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1.ギルド編
第16話 調子の悪さの理由
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「な、何を!?」
シュライトさんの言葉の意味が分からず呆然とする僕。
けれどもシュライトさんがその僕の態度を無視し、突然僕の手を取った。
その行動に訳が分からず僕は首を傾げかけて……
「よし!」
「はっ?」
ーーー だが次の瞬間突然軽くなった身体に言葉を失うことになった。
「えっ?あれ、何で?」
そう、今まで僕の身体に巣食っていた原因不明の調子の悪さ、それが消え去ったのだ。
それは喜ぶべきことだろう。
何せ今の僕の身体は軽いのだ。
そう、今までの調子の悪さが信じられないくらい。
だが、僕にはそのことを受け入れることはできまなかった。
今まで身体にずっと巣食っていた調子の悪さ、それはこの一週間ずっと悩んでいたことで、だからこそ突然良くなったなんてことがあっても受け入れられるはずがない。
「あぁ、これがその調子の悪さの原因だよ」
「へっ?」
だが、シュライトさんはその僕の混乱に気づくことなく手に持っていた何かを僕へと差し出した。
それはどす黒い、何か腕輪のような形をしたもの。
しかしそんなもの僕はしていなかったはずで……
「ほら」
「っ!」
だが、次の瞬間シュライトさんにその腕輪を再度つけられた時、僕は全てを悟った。
腕に付けられたはずの腕輪、それは僕の腕に着いた瞬間その姿を消した。
そしてその瞬間僕の身体にまたあの正体のわからない調子の悪さが遅い掛かってきたのだ。
「くっ!」
理由が分かって思わず呻く僕。
その胸に怒りが湧き上がってくる。
何でこんなものをシュライトさんが僕に付けたのか?
確かにこれを付けた状態でシュライトさんに勝てた僕は通常ではシュライトさんより僕は強くなった。
そして最終試練の合格の条件はシュライトに勝てるか、ではなくシュライトさんと同等以上の実力を身につけることなのだ。
けれども、それは今はどうでもよかった。
「これは人の身体を何倍にも重くする魔道具だ。他にもさまざまな種類があって、例えば魔力強化してなくても身体能力をあげたり、そう、性別を逆転しているように見せたり、さらには使い切りだが、勇者の魔法を再現できる魔法倶も……」
だが、どこか消沈した様子のシュライトさんはその僕の様子に気づくことなく話を進めていった。
そしてそのシュライトさんの様子に僕はさらに苛立ちを覚える。
「何でこんなものを……」
「ん、どうした?」
「何でこんなものを僕に付けたんですか!」
「っ!」
そして次の瞬間、僕はそうシュライトさんに叫んでいた。
◇◆◇
シュライトさんが僕の怒鳴り声に顔色を変えるのがわかる。
当たり前だろう。
何せ僕は今までシュライトさんにどんなきつい鍛錬をさせられてもシュライトさんを恨むことはなかった。
けれども、今回僕は憧れであるシュライトさんに本気で戦おうと、そう思っていて、だから今回のことは許せなかった。
「す、すまない」
その僕の様子にシュライトさんも流石に反省したのか、そう頭を下げる。
しかし未だ僕の怒りは収まらない。
治る訳がない。
再度僕は怒鳴ろうとして……
「そ、その、これも鍛錬の内だったんだ。えっと、その……そう!重りと同じ種類の……多分」
「えっ!そうだったのですか!」
……次の瞬間僕は自分の愚かさを反省することになっていた。
そう、だったのか……
確かに今までシュライトさんは僕に対してかなりひどい訓練を仕掛けていた。
けれどもその鍛錬にはきちんと意味があったのだ。
「すいません…シュライトさん、僕は勝手に勘違いしちゃって……」
「うん……心が痛い……」
そう悟った僕は誠心誠意シュライトさんへと頭を下げた。
シュライトさんが何事かブツブツ言っているのがわかるが、今はそんなことよりも誠意を見せなければ!
「うん……もういいから」
「えっ?」
だが、まだ少ししか頭を下げていないのにあっさりとシュライトさんは僕にそう声をかけてくれた。
一瞬僕は戸惑いを覚えるが……
「そ、そう!今日はご馳走だからな!早く戻らないと!」
「えっ!シュライトさんの手作りですか!」
……しかし次の瞬間食欲に全てを忘れていた。
そしてその時の僕は知らない……
シュライトさんが僕へと心底申し訳なさそうな、罪悪感のこもった視線を送っていることを……
とにかくこうして僕は締まらないながらも、最終試練を突破することになった……
シュライトさんの言葉の意味が分からず呆然とする僕。
けれどもシュライトさんがその僕の態度を無視し、突然僕の手を取った。
その行動に訳が分からず僕は首を傾げかけて……
「よし!」
「はっ?」
ーーー だが次の瞬間突然軽くなった身体に言葉を失うことになった。
「えっ?あれ、何で?」
そう、今まで僕の身体に巣食っていた原因不明の調子の悪さ、それが消え去ったのだ。
それは喜ぶべきことだろう。
何せ今の僕の身体は軽いのだ。
そう、今までの調子の悪さが信じられないくらい。
だが、僕にはそのことを受け入れることはできまなかった。
今まで身体にずっと巣食っていた調子の悪さ、それはこの一週間ずっと悩んでいたことで、だからこそ突然良くなったなんてことがあっても受け入れられるはずがない。
「あぁ、これがその調子の悪さの原因だよ」
「へっ?」
だが、シュライトさんはその僕の混乱に気づくことなく手に持っていた何かを僕へと差し出した。
それはどす黒い、何か腕輪のような形をしたもの。
しかしそんなもの僕はしていなかったはずで……
「ほら」
「っ!」
だが、次の瞬間シュライトさんにその腕輪を再度つけられた時、僕は全てを悟った。
腕に付けられたはずの腕輪、それは僕の腕に着いた瞬間その姿を消した。
そしてその瞬間僕の身体にまたあの正体のわからない調子の悪さが遅い掛かってきたのだ。
「くっ!」
理由が分かって思わず呻く僕。
その胸に怒りが湧き上がってくる。
何でこんなものをシュライトさんが僕に付けたのか?
確かにこれを付けた状態でシュライトさんに勝てた僕は通常ではシュライトさんより僕は強くなった。
そして最終試練の合格の条件はシュライトに勝てるか、ではなくシュライトさんと同等以上の実力を身につけることなのだ。
けれども、それは今はどうでもよかった。
「これは人の身体を何倍にも重くする魔道具だ。他にもさまざまな種類があって、例えば魔力強化してなくても身体能力をあげたり、そう、性別を逆転しているように見せたり、さらには使い切りだが、勇者の魔法を再現できる魔法倶も……」
だが、どこか消沈した様子のシュライトさんはその僕の様子に気づくことなく話を進めていった。
そしてそのシュライトさんの様子に僕はさらに苛立ちを覚える。
「何でこんなものを……」
「ん、どうした?」
「何でこんなものを僕に付けたんですか!」
「っ!」
そして次の瞬間、僕はそうシュライトさんに叫んでいた。
◇◆◇
シュライトさんが僕の怒鳴り声に顔色を変えるのがわかる。
当たり前だろう。
何せ僕は今までシュライトさんにどんなきつい鍛錬をさせられてもシュライトさんを恨むことはなかった。
けれども、今回僕は憧れであるシュライトさんに本気で戦おうと、そう思っていて、だから今回のことは許せなかった。
「す、すまない」
その僕の様子にシュライトさんも流石に反省したのか、そう頭を下げる。
しかし未だ僕の怒りは収まらない。
治る訳がない。
再度僕は怒鳴ろうとして……
「そ、その、これも鍛錬の内だったんだ。えっと、その……そう!重りと同じ種類の……多分」
「えっ!そうだったのですか!」
……次の瞬間僕は自分の愚かさを反省することになっていた。
そう、だったのか……
確かに今までシュライトさんは僕に対してかなりひどい訓練を仕掛けていた。
けれどもその鍛錬にはきちんと意味があったのだ。
「すいません…シュライトさん、僕は勝手に勘違いしちゃって……」
「うん……心が痛い……」
そう悟った僕は誠心誠意シュライトさんへと頭を下げた。
シュライトさんが何事かブツブツ言っているのがわかるが、今はそんなことよりも誠意を見せなければ!
「うん……もういいから」
「えっ?」
だが、まだ少ししか頭を下げていないのにあっさりとシュライトさんは僕にそう声をかけてくれた。
一瞬僕は戸惑いを覚えるが……
「そ、そう!今日はご馳走だからな!早く戻らないと!」
「えっ!シュライトさんの手作りですか!」
……しかし次の瞬間食欲に全てを忘れていた。
そしてその時の僕は知らない……
シュライトさんが僕へと心底申し訳なさそうな、罪悪感のこもった視線を送っていることを……
とにかくこうして僕は締まらないながらも、最終試練を突破することになった……
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