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王妃の手習い
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オフィーリアは公務の一つとして、市井の子供達に文字を教えた。
文字の手解きなどは、貴族の務めとして貴族家の夫人・令嬢にとって珍しい事ではない。
オフィーリアも、娘時代に領地の教会で子供たちに朗読などをしていた。
王太子妃となり王子王女の母となり王妃となったオフィーリアは、多忙を極めた。
そんな事は露程も感じさせず、オフィーリアは書物を携え赴いてゆく。
それは、教会であったり孤児院であったり、時には幼子の為の医院であったりした。
共に机に向かい小さな手を取り導く。
請われれば膝に乗せて読んで聞かせる。
オフィーリアの綴る流麗麗美な文字に、子供らは憧憬を抱いた。
それは国母への憧憬でもあった。
大地を思わせるブルネットの髪と、澄んだ深海の碧の瞳は温かで、見つめられると真から慈しまれている心持ちになる。
"オフィーリア"と発音の難しい幼子が「おうひさま」と呼ぶ。
それが "オフィーリア様" と呼ぶ頃には、美しい文字を書けるようになっていた。
オフィーリアは幾年も手習いを続けた。
幼子が少女になり、娘となって母となる。
そうして、その子らが教えを請う。
王妃の手習いは続く。
文字の手解きなどは、貴族の務めとして貴族家の夫人・令嬢にとって珍しい事ではない。
オフィーリアも、娘時代に領地の教会で子供たちに朗読などをしていた。
王太子妃となり王子王女の母となり王妃となったオフィーリアは、多忙を極めた。
そんな事は露程も感じさせず、オフィーリアは書物を携え赴いてゆく。
それは、教会であったり孤児院であったり、時には幼子の為の医院であったりした。
共に机に向かい小さな手を取り導く。
請われれば膝に乗せて読んで聞かせる。
オフィーリアの綴る流麗麗美な文字に、子供らは憧憬を抱いた。
それは国母への憧憬でもあった。
大地を思わせるブルネットの髪と、澄んだ深海の碧の瞳は温かで、見つめられると真から慈しまれている心持ちになる。
"オフィーリア"と発音の難しい幼子が「おうひさま」と呼ぶ。
それが "オフィーリア様" と呼ぶ頃には、美しい文字を書けるようになっていた。
オフィーリアは幾年も手習いを続けた。
幼子が少女になり、娘となって母となる。
そうして、その子らが教えを請う。
王妃の手習いは続く。
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