16 / 25
16
しおりを挟む彼の言い分を信じて、夏祭りの会場へと向かう。
海岸線を歩いていると、生ぬるい風が吹いてきた。
そうして、途中にある森のわき道から神社の入口へと向かう。
「裏道通れば、ますますバレないな」
じゃりじゃりと、二人で下駄をならしながら、目的の場所へと坂道を歩む。
どんどんと太鼓やひゅるりと笛の音が聴こえてくるようになった。
雑木林を抜けた頃、参道に向かって立ち並ぶ屋台が見える。それらから、様々な食べ物の香りや、金魚すくいの金魚の生々しさや、ヨーヨー釣りのゴムの匂いなどがする。
境内には浴衣や夏着物を羽織った人々が、がやがやとひしめいていた。
「ミサ、頼みがある」
「……なるほど」
リュウセイに耳打ちされ、ミサは一件の出店へと向かう。そうして彼の元へと戻った。
「サンキュ」
彼女が頼まれたのは、バイクに乗って戦う特撮ヒーローのお面だった。
眼鏡をとった彼は、それで顔を隠した。
「ますますこれでバレなくなったな……まあ、ミサが不審者と一緒に歩いているとは思われるかもしれないが……まあ、これで店もまわれるわけだ。行くぞ」
そうして、リュウセイはミサの手をとる。
二人は人垣の中へと飛び込んでいった。
彼の出番まで時間がある。
ふわふわの綿菓子や、ちょっとだけ硬いりんご飴なんかを二人して食べた。
水の中にちゃぷちゃぷ浮かんだスーパーボールを、やっきになってリュウセイがとっているのを見て、童心に返ったミサはきゃっきゃっと笑う。
そうして、射的ゲームの元へと向かった。
「ミサが好きなキャラが景品にあるみたいだぞ。とってやるよ」
頭に帽子をのっけたゴールデンレトリバーが二等賞にあるようだ。
お面をつけたまま、リュウセイが銃を構えた。
そんな中、法被を着た屋台のおじさんが、彼女に声をかけた。
「おや、ミサちゃん? 彼氏?」
「ひえっ……!?」
思わず彼女は声をあげてしまう。
同時に、パンと射撃音が聴こえた。
「彼氏さん、うまいね。はい、どうぞ」
そうして、目的の品をもらう。
「ふわふわ可愛い」
目をキラキラさせるミサを見て、リュウセイも仮面の下で嬉しそうに笑っていた。
0
あなたにおすすめの小説
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる