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第69話 (アリミナ目線)
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当たり前の話だが、その後私が変わらず貴族令嬢として過ごせはしなかった。
お父様の計画を知らずにいたことや、主犯であるお父様が身内で処理されたこともあり、重い罪を言い渡されることは無かった。
だが、私がこれ以上公爵令嬢として過ごせる訳があるわけなく。
私は加盟を剥奪され、とある伯爵貴族の下使えになることになった。
今まで貴族令嬢であることを存分に利用してきた私にとって、その決定に最初は大きく混乱した。
忌み嫌われている平民に戻されることを抵抗することさえ考えた。
だが、その決定が自分のやってきたことに対し、温情があるものなのは私だって理解していた。
……最悪、お父様と共に処刑されかねないことだとは、私だって理解していたのだ。
だから私は不平を抱きながらも、下使えとなることに反発することは無かった。
平民に落とされることとなっても、私の能力を使うことが出来ればどうにでもなる、そう思っていたからこそ。
……しかしそれは、大きな間違いだった。
「……なんで、こんなことになっているのよ!」
王都の一角、人目を避けるように路地裏でうずくまっていた私の口からそんな声が漏れる。
私の足元に溜まっている水たまりと、どんよりとした空が先程まで雨が降っていたことを示している。
そんな中、うずくまる私の肩は震えていた。
目を閉じれば思い出せるのは、下仕えになってからの日々──地獄の記憶だった。
何でこんなことになったのか、私は記憶を辿る。
楽をしようと複数人に魅了を使ったことがダメだったのか?
見せしめのために他の下仕えの恋人を奪ったのがいけないことだったのか?
……その全てがいけないことだったのか。
私が逃げ来たと思わしき方向から声がしたのはそのときだった。
「ふざけるな! あの子は……のこい……だぞ!」
「違う! あの子は俺と……」
男性二人の言い争いを耳にした私の顔から血の気が引く。
「もう、いや……」
何が原因かも分からない自分の身をおそう不幸。
それから目を背けるように私は顔を手で覆う。
けれど、ここまで来れば私もあることに気づいていた。
今までさんざん利用し、甘い汁を吸わせてもらった魅了の力を私は、祝福だと思っていた。
が、現実は逆だった。
「こんなの、呪いと変わらないじゃない……!」
恐怖と悔恨がこもったその声は、震えていた……。
お父様の計画を知らずにいたことや、主犯であるお父様が身内で処理されたこともあり、重い罪を言い渡されることは無かった。
だが、私がこれ以上公爵令嬢として過ごせる訳があるわけなく。
私は加盟を剥奪され、とある伯爵貴族の下使えになることになった。
今まで貴族令嬢であることを存分に利用してきた私にとって、その決定に最初は大きく混乱した。
忌み嫌われている平民に戻されることを抵抗することさえ考えた。
だが、その決定が自分のやってきたことに対し、温情があるものなのは私だって理解していた。
……最悪、お父様と共に処刑されかねないことだとは、私だって理解していたのだ。
だから私は不平を抱きながらも、下使えとなることに反発することは無かった。
平民に落とされることとなっても、私の能力を使うことが出来ればどうにでもなる、そう思っていたからこそ。
……しかしそれは、大きな間違いだった。
「……なんで、こんなことになっているのよ!」
王都の一角、人目を避けるように路地裏でうずくまっていた私の口からそんな声が漏れる。
私の足元に溜まっている水たまりと、どんよりとした空が先程まで雨が降っていたことを示している。
そんな中、うずくまる私の肩は震えていた。
目を閉じれば思い出せるのは、下仕えになってからの日々──地獄の記憶だった。
何でこんなことになったのか、私は記憶を辿る。
楽をしようと複数人に魅了を使ったことがダメだったのか?
見せしめのために他の下仕えの恋人を奪ったのがいけないことだったのか?
……その全てがいけないことだったのか。
私が逃げ来たと思わしき方向から声がしたのはそのときだった。
「ふざけるな! あの子は……のこい……だぞ!」
「違う! あの子は俺と……」
男性二人の言い争いを耳にした私の顔から血の気が引く。
「もう、いや……」
何が原因かも分からない自分の身をおそう不幸。
それから目を背けるように私は顔を手で覆う。
けれど、ここまで来れば私もあることに気づいていた。
今までさんざん利用し、甘い汁を吸わせてもらった魅了の力を私は、祝福だと思っていた。
が、現実は逆だった。
「こんなの、呪いと変わらないじゃない……!」
恐怖と悔恨がこもったその声は、震えていた……。
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