【完結】優しくしないで

にゃーつ

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【第一部】 5章

7 空side

今日は顔合わせ。
平気そうにしてるけどちーが怖くて仕方ないのは僕が1番分かってる。

初顔合わせの間だけは隣に入れないから不安だ。


「梶田組の方が見えました。」

「通せ。」


そうして入ってきた梶田湊。
まだ50過ぎとは思えないような重圧感だな。
じいちゃんより年下だけど、対等に話せるほどの男。

だが僕たちの視線はその後ろから入ってきた女の人に釘付けだった。



ちー???



似てるとかいうレベルじゃない。そっくりだ。


向こうはちーに気づいていない。まあ、1番遠いところにいるからな。

「えっと、みなさんどうしましたか?そんなに驚いた顔をされて。うちの姐の梶田美織です。みなさんに会わせるのは初めてですね。」

「梶田美織でございます。よろしくお願いいたします。」

みんな驚きを隠せない中、さすがは組長や若頭。
すぐに挨拶を再開させた。

「この度はこちらに出向いてもらってありがたい。盃の前に、お互い自己紹介といこうじゃないか。」

そうして梶田組から側近たちの名前を言い始めたんだけど、僕はそれどころじゃない。
あんな似てることあるか?

「つかぬことをお聞きしますが、美織さんはご兄弟はいますかい?」

じいちゃんナイス!


「え?私は1人っ子ですが、それが何かございましたか?」

「いえ、うちの息子の側近にあまりにも美織さんが似てたもんでね。」

「どなたですか?」

「あの奥にいる千秋ですよ。」


湊さんと美織さんの目が見開かれた。






「き、きみ、名前は?」


「牧野 千秋です。」

「た、誕生日は?いつ?年は?」

「12月1日です。今年で30歳になります。」

信じられないものを見たというような顔で千秋を見る2人。


「もしかして、お母さんの名前は牧野 由良じゃないのかい?」




千秋の顔色が悪くなった。母親のことは全てちーのトラウマだ。まずい。


「っっっっ、、そ、そうです。っっはぁはぁはぁ。」


思わず立ち上がりちーのそばに行く。


「ちー、大丈夫だから。息吸って、はいて、うん。上手。大丈夫だからね。」

少しずつ呼吸が緩やかになる。
大丈夫そうか?


「すいませんが、母親のことは聞かないでやってくれますか。」


「っっ、は、はい。っ」

ん?湊さん泣いてる?美織さんも。

なんだ。なんなんだよ。

「梶田さん、なんで千秋の母親の名前をご存知で?」

「あの、盃の前に、少し私たち夫婦の話をしてもいいでしょうか?」

「あぁ、かまわねえが、急にどうしたんだい。」

「そこにいる千秋くんに関わることかもしれないので。」

千秋に関わること?どういうことなんだよ。

横にいる千秋も困惑した顔をしている。

「ちー、大丈夫?話し聞けそう?」

「大丈夫。」

「千秋。こちらに空と来なさい。話を聞く間だけここで話を聞きなさい。」

そう言ってじいちゃんが僕たちを呼んでくれた。

向かい合って見てみるとますます似てるな。

「30年も前の話になります。」

信じられないことを話し始めた。
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