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第二章
わたしの日常は非日常③
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ふぅ~っ。
私は深呼吸をして気を落ち着かせる。
「さて、お前達をここに呼んだのは、他でもない、エルの事についてだ。
お前達は、今から説明する事を聞く覚悟はあるか?」
「「「はい」」」
私が執務席から子ども達を見ると、真剣な顔つきで返事が帰って来た。
「よろしい。では説明しよう。
エルはな、この世界アクスルの創造主であらせられる、エアネスト様から託された、この世界の愛し子だ」
「愛し子…」
長男のウィルがぽつりと呟く。
どうやら、思い当たる節があるようだ。
次男のバルと長女のルイーザは茫然としている。
「お母さまは、ご存じだったのですか?」
「ええ。知っていたわ」
ルイーザが自分の隣に座る、妻に問いかけている。
「そうか、だからエルが従魔契約した時、あまり驚かなかったのか…」
「あら。わたくしだってビックリしたわよ?」
バルはどうやら、従魔契約の事で、妻が知っていた事に対して納得したようだ。
「では説明を続けるぞ──」
私はエルが誕生する前日に、妻と共に観た夢の話から話し始めた。
夢の中でエアネスト様に、愛し子であるエルを託された事。
そしてエルは争い事や面倒事が好きではなく、王族や貴族にもなるべく関わり合いになりたくないと思っている事。
真の目的は世界の愛し子を護る為で、愛し子は秘めた力を持っており、それは世界を繁栄に導くが、一歩間違えば破滅を招く事。
そして最後に心配事があり、邪神教の残党が、邪神の復活を目論んでおり、邪神教の復活に愛し子の力が狙われるかもしれない事。
私は一つひとつ、子ども達の目を見ながら説明した。
「──エアネスト様は最後にこう仰られたよ。『どうか愛し子の心も体も一切損なう事なく護っていただきたい。先程話したとおり、愛し子が健やかであれば繁栄は約束されます。しかし、愛し子が傷つけば、その力は反転し、衰退…滅びへと繋がるでしょう…。
何か特別な事をしなくてもいいのです。あなた方の子として健やかに過す。それだけでいいのです』とな。
説明は以上だ。何か質問はあるか?」
「ありません」
「オレも大丈夫だ」
「わたくしも大丈夫ですわ」
子ども達にから各々返事が帰ってくる。
「そうか。では、エアネスト様が仰られた通り、特別な事はしなくていい。エルが健やかに育てばいいんだ。まぁ、それはエルだけでなく、お前達もそうなんだがな。だから、今まで通り、エルを見守ってやって欲しい。できるか?」
「はい。わかりました。お父さま」
「おぅっ!!まかせとけっ!!」
「わたくしにも、おまかせください。お父さま」
「うむ。よろしい。まぁ、お前達にも各々思う所はあるだろう。今すぐ納得しろという訳ではない。少しずつな。
私と妻にとって、お前達も可愛い子どもだ。だから決して無茶はするな。いいな?」
「「「はい」」」
「うん。では夜も遅い。お前達も部屋に戻って休みなさい。明日からもよろしく頼むよ?」
私が微笑んでそう言うと、
「「「ではお先に失礼します。おやすみなさいませ。お父さまにお母さま」」」
と子ども達のが各自の部屋へと戻っていった。
「これで良かったでしょうか。ペルル殿…」
戻っていく子ども達を見つめながら、私はペルル殿に問う。
〔まぁ、いんじゃない?あの子達も少しずつ納得するしかないよ。
さてと。じゃあボクはエルのところに戻るね。おやすみ~〕
“きゅきゅ”っと鳴きながらペルル殿が消えた。
ペルル殿は転移もできるのか…。
ペルル殿が居た場所を見つめていると、妻が立ち上がりこちらへとやってくる。そしてわたしの手をギュッと握った。
「フィリー。大丈夫よ。あの子達ならきっと大丈夫。だって、あなたとわたくしの子だもの。きっと今日の事を乗り越えて、エルを守ってくれるわ。あなたとわたくしで子ども達を見守りましょう?ねっ?」
「そうだな…。あぁ~っ。疲れた…」
「ふふふっ。お疲れさま。フィリー」
疲れて伸びをする私に、妻が頬にキスを贈って来た。
私は深呼吸をして気を落ち着かせる。
「さて、お前達をここに呼んだのは、他でもない、エルの事についてだ。
お前達は、今から説明する事を聞く覚悟はあるか?」
「「「はい」」」
私が執務席から子ども達を見ると、真剣な顔つきで返事が帰って来た。
「よろしい。では説明しよう。
エルはな、この世界アクスルの創造主であらせられる、エアネスト様から託された、この世界の愛し子だ」
「愛し子…」
長男のウィルがぽつりと呟く。
どうやら、思い当たる節があるようだ。
次男のバルと長女のルイーザは茫然としている。
「お母さまは、ご存じだったのですか?」
「ええ。知っていたわ」
ルイーザが自分の隣に座る、妻に問いかけている。
「そうか、だからエルが従魔契約した時、あまり驚かなかったのか…」
「あら。わたくしだってビックリしたわよ?」
バルはどうやら、従魔契約の事で、妻が知っていた事に対して納得したようだ。
「では説明を続けるぞ──」
私はエルが誕生する前日に、妻と共に観た夢の話から話し始めた。
夢の中でエアネスト様に、愛し子であるエルを託された事。
そしてエルは争い事や面倒事が好きではなく、王族や貴族にもなるべく関わり合いになりたくないと思っている事。
真の目的は世界の愛し子を護る為で、愛し子は秘めた力を持っており、それは世界を繁栄に導くが、一歩間違えば破滅を招く事。
そして最後に心配事があり、邪神教の残党が、邪神の復活を目論んでおり、邪神教の復活に愛し子の力が狙われるかもしれない事。
私は一つひとつ、子ども達の目を見ながら説明した。
「──エアネスト様は最後にこう仰られたよ。『どうか愛し子の心も体も一切損なう事なく護っていただきたい。先程話したとおり、愛し子が健やかであれば繁栄は約束されます。しかし、愛し子が傷つけば、その力は反転し、衰退…滅びへと繋がるでしょう…。
何か特別な事をしなくてもいいのです。あなた方の子として健やかに過す。それだけでいいのです』とな。
説明は以上だ。何か質問はあるか?」
「ありません」
「オレも大丈夫だ」
「わたくしも大丈夫ですわ」
子ども達にから各々返事が帰ってくる。
「そうか。では、エアネスト様が仰られた通り、特別な事はしなくていい。エルが健やかに育てばいいんだ。まぁ、それはエルだけでなく、お前達もそうなんだがな。だから、今まで通り、エルを見守ってやって欲しい。できるか?」
「はい。わかりました。お父さま」
「おぅっ!!まかせとけっ!!」
「わたくしにも、おまかせください。お父さま」
「うむ。よろしい。まぁ、お前達にも各々思う所はあるだろう。今すぐ納得しろという訳ではない。少しずつな。
私と妻にとって、お前達も可愛い子どもだ。だから決して無茶はするな。いいな?」
「「「はい」」」
「うん。では夜も遅い。お前達も部屋に戻って休みなさい。明日からもよろしく頼むよ?」
私が微笑んでそう言うと、
「「「ではお先に失礼します。おやすみなさいませ。お父さまにお母さま」」」
と子ども達のが各自の部屋へと戻っていった。
「これで良かったでしょうか。ペルル殿…」
戻っていく子ども達を見つめながら、私はペルル殿に問う。
〔まぁ、いんじゃない?あの子達も少しずつ納得するしかないよ。
さてと。じゃあボクはエルのところに戻るね。おやすみ~〕
“きゅきゅ”っと鳴きながらペルル殿が消えた。
ペルル殿は転移もできるのか…。
ペルル殿が居た場所を見つめていると、妻が立ち上がりこちらへとやってくる。そしてわたしの手をギュッと握った。
「フィリー。大丈夫よ。あの子達ならきっと大丈夫。だって、あなたとわたくしの子だもの。きっと今日の事を乗り越えて、エルを守ってくれるわ。あなたとわたくしで子ども達を見守りましょう?ねっ?」
「そうだな…。あぁ~っ。疲れた…」
「ふふふっ。お疲れさま。フィリー」
疲れて伸びをする私に、妻が頬にキスを贈って来た。
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