処女壊体-the making of a saint-

柘榴

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第11章 逃避の刑

第100話 奇跡の行方

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 遅効性の毒により自らの生命が徐々に削り取られていく感覚は、どんなものだろうか。
 ティエラは初めて味わう恐怖により、完全に当初の威勢を失っていた。

「ねぇ……ねぇ、ってば……ぁ」
 かつては葵を連れ回すのに使っていた首輪をはめ、僕はティエラを病に侵された犬の様に力任せに引き摺りながら茜の座すガレージまで引き連れる。

「ねぇ……ねぇってば……亮、一先ず解毒して……? ね? お願いだから……ね?」
 人が変わったかの様に僕へ媚び、助けを求めるティエラ。
 首輪をはめられ、上の者に媚びを売るその姿はまさに負け犬だ。

「……僕以外に君の管理を任せたのが間違えだったんだ……すまない、茜」
 だが、僕にはティエラの言葉など耳に入ってなどいなかった。
 僕はただ、抜け殻となってしまった茜へ懺悔の言葉を投げ掛ける続けるだけだ。
「立て」
 僕はティエラの金髪を鷲掴み、無理矢理に立たせる。
「ぐっ……!」
そして、ティエラへ抜け殻となってしまった茜の姿を目の当たりにさせる。
 生気も無く、抜け殻となってしまった……最早、肉の器だ。
「見ろ、この茜の姿を……まるで、魂の抜け落ちた抜け殻だ。今まではこんなことは無かった。どんな痛み、苦しみを味わっても……茜の心は確かに生きていたのに。ああ、僕が少しでも茜と離れるべきでは無かった……ああ、何という事を……」
 抜け殻となった茜は笑みを浮かべたまま、何の反応も示さない蝋人形の様だ。

 僕が欲しかったのは、こんな姿の茜じゃない。永遠の美を宿した身体、僕に対する愛情と母性を宿した健全な心……双方を併せ持った完璧な存在……それが僕にとっての『理想の聖処女』なのだ。
「君に拒否権は無い。死にたくなければ、茜の魂を取り戻せ。良いか?」
 僕は首輪を強く引っ張り、ティエラの耳元で小さく冷たい声で呟く。
「そんな……の、どうやって……」
「悩んでいる間にも毒は回っていくぞ? 君がその手で、本来の茜を取り戻せば解毒してやる。天才は奇跡を起こすのが仕事なんだろう?」
 ティエラがかつて、僕に言った言葉。ならば、今こそ奇跡を起こしてもらう時だ。
 僕は皮肉を込めてティエラにそう告げた。
「開頭手術でも脳改造でも手段は選ばん。死にたくなければ……僕に奇跡とやらを僕に見せてくれ」

 そして、もしも奇跡が起こらないというのなら……やはり、僕の言う通りこの世界はとてつもなく冷たく、愚かだという事だ。
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