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三章 溶けた氷の水

シオの種族

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「ほらほら、こんなにシオは綺麗になったんだよ。」 
「わふ~」   
 
 シオは、鏡に写る自分の姿を見て、風呂場をワンワンと吠えながら走っていた。

「それじゃあ、一緒にお風呂に入ろうか。」
「ワン~」

 俺は、風呂場を走り回っているシオを抱えると、浴槽の中に入った。 
 この風呂場は、銭湯をイメージして作ったもので、富士山の絵が壁に飾られている。広さは、コンビニ四つ分位の広さで、結構広い。

「温かいね~ シオ」
「ワンワン」

 シオは風呂が気に入ったようで、浴槽の中に潜ったり犬かきをしたりしていた。
 俺は、【転移魔法】でカメラを取り寄せると、シオが尻尾を振りながら泳いでいる様子を動画に収めた。 

 ……癒し動画確保♪

 気がついた時には、カメラのメモリが既に無くなっていたのだが、どうすればいい?
 


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ワンワン」
「ん~  今度はこれに入りたいのか?」

 シオは、尻尾を振りながらサウナの扉に鼻をくっ付けていた。

 ………純粋に可愛い

 俺が、“少しだけな~“と言って扉を開けると、シオは猛ダッシュでサウナ室に入っていった。…………一応、熱中症対策をしないとな。
 
 サウナの温度設定を少し下げると、シオの後に続いてサウナ室に入った。
 


「カチャ」
 かなり熱くなっている鉄の扉を開けると、シオが身を丸めて段差に寝転がっていた。

 ………ヤバい……やってしまったか……

 俺は、熱中症であると思われるシオの体に水を掛けると、“ジュワ~“と音がなるのと共に、シオが欠伸をしながら目を覚ました。

 …………は?

 目の前で、呑気に欠伸をしているシオを見て、俺はこの言葉を溢したのだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ペラペラ」

 シオを膝に乗せながら、魔本まぼんを一ページずつ捲っていると、シオに似た狼を見つけた。

 ……あの後、シオには水を沢山飲ませたのだが、熱中症になっているかもしれないので、魔本でシオのことが大丈夫なのか確認していた。

 魔本とは、この世界の知識が乗っている本で、ゴブリン等のメジャーな魔物から、豪竜ごうりゅう等の珍しい魔物の情報が乗っている。この本を得るだけで、金が眠っている場所や伝説の武器の使い方が分かるので、魔本の価値は国がいくつあっても足らないそうだ。

 ………どうして、俺がそんな本を持っているのかというと、魔道具作成の時にたまたま作れてしまったからだ。(二回目

 俺は、トラブルに巻き込まれたくないため捨てようと思ったのだが、色々なドラゴンが魔本には載っていて、中二病精神が刺激されたので残して置くことにした。

 ………今となっては役立っているから、中二病精神 万歳だと思った。

 そんなことを考えながら、白い狼のページを覗いていると、シオの種族がウォーム・ウルフなことが分かった。

 ウォーム・ウルフは、暖かい場所に住む狼で基本的に何でも食べるらしい。暖かい場所に住んでいることから、八百度を超えた地域でも余裕で生きることができるらしく、火属性の魔物からは恐れられているらしい。

 ………つまり、熱中症にはならないわけだ……

 ソファーの上で、溜まっていた肩の力を抜くと、膝の上に載っていたシオが寝転がっている俺を舐めてきた。

 ………まぁ…可愛いからいいや

 シオのことを撫でると、シオは負けじと俺のことを強く舐めてきた。

 俺も、“やるか゛と言ってシオのことをもっと強く撫でると、疲れのせいか俺とシオはすぐにじゃれつくのを止めた。

 魔毛布を使わず寝たのに、俺の体はとてもポカポカだった。
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