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夜間飛行 7
しおりを挟む電車が、来る……?
ぼんやりとその方向を見ると、電車のライトが見えた。
「おねえさん、立って!引き上げるから!ちょっと、そこの人手伝って!人が落ちてんだよ!電車に轢かれる‼︎」
立ち上がらないと。
「っ!」
立ち、上が、れない……?線路に落ちた拍子に足を挫いていた。
「足、挫いたみたいで……」
「そこを何とか立ち上がって!死んじゃうよ⁉︎」
右足首に走る激痛に顔を顰めながらも、よろよろと立ち上がることができた。
「手!伸ばして!引っ張るよ!」
鞄を肩に掛けたまま、目の前の高校生たちに向かって両腕を伸ばす。
「1、2の、3!」
大きな声の合図で引き上げられた。その直後、私のすぐ背後に電車が通る音がして血の気が引いた。周囲に拍手が起こってるけど、私にそんな余裕は無い。拍手はすぐに収まり拍手の主達は電車のドアが開くと同時に消えていった。
「ま、間に合ったあ……」
「俺たち、すごくね?」
「てか俺たちしかやってねえじゃん。大人冷た過ぎ」
「明日新聞載るかな?」
「おねえさん無事なんだから逆に載らねえだろ」
「えー、俺頑張ったんだけど」
私を救出してくれたのは、男子高校生らしき3人だった。
「あ、あの……ありがとうございます」
「そうだ、おねえさん、大丈夫?救急車とか呼んでもらう?」
「とかって何だよ」
「救急車的なやつ?」
「救急車以外の救急車的なやつ俺わかんね」
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