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夫であった侯爵は語る
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そんなこんなで私はマゼンタと付き合うようになった。
伯母の公認である。と言うより、このままでは私は一生結婚しないのではないか、と本気で母からも心配されていたようだ。
半年がところ交際していたら、両親が一度連れてくるように、と言ってきた。すなわち、結婚相手として扱っても良い、という印だった。
だがそれにはマゼンタの方が難色を示した。
「勿体ないです。家庭教師となど、身分違いです」
彼女はそう言った。
「何故? 貴女は確かに家庭教師だが、身分はちゃんと子爵令嬢だ。うちと縁組みするにさして問題がある訳ではない」
私にしては驚くほど強引に、話をすすめていった。
彼女も私のことを憎からず思っていることは判っていた。
何と言っても彼女は、「真っ当な暖かい家庭」を作るのが夢だ、と言っていた。
そしてその一つの要素として私が入っていてもおかしくはないということも。
「ですが私の実家が」
「その辺りはうちで話をつける」
「そんなこと…… 勿体ないです」
このやりとりでまた半年続き、両親に顔を見せることができたのは、結局出会って一年後、両親はいつになったら見せてくれるの、と私を責め立てる始末だった。
マゼンタの実家の子爵家に関しては、父が相当しっかり調べさせた。
子爵自体は可も無し不可も無しという人物だった。
ただ極めて運が悪い。
何かを選択する時に何故か逆引きをしてしまうという体質だった。
マゼンタの兄は仕事仲間の平民女性と結婚間近だったが、なかなかその資金が実家への仕送りで貯まらずに困っている状態だった。
この二人に対しては、父が話をつけてくれた。
子爵には可も無し不可も無しな領地の管理人を頼むことに。
そして兄の方には、結婚が可能なように、小さな新居を用意させてもらった。
この二人は素直にこちらの申し出を受け取ってくれた。
「本当にありがたい。このままではマゼンタは嫁き遅れどころか老嬢になってしまうだろうと思っていたんだ。不甲斐ない父親で申し訳ない……」
「ありがとうございます。小さいながらも、マゼンタの里としても何とかなるようにがんばっていきますよ。ただ」
兄の方がここで、懸念を口にした。
「母が何というか……」
そう、彼女にとって最大のネックは母親だった。
結婚を申し込んだ時も、既に成人年齢は過ぎているというのに「母の意向」をちょっと不思議な程に気にしていた。
「お母様は私など結婚できる訳がない、といつも言っています」
彼女は私からやや目をそらしながらそう言っていた。
「そんなこと」
「いえ、私もそう思ってます。こんな、決して綺麗でもない、可愛げの無い娘をもらってくれる男性など、と」
「それでは私の気持ちはどうなるんだい?」
「貴方はとても良い方です。だからきっと私のことなど気の迷いなのです。母もそう言ってました」
何故そこまで母親の判断を全てだと思うのか、私には判らなかった。
「よござんす、私がその辺りは話をつけましょう」
困り果てた私に、伯母はそう言ってマゼンタの雇い主でとしてでも、母親に話を通しに行った。
のだが。
「……ダグ、どっかあの女は奇妙な感じがするんですよ」
常にはきはきとした伯母が、どうも歯切れの悪い言い方をした。
「反対だったんですか? 話は通らなかったかと」
「そこがよく判らないのですよ。単純な金目当ての時とも今一つ違うようで。ひどく」
「ミルダ(母のことだ)も引っ張り出した方がいいですかね」
「母が望むのなら」
結果として、母はどういう手段を使ったのか、マゼンタの母親に了承させたということだった。
そして私達は結婚した。
伯母の公認である。と言うより、このままでは私は一生結婚しないのではないか、と本気で母からも心配されていたようだ。
半年がところ交際していたら、両親が一度連れてくるように、と言ってきた。すなわち、結婚相手として扱っても良い、という印だった。
だがそれにはマゼンタの方が難色を示した。
「勿体ないです。家庭教師となど、身分違いです」
彼女はそう言った。
「何故? 貴女は確かに家庭教師だが、身分はちゃんと子爵令嬢だ。うちと縁組みするにさして問題がある訳ではない」
私にしては驚くほど強引に、話をすすめていった。
彼女も私のことを憎からず思っていることは判っていた。
何と言っても彼女は、「真っ当な暖かい家庭」を作るのが夢だ、と言っていた。
そしてその一つの要素として私が入っていてもおかしくはないということも。
「ですが私の実家が」
「その辺りはうちで話をつける」
「そんなこと…… 勿体ないです」
このやりとりでまた半年続き、両親に顔を見せることができたのは、結局出会って一年後、両親はいつになったら見せてくれるの、と私を責め立てる始末だった。
マゼンタの実家の子爵家に関しては、父が相当しっかり調べさせた。
子爵自体は可も無し不可も無しという人物だった。
ただ極めて運が悪い。
何かを選択する時に何故か逆引きをしてしまうという体質だった。
マゼンタの兄は仕事仲間の平民女性と結婚間近だったが、なかなかその資金が実家への仕送りで貯まらずに困っている状態だった。
この二人に対しては、父が話をつけてくれた。
子爵には可も無し不可も無しな領地の管理人を頼むことに。
そして兄の方には、結婚が可能なように、小さな新居を用意させてもらった。
この二人は素直にこちらの申し出を受け取ってくれた。
「本当にありがたい。このままではマゼンタは嫁き遅れどころか老嬢になってしまうだろうと思っていたんだ。不甲斐ない父親で申し訳ない……」
「ありがとうございます。小さいながらも、マゼンタの里としても何とかなるようにがんばっていきますよ。ただ」
兄の方がここで、懸念を口にした。
「母が何というか……」
そう、彼女にとって最大のネックは母親だった。
結婚を申し込んだ時も、既に成人年齢は過ぎているというのに「母の意向」をちょっと不思議な程に気にしていた。
「お母様は私など結婚できる訳がない、といつも言っています」
彼女は私からやや目をそらしながらそう言っていた。
「そんなこと」
「いえ、私もそう思ってます。こんな、決して綺麗でもない、可愛げの無い娘をもらってくれる男性など、と」
「それでは私の気持ちはどうなるんだい?」
「貴方はとても良い方です。だからきっと私のことなど気の迷いなのです。母もそう言ってました」
何故そこまで母親の判断を全てだと思うのか、私には判らなかった。
「よござんす、私がその辺りは話をつけましょう」
困り果てた私に、伯母はそう言ってマゼンタの雇い主でとしてでも、母親に話を通しに行った。
のだが。
「……ダグ、どっかあの女は奇妙な感じがするんですよ」
常にはきはきとした伯母が、どうも歯切れの悪い言い方をした。
「反対だったんですか? 話は通らなかったかと」
「そこがよく判らないのですよ。単純な金目当ての時とも今一つ違うようで。ひどく」
「ミルダ(母のことだ)も引っ張り出した方がいいですかね」
「母が望むのなら」
結果として、母はどういう手段を使ったのか、マゼンタの母親に了承させたということだった。
そして私達は結婚した。
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