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私は精進する

報連相は大切に

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 家族お墨付きの謙虚な人間であれば問題も起こるまい。というより、そもそも軍自体違うのだから話す機会もこちらから歩み寄らない限りは無いと言える。

「教育も胡千真フー・チェンヂェンがするだろうし、俺は温かく見守るだけだ。ラッキー」

 ほくほく顔で就寝の準備を始めようと立ち上がったが、そこではたと気が付いた。陳雷チェン・レイの母について大将軍に報告していないことに。

「やっべ」

 慌てて扉を開けるが、廊下に出るや否や落ち着きを取り戻した様子でゆっくり歩き出した。胡威風フー・ウェイフォンは決して焦った顔で走らないものだ。

 宋強追ソン・ジァンヂュイの部屋の扉を叩く。一秒で扉を開けられた。圧の強い顔が至近距離にあって逃げたくなった。

「こんな時間に珍しい。鍛錬か、付き合うぞ!」
「違います」

 こんな時間に鍛錬なんぞしたくはない。脳みそまで筋肉でパンパンの大将軍相手に陳雷について報告する。大将軍がよろよろと歩き、壁に手を付いた。

「なんと、陳雷の母君が……それは言葉に出来ない程の苦しみだろう。どうにかして助けねば」

──でしょうね。

 予想通りの反応だった。彼は声が五月蠅い筋肉野郎だが、人の痛みを自分のことのように思える人間だ。母親のことを話したら一刻も早く助けようとするだろうと思っていた。

 出来ることなら、やる気のある上司に任せて自分は扇子片手に涼しい室内で待っていたい。しかし、そんなことをしたら聖人レベルがもれなく下がることは容易に想像出来る。

「恨国へは私が参ります。一度、陳雷の母親の顔を見ておりますので」
「そうか。それはありがたい。誰か供の者をつけよう。陳雷を連れていくか?」

 確かに陳雷を連れていけば確実だ。しかし、母親を見つけた瞬間慌てておかしな行動に出られては困る。さらに原作通りであれば、赤子の時に離れ離れになっているので、お互い顔を知らない状態だ。

「陳雷には歪みの前にいてもらい、そこで確認してもらいます。あまり複数で移動して目立っても大変です。あちらでは私単独で動きましょう」

 すると、突然宋強追の瞳から涙が飛び散った。

──うわッッ涙が意思を持ってる!

「なんて慈悲深い心、迅国の鑑だ! 胡威風のことは皇帝にも報告しておこう」

 がっしり両手を掴まれる。非常に痛い。圧迫骨折する。

「いえ、一将軍として当然のことです」

 というより、選択肢がそれしかないと言った方が正しい。

「そうか、陳雷に変わって深く感謝する。そういえば、歪みはどうするのだ。消してしまったから、また出現するまで待つか?」

 宋強追の言う通り、それが一番の問題だ。胡威風が慎重に頷く。
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