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ヒロインよ、王太子ルートを選べ!~結婚編~
王太子は多忙を極める② ※王太子視点
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「間違いありません。陛下、妃殿下、おめでとうございます。ご懐妊です」
……懐妊?
……誰が? まさか母上が?
…………この年で俺、お兄ちゃん?
「まあ、何という事でしょう! レオナルドを産んで以降は、子供をずっと授からなかったのですよ。それが今になって……」
おいおい、母上は半分パニックになりながら喜んでるし、父上は天を仰いで嬉し泣き始めちゃったよ。
お互いもう四十を過ぎようかというのに、何やっちゃってんだよ……。今更弟か妹ができますなんて言われても、こっちもどんな顔すればいいか分かんねぇ……
「レオナルド! お前に力強い味方ができるじゃないか、もっと喜べ!」
「そ……そうですね。おめでとうございます……」
初老の侍医が診察を終えて、横にいる弟子のポーラが片付け始める。
「ご出産予定は夏の終わり頃でしょう。しばらくは悪阻も大変でしょうから、助手のポーラを毎週来させます。なにしろ高齢出産ですからな。安定期に入るまでは何が起こるか分かりません。くれぐれも、安静になさってください」
先程は緊張していたポーラも仕事になるとテキパキと動いている。彼女が毎週来てくれれば安心だろう。しかし母上も高齢出産だ。無事に産まれるかどうかも心配な今、懐妊を発表するのは早いな。先送りした方がよさそうだ。
……安定期に入るまでは、コレットとの結婚の話も進められないのか。くっ……喪中で一年も待ったのに。
「レオナルド、こんな時にごめんなさいね。コレットとの結婚の日取りをいよいよ決めようかと思っていた時に……」
本当だよ。俺が結婚をどれだけ待ち望んでいたと……。
「大丈夫だ、レオナルド!
コレットとの結婚も大事だが、弟か妹ができることの方がワクワクするだろう? 良かったな!」
「あはは……弟かな、妹かな、楽しみだなぁ……あはは」
この浮かれポンチ国王が! ちょっとは働け!
こんな感じで浮かれポンチが全く使えなくなってから、俺は毎日仕事漬けだ。コレットが昔、『そういう人のことを社畜って言うんですよ』なんて言っていたな。俺は家畜レベルか。
こうして毎日社畜ライフを送っていた間に、なんとエリオットとリンゼイに女の子が産まれたらしい。どいつもこいつも幸せになりやがって! おい、ジョージ! エリオットへのお祝いを準備しろ!
母上の診察はできるだけ極秘に、王宮に人が少なくなる夜になってからにした。週一回通ってくれるポーラに見てもらうが、母上の悪阻はおさまる気配がない。ほとんど何も口にできず痩せていく母を見ながら、お腹の子のことも心配になってきた。
漸く仕事を終えて、母の容態を聞こうと診察帰りのポーラを追いかけてつかまえる。
「ポーラ。お腹の子は大丈夫なのか?」
「はい、殿下。食べやすいものを見つけて少しずつ口にしています。春頃には少し落ち着いてくるでしょうから、ご安心ください」
「そうか、それならいいのだが……」
部屋に戻り、ベッドに身を投げ出して大の字で宙を見上げる。
……コレット元気かな。最近全然会えていない。
こういう時期は危険なんだ。大体コレットに変な噂を吹き込む奴がいて、そのせいでコレットが盛大に勘違いして俺との仲が悪化するんだ。さすがに十三年も婚約していたら、コレットの思考パターンは読めている。
コレットに会いたい。長い黒髪を触りながら、近くでコレットの優しい声を聞きたい。
今から行くか! ……だめだ、夜中だぞ。
コレットに頼んで、王宮まで来てもらうとか! でも、俺には朝から晩まで予定が入ってる。
昔は時間も気にせず、会いたい時にコレットを呼びつけてたが、それはもうしないと反省したんだ。呼べばコレットは絶対に来てくれる。だけどそんなことをしてコレットを振り回したら、昔のダメな俺に戻ってしまう。
何とか手紙と贈り物だけでも……
そうだ、明日ジョージに頼んで手紙と贈り物を届けさせよう。そう言えば、俺の弟妹に紋章入りのおくるみだの洋服だのも準備しないといけないんだった。本当は父上の仕事だが、アイツ絶対忘れてるよ。それも明日発注だな。
ああ、眠い。
陛下と母上の仕事まで俺がやり始めてどれくらい経つんだ? 最後にまともに睡眠を取ったのがいつなのかも忘れた……。せめてコレットへの手紙だけでも書いてから寝たいな。紙とペンは……あった。なんて書くかな……『コレットへ プレゼント……』
ダメだ……寝てしまう……
……懐妊?
……誰が? まさか母上が?
…………この年で俺、お兄ちゃん?
「まあ、何という事でしょう! レオナルドを産んで以降は、子供をずっと授からなかったのですよ。それが今になって……」
おいおい、母上は半分パニックになりながら喜んでるし、父上は天を仰いで嬉し泣き始めちゃったよ。
お互いもう四十を過ぎようかというのに、何やっちゃってんだよ……。今更弟か妹ができますなんて言われても、こっちもどんな顔すればいいか分かんねぇ……
「レオナルド! お前に力強い味方ができるじゃないか、もっと喜べ!」
「そ……そうですね。おめでとうございます……」
初老の侍医が診察を終えて、横にいる弟子のポーラが片付け始める。
「ご出産予定は夏の終わり頃でしょう。しばらくは悪阻も大変でしょうから、助手のポーラを毎週来させます。なにしろ高齢出産ですからな。安定期に入るまでは何が起こるか分かりません。くれぐれも、安静になさってください」
先程は緊張していたポーラも仕事になるとテキパキと動いている。彼女が毎週来てくれれば安心だろう。しかし母上も高齢出産だ。無事に産まれるかどうかも心配な今、懐妊を発表するのは早いな。先送りした方がよさそうだ。
……安定期に入るまでは、コレットとの結婚の話も進められないのか。くっ……喪中で一年も待ったのに。
「レオナルド、こんな時にごめんなさいね。コレットとの結婚の日取りをいよいよ決めようかと思っていた時に……」
本当だよ。俺が結婚をどれだけ待ち望んでいたと……。
「大丈夫だ、レオナルド!
コレットとの結婚も大事だが、弟か妹ができることの方がワクワクするだろう? 良かったな!」
「あはは……弟かな、妹かな、楽しみだなぁ……あはは」
この浮かれポンチ国王が! ちょっとは働け!
こんな感じで浮かれポンチが全く使えなくなってから、俺は毎日仕事漬けだ。コレットが昔、『そういう人のことを社畜って言うんですよ』なんて言っていたな。俺は家畜レベルか。
こうして毎日社畜ライフを送っていた間に、なんとエリオットとリンゼイに女の子が産まれたらしい。どいつもこいつも幸せになりやがって! おい、ジョージ! エリオットへのお祝いを準備しろ!
母上の診察はできるだけ極秘に、王宮に人が少なくなる夜になってからにした。週一回通ってくれるポーラに見てもらうが、母上の悪阻はおさまる気配がない。ほとんど何も口にできず痩せていく母を見ながら、お腹の子のことも心配になってきた。
漸く仕事を終えて、母の容態を聞こうと診察帰りのポーラを追いかけてつかまえる。
「ポーラ。お腹の子は大丈夫なのか?」
「はい、殿下。食べやすいものを見つけて少しずつ口にしています。春頃には少し落ち着いてくるでしょうから、ご安心ください」
「そうか、それならいいのだが……」
部屋に戻り、ベッドに身を投げ出して大の字で宙を見上げる。
……コレット元気かな。最近全然会えていない。
こういう時期は危険なんだ。大体コレットに変な噂を吹き込む奴がいて、そのせいでコレットが盛大に勘違いして俺との仲が悪化するんだ。さすがに十三年も婚約していたら、コレットの思考パターンは読めている。
コレットに会いたい。長い黒髪を触りながら、近くでコレットの優しい声を聞きたい。
今から行くか! ……だめだ、夜中だぞ。
コレットに頼んで、王宮まで来てもらうとか! でも、俺には朝から晩まで予定が入ってる。
昔は時間も気にせず、会いたい時にコレットを呼びつけてたが、それはもうしないと反省したんだ。呼べばコレットは絶対に来てくれる。だけどそんなことをしてコレットを振り回したら、昔のダメな俺に戻ってしまう。
何とか手紙と贈り物だけでも……
そうだ、明日ジョージに頼んで手紙と贈り物を届けさせよう。そう言えば、俺の弟妹に紋章入りのおくるみだの洋服だのも準備しないといけないんだった。本当は父上の仕事だが、アイツ絶対忘れてるよ。それも明日発注だな。
ああ、眠い。
陛下と母上の仕事まで俺がやり始めてどれくらい経つんだ? 最後にまともに睡眠を取ったのがいつなのかも忘れた……。せめてコレットへの手紙だけでも書いてから寝たいな。紙とペンは……あった。なんて書くかな……『コレットへ プレゼント……』
ダメだ……寝てしまう……
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