44 / 77
04
しおりを挟むアールグレイの紅茶を入れ、甘めの砂糖3つ入れたそれを飲んでいれば
匂いに誘われたのか、彼女はもそりと動き俺の背中側の服を引っ張った
「 ん? 」
『 ....おいしそう.... 』
「 食べる? 」
『 ん.... 』
口を開ける様子にモノクロのクッキーを口へと運べば彼女はゆっくりと開けて、はむっと咥えてから身体を起こした
『 美味しい!95点以上取るまでお菓子なしだったから 』
「 ...... 」
それなら俺もお菓子というかクッキー上げたらいけなかったんじゃなかった?
なんて思いながらも美味しそうに食べるように何も言えなくなった
『 もう1個いい? 』
「 全部食べていいよ。紅茶飲む?それとも他の飲み物がいい? 」
『 紅茶!砂糖2つで 』
「 了解 」
よかった、紅茶飲むなら予定してた事ができて嬉しいと内心喜び部屋を出て
紅茶を取りに向かった
他のチョコレート系のお菓子も、お菓子の缶に入れ持てば部屋に戻る
其処には俺の勉強してたノートを見てはクッキーを食べる姿がある
『 しょーたのノート見易いな。家庭教師より分かるかも 』
「 そう?纏めるのだけはちゃんとやってるからね....なにその意外そうな顔 」
えぇ、マジかぁ、みたいな顔しないで欲しいな
そりゃいつも人のパンツを狙ってる人からすれば俺が寝てるときしか知らないだろうからね
普段はちゃんと書いてるんだよ、なんてあえて強調してからテーブルに置き横へと座る
「 これは俺の苦手な古典だけどね。シルキーのノートみていい? 」
『 いいけど、たいしたこと書いてないからな? 』
「 ......殴り書き? 」
彼女のノートを開けば、行数なんて全く無視したような殴り書きがあった
それもあちこちにパンツのイラスト付きなんて、勉強なのかパンツの落書き帳なのか分からないほど....
此でよく家庭教師は続けるね、俺なら投げ捨てて辞めてそうだ
『 やる気が無いからなぁー.... 』
「 見て分かる....じゃ、どうしたらやる気が出る? 」
パンツ絡みだろうけど、ちょっとでもやる気出るならいいと思って問い掛ければ彼女は少し考える素振りを見せてから、部屋に掛けてあるカレンダーへと視線を向けた
『 18日.... 』
「 18日がどうしたの? 」
『 夕方、空いてる? 』
「 確か、ラーメン屋のバイトが21時まであるけど 」
『 じゃいいや 』
「 えっ、なにが? 」
もしかしてモデルの仕事でも入ってた?
そんな話は聞いてなかったけど、なんて思って内心焦って聞けばシルキーはほんの少しだけ口先を尖らせて視線を外した
『 バイトなんだろ、だから別にいい.... 』
「 別によかったらそんなふてくしないでしょ?答えれるか分からないけど、言ってみて? 」
何か予定はあっただろうか?
そんな事を考えて問えば、彼女は顔を背けた後にリュックの中を探り一枚の紙を俺の胸元へと押し付けてきた
『 これ.... 』
「 えっ?これって.... 」
それはこの地域で行われる、夏の終わりを祝う夏祭りのパンフレットだった
『 日本に来て、初めての祭りだけど....お父さん仕事だし行く友達とか居ないし、だから、しょーたと行きたかったけど....バイトとかあり得ない!! 』
ぐすんっと態とらしくカーペットに伏せて落ち込む彼女に俺の頭の中は真っ白だった
今まで夏祭りなんて、敦士と弟と行くぐらいで仕事が忙しくなってから行ってない
この祭りも有るのは知ってたけど、俺には友達居ないし縁もないと思ってバイトを入れていた
「 俺と、夏祭り行ってくれるの? 」
『 そうだよ、でもバイトなんだろ? 』
「 そんなのお願いして途中までにしてもらうよ。行こうよ、俺も久々に行きたかったんだー 」
『 !!良いのか? 』
夏祭り、人込みは嫌いだけど屋台の物とか好きだから全然よかった
楽しくなりそうだと笑えば、彼女もまた笑った
『 じゃ、浴衣着るからしょーたも着ろよ?日本の祭りは楽しまなきゃ 』
「 浴衣....持ってないって....って聞いてないね? 」
『 楽しみだなー!祭り、わたあめにりんご飴....射的はあるかなー、おみくじもしたい 』
日本に来たばかりなら、日本の風習とかやってみたいの外国人らしいなって何処か思って笑ってしまう
楽しみなら、答えなきゃね....
「( 敦士が持ってたらいいけど、浴衣 )」
残りの時間は祭りの話で盛り上がって、
彼女は21時になる前に家の近くまで今度は俺が送った
おやすみと告げたその日の夜には
また寝るまで通話をしたんだ
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる