【R18】BL短編集

戌依 寝子 (旧いろあす)

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【完結】のんびり雑談【敬語S/言葉攻め】

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「こんばんは。まさとです」
いつもの時間。いつもの挨拶。
誰も居なくても喋るんだけど、ありがたいことに固定のメンバーが覗いてくれるようにはなってきた。
「あぁ、ゆきだまるさんこんばんは。いつもありがとね」
いわゆる「カワボ」カテゴリで、某配信サイトで生配信をするようになってから数カ月。毎日最低2枠は配信するようにしてるこの時間は、俺にとっても結構癒しの時間だったりする。
「今日も暑かったね。みんな大丈夫?早く涼しくなるといいんだけどね」
ゆっくりコメントが流れるのを見て目に付いたコメントを拾ったり、リスナー同士が絡んでるのを眺めるのも楽しい。
「可愛い?ありがと」
声可愛いねって?そりゃ、カワボで売ってるからね。
普段の生活ではコンプレックスだったこの声がこっちでは武器になる。最初そのことに気付いた時は衝撃だった。環境が変わったら捉え方も真逆になるんだなぁって。
「ん?オフ会?いいよ。誰か企画してよ」
よく言えばリスナー密着型、悪く言えば過疎チャンネル。クスクス笑う声も乗せたりしながら、いつも通りの配信を続けた。

「んん~」
配信が終わって大きく後ろに伸びをする。ぎこ、と椅子が鳴いて身体が傾いた。
「オフ会もやぶさかじゃないけどなぁ」
この話はちょくちょく出る。まぁ結局誰も企画なんかしないし、社交辞令みたいなもんだ。これが大手になるとあんなこと言った日には大変なことになるんだろうけど。それはそれで大変だろうな。
パソコンをシャットダウンして、配信中ほったらかしにしていた携帯をチェックする。
いつも通りあれこれの通知が並ぶ中で、1件のメッセージが目に付いた。

『オフ会しましょう。都合教えてください』

たったそれだけの簡潔なメッセージ。
送信者は…きょう?なんか見たことはあるなぁ。どんなコメントくれる人だっけな。わかんないや。
そんなことより。
「オフ会。オフ会ね。いいよ」
件のオフ会のお誘いだ。
リスナーが俺のことが気になるのと同じで、俺もリスナーのことが気になる。どんな人なんだろうって。
どうせ集まっても10人にも満たない小規模な集まりになるだろ。
ちょっと怪しいなとも思ったけど「いつでもいいよ」って返信をした。


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