<完結> 公爵家執事は種馬に指名される。

ぜらちん黒糖

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②これからどうする?

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 学校へ向かう二人。前をビセットが歩いて斜め後ろを執事のマイケルが歩いていた。

ほんの少しビセットが顔を横にして声をかける。

「ねえ、マイケル。あなたは好きな人はいないの?」

マイケルは表情を変えずに返事をした。

「おりません」

その言葉でビセットの歩みが遅くなる。

「あなたって、堂々と嘘をつくのね」

「……」

言葉に詰まり返事ができないマイケルだったが、表情は変えない。

「私、知っているのよ?あなたとセシルが付き合っているのを」

マイケルの表情は鉄仮面のように無表情のままだったが、心の中は焦っていた。

(まずい、屋敷内の恋愛はご法度になっている。旦那様に報告されたら、俺は首になるかもしれない……)

ビセットの歩みが止まり、振り返るとマイケルを見た。

「もう、寝たの?セシルと」

マイケルの表情に戸惑いが現れてしまった。

ビセットが笑みを浮かべて呟いた。

「図星ね」

そう言ってまた前を見て歩き始めたビセット。

無言のまま歩き続ける二人。重たい空気を背負いながら歩くマイケルは、気がつくと校門前に来ていた。

「ありがとう、送ってくれて」

そう言って校内に入っていきかけたビセットに、マイケルは思わず声をかけてしまった。

「ビセットお嬢様!」

声をかけられて、少しびっくりした表情で振り向いたビセットにマイケルが尋ねた。

「旦那様にご報告されるおつもりですか?」

「マイケルは、そうしてほしいの?」

マイケルは絞り出すように答えた。

「……いいえ」

「そう、それなら言わないでおくわ」

ビセットはそう言ってそのまま校門をくぐって行った。

マイケルは、その後ろ姿を複雑な気持ちで見つめていたが、ビセットの姿が校舎に入るのを見届けると踵を返して、今来た道を歩き始めた。

(困ったことになったぞ。やっと執事の地位につけたのに……)

(屋敷を出て、セシルと二人で働けばなんとか暮らして行けるかもしれないが……)


❖❖❖


マイケルが屋敷に戻るとちょうどカタルス村の村長が乗った馬車が屋敷に入って来たところだった。

すぐに馬車に駆け寄るとマイケルの顔は、いつもの隙のない執事の表情に戻っていた。

「ミゲル様、お待ちしておりました」

馬車から降りてきた村長のミゲルが疲れたような顔で挨拶をする。

「おはようございます、マイケル様。公爵様はご在宅でしょうか?」

「ええもちろん。旦那様は執務室でお待ちしております」

二人は玄関へと向かった。

途中マイケルは、セシルに会ったので飲み物を執務室に持ってくるように頼んだ。


❖❖❖


コンコン!

マイケルが執務室のドアをノックして開けた。

「旦那様、カタルス村の村長、ミゲル様がいらっしゃいました」

「うん、中へ入れてくれ」

マイケルはミゲルを中へ入るように合図をするとドアを閉めて出ていった。


マイケルは一息つこうと休憩室へ入った。

すぐにお茶を自分で入れて、テーブルに置くと椅子に座った。

「ふーっ!」

(弱ったな、これからどうするか……)

お茶を一口飲んで考える。

(最悪、屋敷を出ることになった場合、俺が出て行くことになればセシルもついて来るだろうから……待てよ、俺が解雇されたら、セシルだけは屋敷に置いてもらえるように頼めばそのまま留まれるかもしれない)

(そうなれば、俺はまた一人になれる。また誰か他の女を引っ掛ければいいんじゃないのか?)

(セシルか……。俺は彼女のことをどう思っているんだろうか?)

マイケルは今まで本気で女性を愛した経験がなかった。

(口で愛してると言ったことはあったが……)

マイケルはお茶を飲むとまた席を立った。
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