ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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第二章 アカデミー 入学編

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 「今更だけど、良かったのか?」
 「良かったって?」
 「いや、さっきの人たち……多分まだ話があったんじゃないかと。」
 「君が面倒ごとは嫌い、なんて言ってたくせによく言うよね。いいんだよ、ああいうのは相手にしないのが一番。」

 部屋に戻ってシャワーも浴び、部屋着に着替えてリビングでくつろいでいる最中にタイチが思い出すように言った。彼自身が面倒だと言っていたくせに今更気にかけるのも見当違いな話である。リッカがバッサリと切り捨てるとタイチも納得したようにウルのブラッシングに専念し始めた。リッカも途中だったスケッチを完成させるためにもう一度筆を執る。

 『タイチよりムカついたなぁ。』
 「俺よりって……その節は本当にスミマセン……。」
 『いいのですよ。玄武ももう持ち出すんじゃありません。ですが、確かにいきなりお母様たちに突っかかるなんて命知らずもいいところです。』
 「こらこら物騒なんだから……。結局自己紹介して終わったし、まあ何か言いたいことがあるならまた何か言ってくるでしょ。」
 『今度こそ噛みついてやる。』

 カチカチと歯を鳴らしながら怒ったように振る舞う白虎をリッカは宥めるように頭を撫でた。せっかくかわいい顔をしているのに眉間に皺も寄っていて台無しであるが。
 筆を用意していた水バケツで洗い、リッカは筆を置いて”消失魔法ロストマジック”を使った。それに気づいたタイチがふと顔を上げてリッカを見る。どうやら絵が完成しているようだった。

 「もう終わったのか?早くないか?」
 「もともと途中まで終わってたしね。それに、息抜きで描いてたからしっかり細部まで書き込むってわけじゃないし。」
 「そうか……そう言えば明日からもうあるんだよな?」
 「うん?」
 「授業だよ。座学のときは依頼をこなしてもらうって言ってたけど、明日は座学と課外どっちなんだろうな?」
 「あー……どうなんだろうね?座学だった時はノアが迎えに来てくれると思うけど……」

 何分会ったのは半年前。特に詳しく約束をしたわけではないが、リッカには妙な確信があった。もしも座学だった場合はきっとノアが迎えに来る、と。できた絵を満足そうに眺めてリッカはスケッチブックを閉じるとそのままいつも使っているウエストバッグに突っ込んだ。座学に参加せずともよいと言うことは教科書類もいらないので荷物が少なく済んだのは幸いである。教科書があればそれだけウエストバッグの中身を圧迫することになるだろうからだ。

 「ま、ノアさんが迎えに来てくれるならそれはそれで安心だけどな。」
 「そうだね。……そう言えば今日突っかかってきた彼らなんだけど、テイマー科、従魔持ち専用の席のところにいたってことはテイマー科なのかな?従魔はいないみたいだったけど……」
 「従魔持ちでないならテイマー科なんじゃないか?従魔は……まだそういう授業が無かったのかもな。」
 「なるほど、そういうこともあるのか……まあ、関係ないからどうでもいいんだけど……。」
 「いや、関係あるんじゃないか?テイマー科且つ三年ってことは同じクラスかもしれない。」
 「ああーー……そっか、そうだよねぇ……面倒だな。」

 同じクラスと言うことは、また何か絡まれるかもしれないということ。何かあればまた彼らから言ってくるだろうとは言っていたが、やはり面倒ごとは避けたいのだ。いちいちアカデミーに行くたびに絡まれてしまってはたまらない。彼らの怒声と勢いを思い出してげんなりとした。

 『やっぱり噛みつく?』
 『いやここはもう張っ倒さないと気が済まないぜ。母さんを煩わせてるんだからなー。』
 「こらこらこら、勝手に攻撃をするのは許さないよ?」
 「勝手じゃなければいいのか……」
 『ではお母様に許可を取ってからにしますね。』
 「それなりの理由があればね……」

 どこか生き生きとしている神獣たちにリッカは苦笑いを浮かべている。リッカに対して害意があればその力を使うことに躊躇いがない。最近ではそれが顕著に……否、半年前ほどから顕著に表れ始めたのである。どこで育て方を間違えたのかとリッカは首を傾げているが、そもそも原因はリッカである。リッカの純粋な神獣たちへの想いがそうさせているのである。封印の呪の影響で余計にその想いが伝わるのだ。皆、リッカに想いを返したいのであう。簡単に言うならば両想いと言うやつである。何か違うが。

 「あーもー考えるのやめ!その時々で対処すればいいでしょ。」
 「……面倒くさくなったな?」
 「最初から面倒ですー!はーあ、もう寝よ……明日って早いんでしょ?」
 「それなりにな。フィラノにいたときとあまり変わらないだろうが。」
 「了解。それじゃ、おやすみ。」
 「ああ、って……早いな……。」

 驚くほどのスピードで布団に入り眠り始めてしまったリッカにタイチは呆れたように息をつく。神獣たちも同じように布団に入ってしまっていて言葉を交わすことは叶わない。タイチは小さくため息をついて部屋の明かりを落とすとそのままリッカの部屋を後にした。

 「おやすみ。」

 そんなタイチの声に返事をしたのは彼の隣にいるウルだけである。



 
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