる玄関の扉に手を掛け、力任せにそのまま開く。
 茜が笑顔で僕の帰りを出迎えてくれる……そんな妄想を抱きながら。
 
 扉を開けると、冷房の冷たい空気が頬を掠める。火照った僕の身体には最高に心地良い瞬間であった。

「……まさか、出迎えてくれるとはね」
 そして、一人の少女が僕の帰りを出迎えてくれた。それは、茜では無いもう一人の少女……ティエラだった。
「……待ちくたびれた」
 腕を組んだ状態……仁王立ちで僕を待ち構えていたが、その表情は怒っている訳では無く、ただ冷たく僕の姿を見下しているだけだ。
「何処まで行ってた訳? 鈍間」
 発せられた声にも抑揚は無い。
 ただ、淡々と僕に声を投げかけるだけだ。
「県外まで出ていたんだから仕方ないだろう。勝手に野垂れ死なれても困るんだ、場所だってそれなりに考えてる」
 葵を逃がす際には夜間は人目に触れず、だが日が昇ればすぐに発見される様な場所をと考え、県外のとある山中を選んだ。
 昼間は観光客で賑わう様な場所だ、早ければもう発見されている頃かもしれない。

「それで? 私の所有物を生かしたまま逃した言い訳は考えついたかしら?」
 だが、ティエラは未だに貴重な実験体……葵という玩具を失った事に憤りを感じている様だ。一秒でも僕を問い詰める為、玄関で僕の帰りを待っていたのだろう。
「まぁ、良い。説明してやる、君が納得出来るかは別として……僕の与える最大の苦痛と絶望の意味を」
「ふざけた理由なら、代わりにあんたが実験体になる事になるから」
 僕はティエラの脅しにも臆する事なく、家の中へと足を踏み入れ、奥へと進んでいった。
 
 僕が進んだ先は自宅のリビングだった。普段は食事も茜のいるガレージで済ませるので、殆ど使った事など無いのだが。
「ティエラ、一先ず食事を優先したい。出発から何も食べていないからね」
「……」
 リビングの椅子に座した僕の提案に、ティエラは反応を示さなかった。
 勝手にしろ、という事なのだろう。

 一先ず、自宅で食事を取りながらティエラと話をする事にした。
 帰り際に購入してきた食事をテーブルに並べ、食事の準備を整える。
「君も座ったらどうだい? せっかく君の分も買ってきたんだ」
「何? 気味悪い。まさか、これで誤魔化そうだなんて思って……」
「単なる留守番のお礼さ。大したモノじゃ無いが……どうだい?」
 ティエラの目の前に菓子パンをいくつか差し出す。
 目に入ったモノを店で適当に購入してきただけだ、種類も嗜好もバラバラだが……ティエラも空腹だったのだろう、それを拒否する事はしなかった。

「……ふん」
 ティエラは呆れた様に菓子パンを受け取り、椅子へ腰掛ける。
「では、話は食事をしながら進めよう」
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