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しおりを挟むバイトをしながら、御互いの家を行き来して
夜には彼女の家庭教師がハードすぎるなんて愚痴を聞いては一緒に眠るのを繰り返していた
夏祭りの当日の事は、店長は笑って許可してくれた
“ やっぱり付き合ってるのかー!若い者は楽しめよ! “
なんて俺が彼女と付き合ってるなんて思ってるけど、否定するのも面倒だから笑って誤魔化した
バイト費も少し早めに貰ってから、敦士にクリーニングに出した浴衣を借りた
「 やっぱり似合うなぁー、流石色男 」
「 そう?変じゃない? 」
「 全く、寧ろイケメンだって 」
18日はあっという間に訪れた
簡単だがやり方が分からず最初だけ着せて貰えば、ずっと褒めてるのだから弟には甘いなと思う
「 そっか、よかった....シルキーの横を歩いても違和感ないなら嬉しいよ 」
「 ......御前は自分を悲観過ぎてる。もう少し自信持ちな? 」
彼女は誰が見ても可愛いと言う
見た目もだが、性格も初めてあった時よりずっとそう思う
だから俺が隣で立つことにずっと違和感があるのは次元が違うように見えるから....
「 俺と彼女は釣り合わないのに、傍にいたいと思ってしまう.... 」
「 釣り合わない?なわけ、鏡を見て言うんだね!ほら、シャキッとして頑張ってね!あ、でも付き合ってないんだから、まだホテルは早いよ 」
「 なっ!クラスメートにするわけない! 」
そう、クラスメート
だから俺が深く踏みいることはないのだから、そう思ってるのに言って胸に何か突き刺さる
「 まぁ、しょーたが思うならいいよ。行ってらっしゃい。楽しんでね、俺も彼女と行くけど会わないようにするから 」
「 行ってきます.... 」
彼女と来るんだ、会ってもいいのに
そう思いながら軽く笑ってから家を出ていく
シルキーとは夏祭りの会場がある、神社の近くでの待ち合わせ
彼女のお父さんに送ってもらうと言ってたから俺が先に待ってる方がいいと思ったんだ
下駄を履こうか悩んで、歩くからサンダルにして
少し早歩きで歩いては、近所にある大きな神社へと向かった
「 左のお狐様の前に....此所か 」
神社にたどり着き、待ち合わせの場所に来ては、時計を見ても時間ではないためにまだ彼女は来てない
少しだけ早く来すぎた、そんな事を考えて10分ほど待っていれば人はほんの数分前より増えていた
流石、この地域1番の夏祭りだと思って辺りを見ていれば少しだけ人込みが避けていくのを見えた
「 えっ? 」
ゆっくりと歩いてくる姿に、男女問わず視線を向けた
俺の方へと一直線に歩いてくる彼女はやっぱり俺が傍にいていい相手ではないと思うほど綺麗だ
「 うそ、あれってブラックローズの社長さん!?イケメン!! 」
「 マジでカッコいい....つーか、あの浴衣は新作の?すげってことは.... 」
「「 娘さん!? 」」
あれ?これって彼女ではなくその横に歩いて着いてくる彼女の父親の方を皆は見てたのか
確か、彼女の父親の方は顔出ししてるしこの辺りに本社があるなんて噂があれば知る人は知ってるだろ
そんな人達が俺の前までやって来た
『 しょーた!御待たせ、うわっ、しょーた、イケメンな? 』
「 ....ブラックローズらしい、黒薔薇の浴衣って.... 」
きっと彼女でな無ければ孫にも衣装になりそうなほど、浮くほど派手に見える
浴衣なのに着物っぽい雰囲気があるほど柄が細かく綺麗だ
「 浴衣を着くって欲しいと言われ作った。なんだ、他社のか....悪いが娘と歩くなら男性用を着て貰う。着替えに行くぞ 」
「 えっ、えっ!? 」
折角敦士に借りたのに、ブラックローズ社の宣伝のために着替えるなんてどういうこと!?
人混みから外れた場所にある、キャンピングカーの中で、シルキーの父親に彼がこの日のために作った黒薔薇の男バージョンを着せてくれた
「 ....悪くねぇな。流石、体格と身長があるだけいい 」
「 胸元を出して、タトゥーシール貼る必要は.... 」
「 宣伝だ 」
「 でしょうね 」
胸元に貼られたブラックローズ社のタトゥーシール
黒薔薇にやっぱり宣伝用なのかと思って溜め息を吐けば、押されるようにキャンピングカーから出た
それにサンダルから下駄になったし、歩き辛い....
『 おっ、しょーた!似合うじゃん! 』
「 ....ありがとう 」
「 今回は宣伝として許す。それと宣伝用のポスターを作るカメラマンがどっかにいるが気にするな。自然なところを撮る 」
それはつまり監視付きってことか
少しだけ安心したような、残念なような複雑な気持ちに苦笑いを漏らしてから
改めて俺は彼女と共に祭り会場へと向かった
人の視線は慣れた筈だが、今日は尚更なれない....
「 ブラックローズ社のモデルかな?撮影用かな? 」
「 どっちも顔がいい.... 」
明らかにモデル扱い、それに比べてシルキーは素だ
『 しょーた!わたあめ食べよう! 』
「( うん、なんか....癒される )」
彼女がこういうのに慣れてて良かったなって思う
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