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18(アルファポリス版)
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(ギアスの先ほどの書類は、やっぱりギアスが書いた物語で合っているということ?)
拾った時からうすうすそんなことを感じていて、もしかしたらと思っていたけれど……
『戦時中、このまま死んで、もう王都には戻れないかもしれない。メイベルに物語を語って聞かせていたら心が落ち着いて……』
(これはギアスの声……!)
メイベルと離れている間の数年間、ギアスは辺境騎士団で働いていた。辺境での隣国との戦いは苛烈を極めたという。
『もし俺が死んだ後にもメイベルが俺のことを思い出してくれるようにと、そう思って、物語を毎晩綴るようになった。たったそれだけ言いさえすれば、メイベルを傷つけることだってなかったのに……』
心底後悔したような声音。
(ギアス……だとしたら、やはりこれまでの書類は、隣国のスパイがどうとかそういう話ではなくて……)
――全て、ギアスが私のために書いてくれた物語。
彼の真意を知った瞬間、どうしようもなく熱い涙がこみあげてきた。
(半信半疑で……私の方こそ、ギアスを不安にして傷つけてしまうところだった……)
自省する。
貴方の声が聴こえますと告げてもギアスは信じてはくれないかもしれない。
だからこそ、言葉を慎重に選んで、どうにかギアスと私の誤解を解決するように機転を利かす。
(そうだわ、私が勘違いしていたんだって、ギアスにも分かってもらえたら……!)
涙を拭うと、私はギアスを見つめた。
「だけど、スパイの目を欺くためとはいえ、こんな……」
すると、ギアスが眉根を寄せる。
「スパイ?」
「ええ……」
拾った時からうすうすそんなことを感じていて、もしかしたらと思っていたけれど……
『戦時中、このまま死んで、もう王都には戻れないかもしれない。メイベルに物語を語って聞かせていたら心が落ち着いて……』
(これはギアスの声……!)
メイベルと離れている間の数年間、ギアスは辺境騎士団で働いていた。辺境での隣国との戦いは苛烈を極めたという。
『もし俺が死んだ後にもメイベルが俺のことを思い出してくれるようにと、そう思って、物語を毎晩綴るようになった。たったそれだけ言いさえすれば、メイベルを傷つけることだってなかったのに……』
心底後悔したような声音。
(ギアス……だとしたら、やはりこれまでの書類は、隣国のスパイがどうとかそういう話ではなくて……)
――全て、ギアスが私のために書いてくれた物語。
彼の真意を知った瞬間、どうしようもなく熱い涙がこみあげてきた。
(半信半疑で……私の方こそ、ギアスを不安にして傷つけてしまうところだった……)
自省する。
貴方の声が聴こえますと告げてもギアスは信じてはくれないかもしれない。
だからこそ、言葉を慎重に選んで、どうにかギアスと私の誤解を解決するように機転を利かす。
(そうだわ、私が勘違いしていたんだって、ギアスにも分かってもらえたら……!)
涙を拭うと、私はギアスを見つめた。
「だけど、スパイの目を欺くためとはいえ、こんな……」
すると、ギアスが眉根を寄せる。
「スパイ?」
「ええ……」
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