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第五章
穴の向こうの出来事
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これから暮らすとなると、呼ぶための名前がないと不便だ。もしかしたらドラゴン親子の中で呼び名があるのかもしれないが、さすがにドラゴン語が分からないためリルが付けることにした。
「名前かぁ、名前……チョコは色で付けたから、この子もそういうのにしようかな」
チョコの体はこげ茶色をしている。一方子ドラゴンは薄い青色をしている。
「青、水色に近いか。水色の食べ物か飲み物……サイダー、ソーダ……食べ物なんてある?」
水色にちなんだものが思い浮かばなくて黙り込む。その横でチョコが子ドラゴンに匂いを嗅がれていた。
「食べ物じゃなくても。あ、空とか海! ドラゴンは空を飛ぶからスカイ……はしっくりこないな、そのままソラの方がよさそう」
リルがしゃがみ、子ドラゴンの目線に合わせて言った。
「君の名前はソラ。ソラだよ。どう?」
「グゥ~?」
子ドラゴン改めソラはキュルキュルの瞳で見つめるばかりだった。
「まだ人間の言葉にも慣れてないから難しかったね。少しずつ慣れていって、いつか言葉が分かるようになってくれたらいいな」
ハグしようとした腕を止め、代わりにチョコとハグしてみせる。やはりソラは不思議そうで、人間と関わってこなかったのがよく理解できた。
そもそも、人の言葉を理解する魔物の方が珍しい。魔法士が引き連れている魔物は理解できるものもいるが、野生となると、相当な知能がないと教えても伝わらない。
ドラゴンは高知能らしいので、これから暮らしていけば意思疎通ができるようになるだろう。それを楽しみに、リルののんびりとした暮らしを紹介していくことにした。
「まずは家の中と畑を案内するね」
家を案内するなかで一番興味を示したのが畑だった。食べたいものがないか指差して一つずつ聞いていくと、畑に隣接しているりんごの木に一番反応した。試しに一個渡すと勢いよく食べだした。
「フルーツ好きなのかな、可愛い」
チョコにもあげてみると、普段はそのままでは食べないのに食べ始めた。リルが微笑ましく見守る。
「ギャオッ」
「ふふ、二人とも可愛い」
それからリルはチョコとソラに魔法の穴を見せた。チョコも一回しか見たことがなかったので、二匹で穴を覗き込もうとしていた。
「これは触れたら危ないから覗くだけね。向こう側はこちらとはまた違う世界が広がっていて面白いよ」
念のため穴の周りだけ結界をかけておく。
「何を観察しようか……あれ?」
元実家付近を漂っていたら、元父が数人の男性と話し合っていた。彼以外の人間を穴を通して見るのは初めてだ。
「どうしたんだろう」
草むらに隠れて様子を窺う。
「こんな花、ここいらでは見たことねぇぞ」
「娘に言ったらよ、パンジーに似てるけど図鑑に載ってねぇって」
「そうか。庭先にぽとっと落ちてたんだが、そんなに珍しい花なのか」
リルが彼らからそっと離れ、山の前に場所を移す。二匹が楽しそうに声を上げる横で、リルが口に手を当て一人慌てていた。
「あわわ、あれ日本に無いお花だったんだ。なんかちょっとした騒ぎになってる……ごめんなさい、お父さん!」
今後何か送る時はもっと慎重に考えようと反省するリルだった。
「名前かぁ、名前……チョコは色で付けたから、この子もそういうのにしようかな」
チョコの体はこげ茶色をしている。一方子ドラゴンは薄い青色をしている。
「青、水色に近いか。水色の食べ物か飲み物……サイダー、ソーダ……食べ物なんてある?」
水色にちなんだものが思い浮かばなくて黙り込む。その横でチョコが子ドラゴンに匂いを嗅がれていた。
「食べ物じゃなくても。あ、空とか海! ドラゴンは空を飛ぶからスカイ……はしっくりこないな、そのままソラの方がよさそう」
リルがしゃがみ、子ドラゴンの目線に合わせて言った。
「君の名前はソラ。ソラだよ。どう?」
「グゥ~?」
子ドラゴン改めソラはキュルキュルの瞳で見つめるばかりだった。
「まだ人間の言葉にも慣れてないから難しかったね。少しずつ慣れていって、いつか言葉が分かるようになってくれたらいいな」
ハグしようとした腕を止め、代わりにチョコとハグしてみせる。やはりソラは不思議そうで、人間と関わってこなかったのがよく理解できた。
そもそも、人の言葉を理解する魔物の方が珍しい。魔法士が引き連れている魔物は理解できるものもいるが、野生となると、相当な知能がないと教えても伝わらない。
ドラゴンは高知能らしいので、これから暮らしていけば意思疎通ができるようになるだろう。それを楽しみに、リルののんびりとした暮らしを紹介していくことにした。
「まずは家の中と畑を案内するね」
家を案内するなかで一番興味を示したのが畑だった。食べたいものがないか指差して一つずつ聞いていくと、畑に隣接しているりんごの木に一番反応した。試しに一個渡すと勢いよく食べだした。
「フルーツ好きなのかな、可愛い」
チョコにもあげてみると、普段はそのままでは食べないのに食べ始めた。リルが微笑ましく見守る。
「ギャオッ」
「ふふ、二人とも可愛い」
それからリルはチョコとソラに魔法の穴を見せた。チョコも一回しか見たことがなかったので、二匹で穴を覗き込もうとしていた。
「これは触れたら危ないから覗くだけね。向こう側はこちらとはまた違う世界が広がっていて面白いよ」
念のため穴の周りだけ結界をかけておく。
「何を観察しようか……あれ?」
元実家付近を漂っていたら、元父が数人の男性と話し合っていた。彼以外の人間を穴を通して見るのは初めてだ。
「どうしたんだろう」
草むらに隠れて様子を窺う。
「こんな花、ここいらでは見たことねぇぞ」
「娘に言ったらよ、パンジーに似てるけど図鑑に載ってねぇって」
「そうか。庭先にぽとっと落ちてたんだが、そんなに珍しい花なのか」
リルが彼らからそっと離れ、山の前に場所を移す。二匹が楽しそうに声を上げる横で、リルが口に手を当て一人慌てていた。
「あわわ、あれ日本に無いお花だったんだ。なんかちょっとした騒ぎになってる……ごめんなさい、お父さん!」
今後何か送る時はもっと慎重に考えようと反省するリルだった。
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