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するとそこには、驚くほど綺麗な令嬢が立ってニコリと微笑んでいるではないか。
年齢は、自分達よりは上であろう。
多分、二十歳前後か。
王子には、確か、姉の王女が何人かいたはずだ。
これは絶対に、その王女の内の一人に違いないと思ったエリオスは、慌ててその場に膝を着いた。
「坊ちゃま」
「え?」
隣でボーっと立っていたアイスは、エリオスが小声で「ご挨拶を!」と言ったのが耳に入り、慌ててそれに倣った。
「こ、この度は、シャロン殿下六歳の御生誕祭おめでとうございます。ぼ……私は、幸運にもお招きに預かりましたアイス・クラシス・ウル、この者は従者のエリオスと申します」
すると令嬢は、コロコロと鈴を転がすように笑った。
「まぁ、あなたがアイスなのね。まだ六歳なのに、王子の傍に侍るよう実家から王都へ送り出されるなんて本当に大変ね」
「は――はい。あ、いいえ! 王子の側近に選出されたのは何よりの誉です。父上も母上もこの役目を頂き、大変に喜んでいます」
実家では、王族との受け答えを滞りなく出来るようにと、家庭教師を招いてみっちりと何パターンものレッスンをしていた。
なのでアイスは、六歳という年齢を感じさせないような物言いで、賢そうに振舞った。
「さすがは悠久の宝石と讃えられる都です。このエルドランドへ到着してからずっと、あまりに眩しくて目がくらみそうです。ここを治めるシルバ王と、その臣下の方々、そして王族の皆様たるや正に沈まぬことを知らぬ太陽のよう。家臣の一人として敬服致します」
すらすらと暗記してた口上を述べると、令嬢は感心したようにまた笑った。
「まぁ、うふふ……」
その笑顔は、本当に眩しいくらいに綺麗だ。
アイスは『王子の一番の側近になれたら、王女様とだって結婚できるかも』と淡い恋心を抱きそうになるが。
「まだ子供なのに、よくそれだけの美辞麗句を覚えらえたわね。何回も練習したのかしら」
年齢は、自分達よりは上であろう。
多分、二十歳前後か。
王子には、確か、姉の王女が何人かいたはずだ。
これは絶対に、その王女の内の一人に違いないと思ったエリオスは、慌ててその場に膝を着いた。
「坊ちゃま」
「え?」
隣でボーっと立っていたアイスは、エリオスが小声で「ご挨拶を!」と言ったのが耳に入り、慌ててそれに倣った。
「こ、この度は、シャロン殿下六歳の御生誕祭おめでとうございます。ぼ……私は、幸運にもお招きに預かりましたアイス・クラシス・ウル、この者は従者のエリオスと申します」
すると令嬢は、コロコロと鈴を転がすように笑った。
「まぁ、あなたがアイスなのね。まだ六歳なのに、王子の傍に侍るよう実家から王都へ送り出されるなんて本当に大変ね」
「は――はい。あ、いいえ! 王子の側近に選出されたのは何よりの誉です。父上も母上もこの役目を頂き、大変に喜んでいます」
実家では、王族との受け答えを滞りなく出来るようにと、家庭教師を招いてみっちりと何パターンものレッスンをしていた。
なのでアイスは、六歳という年齢を感じさせないような物言いで、賢そうに振舞った。
「さすがは悠久の宝石と讃えられる都です。このエルドランドへ到着してからずっと、あまりに眩しくて目がくらみそうです。ここを治めるシルバ王と、その臣下の方々、そして王族の皆様たるや正に沈まぬことを知らぬ太陽のよう。家臣の一人として敬服致します」
すらすらと暗記してた口上を述べると、令嬢は感心したようにまた笑った。
「まぁ、うふふ……」
その笑顔は、本当に眩しいくらいに綺麗だ。
アイスは『王子の一番の側近になれたら、王女様とだって結婚できるかも』と淡い恋心を抱きそうになるが。
「まだ子供なのに、よくそれだけの美辞麗句を覚えらえたわね。何回も練習したのかしら」
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