淫魔と俺の性事情

みき

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もう一匹の淫魔

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魔界にて

「ねぇ、アレクは?最近見ないんだけど」
「人間界じゃね?ついにパートナー見つけたらしいし」
「は?」
「1日で女取っ替え引っ替えしては記憶消してた奴が、ビックリだよなぁ」
「……そんないい女なわけ?」
「それがさぁ、男だって噂だぜ。」
「っ!!」
「俺も顔は知らねぇけど…ってルカ?いねーし」


その日、一匹の淫魔インキュバスが人間界に降り立った。





ところ変わって人間界

「あー…ひま…」

人間界は平和だ。
夕焼けで赤く染まった空。カァカァ鳴きながら飛ぶカラスを、主人の部屋の窓から眺める。
主人はこんびに?とかいうところで金を稼いでいるらしく、まだ帰ってこない。
非常に退屈かつ腹も減ったが、主人以外の精気など、もはや興味もない。

ぼーっと代わり映えしない外の景色を見つめていたとき、パタパタと小さな羽音が聞こえることに気付いた。
空の彼方から一匹の小さなコウモリがこちらに向かって飛んできていた。
よく見るとそれは、魔界との連絡に使う通信コウモリだった。

コウモリは俺の周りを旋回した後俺の手に着地し、機械的な声で告げた。

“至急至急。アレクサンダー・ディルハート。直チニ魔界ヘ帰還サレタシ”
「…なんで?俺なんか違反した?」
“緊急招集デアル。人間界ニイル淫魔ハ直チニ魔界ヘ帰還セヨ”
「……」

招集なんてめったにあることじゃない。他の淫魔が何かやらかしたのか。

ガチャッ
「ただいまー」
タイミングよく主人が帰宅した。

…めんどくせーけど、帰らねぇで魔界に目をつけられるのも癪だし、しょうがねぇか…。

「ご主人様ー」
「なに…うわっ」
主人に近寄り、前からぎゅうっと抱き締める。

「俺ちょっと魔界帰る」
「え?」
「なんか呼び出されちった。すぐに戻ってくるよ」
「そう…」
心なしか気落ちしたように見える主人に口がにやける。耳に口を寄せて甘く囁く。

「…帰ったらいっぱいセックスしよーぜ」
「なっ!だ、れがするかッ!」

俺の言葉に顔を真っ赤にした主人が可愛い。
主人の顎を少し上げて、口付ける。

「…ふぅ…っ」
舌を差し入れる深めのキスをして唾液を啜り、少しだけ精気をもらう。
「んっ………んぅ……はっ」

名残惜しいが、仕方ない。
口を離し、最後にチュッとバードキスをすると主人に別れを告げて、俺は魔界へ向けて飛び立った。
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