短編集

サグリ

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義妹を選んだ旦那を捨てました。復縁要請もお断りです

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「ジョナスはバルバラと私のどっちが大切なの?はっきり答えて」

エミーリエは夫のジョナスに最後通牒とばかりに怒りを含ませながら突き付けた。
ジョナスは妹のバルバラを家族として大切に扱っており、まるでバルバラが悪いように言われれば反発したくもなる。

「比べられるものじゃないだろう。それよりもエミーリエは俺のことが大切じゃないのか?俺の家族が大切じゃないのか?」
「ジョナスのことは大切だけど、ジョナスは私よりもバルバラのほうが大切なんでしょ?もうそういった扱いに耐えられないの。どれだけ我慢してきたのか知ってる?」
「まるで自分が被害者みたいに言うなよ。それなら俺だって我慢を重ねてるんだ。文句の一つや二つ、言いたかったけど堪えてきたんだ」
「私はどっちが大切なのか訊いてるの。ごまかさないで」
「…大切なのはバルバラだ。兄妹なんだから当然だろう?まさか俺たちの関係に嫉妬したのか?」
「大切にされないなら私、どうしてこんなところにいなくちゃならないの?もう離婚しましょう」
「やれやれ、話が通じないのは困ったな。いいだろう、離婚しよう」

話し合うはずがお互いを非難し合うようになり、ついには離婚することで同意できてしまった。
ジョナスとの関係に疑問を抱いたエミーリエは、バルバラと縁を切りたいと思うようになり、こうなることを内心望んでいた。
願いが叶った今、ジョナスに未練は微塵も残らず、輝かしい明日へ向かってこの魔窟から逃げ出した。

 ☆ ☆ ☆

ジョナスからエミーリエへ手紙が届き、内容は復縁を要請するものだった。
離婚からまだそう長い時間は経っておらず、復縁するにはあまりにも早すぎて、これではジョナスは反省していないとエミーリエは考え、そもそもあのバルバラがいる環境に戻りたくなかったことにより、手紙の内容は無視しようと思った。
だがこれを利用してバルバラにダメージを与えてやろうと閃きがあった。

「これで良しっと」

エミーリエがしたためた手紙には「バルバラを追い出すなら復縁を考えてもいい」というものだった。
ジョナスがバルバラを大切にしているため意味がないことは予想していたし、万が一にもバルバラを追放するようなことにでもなればジョナスとバルバラの関係が悪化して見物になる。
そもそも復縁に応じるつもりはなく、ただ相手が困ればいい、という意図の返信だった。

手紙を受け取ったジョナスは激怒し、エミーリエとは絶対に復縁なんかしないと神に誓った。

 ☆ ☆ ☆

あれからジョナスは連絡を取るようなことはなかった。

「しつこいジョナスから離れられて幸せだわ」
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