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第3話 罪の浄化Ⅰ
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あの事件以来、全く関わりの無かった実家だったが、とうとう年老いた父が亡くなった。母から十年ぶりに連絡を受け、真奈は夫と息子を連れて実家へ帰省する事になった。
「ただいま……十年ぶりね、母さん」
「真奈……」
玄関を開けた母は、昔と随分と痩せ、老いた印象だった。あの頃の厳格な母の姿はすでになかった。真奈は改めて十年という時の流れを実感する。
「おばあちゃん! 初めまして、小鳥遊 悠斗です!」
「初めまして、加奈さんの夫の……小鳥遊 通と申します」
そして真奈の背後に控えていた真奈の夫と息子の挨拶を受け、母の目の端には涙が滲んだ。
夫と息子と会せるのも今日が初めてだった。今日の機会が無ければ、真奈は一生会わせることは無かっただろう。
「その……私が来るべきなのかどうか悩んだんだけど……父さんの最期くらい見送ってあげるのが、私にできる最期の親孝行なのかなって……」
目の前の真奈に、母は呆然と立ち尽くしているだけで、その感情は読み取れない。
正直、真奈は父の死を悲しんでなどいなかった。ただ、心のどこかでは今の自分の幸せな姿を勘当された両親に見せてやりたかったという思いがあったのかもしれない。
「その、ごめんね母さん。あんな事があったから、ずっと連絡もしないで……ずっと逃げてたの、私」
由宇の自殺をきっかけに、真奈は実家との縁を切った。自らの罪を目の当たりにすることから、十年間逃げ続けてきた。真奈は、罪と向き合うことを恐れ、逃げて来た。
しかし、そんな真奈を母は攻めもせず、ゆっくりと抱きしめた。
「もう、いいの……あの頃のあなたはまだ子供だった。その子供の過ちを、正そうともせず私たち親も勘当と言う手段で同じように逃げた。あの頃、私たちがあなたたちを許し、更生させるために逃げずに正面から向き合うのが私たち親の責任だったのに……」
勘当され、真奈は両親から捨てられたのだと思い続けてきた。
今でも憎まれ続けているのだと思った。けれど、母の気持ちは違った。
あの頃、世間体を気にして真奈と加奈を勘当したことを『逃げ』だと言った。事件、実の娘たちと向き合うことを恐れて、娘たちを勘当したあの日から母はずっと苦しんでいたのだ。
「ごめんね……ごめんね、母さん」
「もう、辛いことは目を瞑って、忘れてしまいなさい。もう、あなた十分に苦しんで罪を受け入れた」
母を苦しめていたのも全てあの頃の過ちのせい。その罪の重さに、真奈は再び心を痛める。
母に泣きつきながら、改めて自分の犯した罪の重さを実感し、懺悔した。
真奈と母、二人を十年間も縛り続けていた由宇の存在。
もう、忘れても良い。母の言葉で、真奈は本当の意味で自身の罪が浄化されたように感じた。
「ただいま……十年ぶりね、母さん」
「真奈……」
玄関を開けた母は、昔と随分と痩せ、老いた印象だった。あの頃の厳格な母の姿はすでになかった。真奈は改めて十年という時の流れを実感する。
「おばあちゃん! 初めまして、小鳥遊 悠斗です!」
「初めまして、加奈さんの夫の……小鳥遊 通と申します」
そして真奈の背後に控えていた真奈の夫と息子の挨拶を受け、母の目の端には涙が滲んだ。
夫と息子と会せるのも今日が初めてだった。今日の機会が無ければ、真奈は一生会わせることは無かっただろう。
「その……私が来るべきなのかどうか悩んだんだけど……父さんの最期くらい見送ってあげるのが、私にできる最期の親孝行なのかなって……」
目の前の真奈に、母は呆然と立ち尽くしているだけで、その感情は読み取れない。
正直、真奈は父の死を悲しんでなどいなかった。ただ、心のどこかでは今の自分の幸せな姿を勘当された両親に見せてやりたかったという思いがあったのかもしれない。
「その、ごめんね母さん。あんな事があったから、ずっと連絡もしないで……ずっと逃げてたの、私」
由宇の自殺をきっかけに、真奈は実家との縁を切った。自らの罪を目の当たりにすることから、十年間逃げ続けてきた。真奈は、罪と向き合うことを恐れ、逃げて来た。
しかし、そんな真奈を母は攻めもせず、ゆっくりと抱きしめた。
「もう、いいの……あの頃のあなたはまだ子供だった。その子供の過ちを、正そうともせず私たち親も勘当と言う手段で同じように逃げた。あの頃、私たちがあなたたちを許し、更生させるために逃げずに正面から向き合うのが私たち親の責任だったのに……」
勘当され、真奈は両親から捨てられたのだと思い続けてきた。
今でも憎まれ続けているのだと思った。けれど、母の気持ちは違った。
あの頃、世間体を気にして真奈と加奈を勘当したことを『逃げ』だと言った。事件、実の娘たちと向き合うことを恐れて、娘たちを勘当したあの日から母はずっと苦しんでいたのだ。
「ごめんね……ごめんね、母さん」
「もう、辛いことは目を瞑って、忘れてしまいなさい。もう、あなた十分に苦しんで罪を受け入れた」
母を苦しめていたのも全てあの頃の過ちのせい。その罪の重さに、真奈は再び心を痛める。
母に泣きつきながら、改めて自分の犯した罪の重さを実感し、懺悔した。
真奈と母、二人を十年間も縛り続けていた由宇の存在。
もう、忘れても良い。母の言葉で、真奈は本当の意味で自身の罪が浄化されたように感じた。
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