ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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依頼消化編

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 「よし、じゃあこれが保護してほしい従魔たちのリストなんだが……」
 
 そう言って資料の束の下から一枚の紙を引き抜き、ノアへ渡す。ノアはその紙をひと時眺めると、驚きを隠せない様子でグランに視線を移した。どういうことだ、と視線が語っている。そんなノアを見てどんな魔獣の名が乗っているのだとリッカはノアの手からテーブルに置かれた紙を覗き込んだ。

 「へっ?」

 こぼれたのは驚きの声。そこに記されていたのは、リッカですら予想できていなかった魔獣の名が乗っていたのだ。タイチもそんなリッカを見て、自分も続くように紙を覗き込んでいる。しかしタイチはそこに記されてる名にあまり覚えがないのか首を傾げてしまうだけだった。

 「浮蛇フロートコブラ?」
 「あれ?タイチ知らないっけ?」
 「いや……名前自体は分かるが、姿が……、」
 「タイチも絶対見たことあるよ。ほら、裏庭の森の中にたまにふわふわ浮いてる蛇がいたでしょ?それ。」
 「あの小さい蛇か!?」
 「そ、あれあれ。まあ、結構珍しいし、姿だってあんまり見れないからな名前と姿が一致してなくてもしょうがないけどね。」

 浮蛇フロートコブラはその名の通り浮いている蛇の魔獣のことを言うのだが、そのサイズは普通の蛇よりも何倍も小さい。リッカの手のひらよりも小さい浮蛇フロートコブラは数も少なければ分布している場所が限られているため見つけることは困難とされている。いや、そのサイズから見つけることはほぼ不可能と言ってもいいだろう。幻獣でも神獣でも聖獣でも何でもないが、タイチの従魔であるローリアのように、いや、それ以上に本当に珍しい魔獣なのである。
 また、仮に見つけられたとしてもなかなか気難しい性格をしているので従魔にするのは本当に難しいのだ。だからこそノアもリッカも驚いたのだ。しかしそんな浮蛇フロートコブラだが、リッカのテリトリーである家の裏庭には稀に出現していた。もちろん長く一緒にいるタイチだってそれを目撃している。が、上手く名前と姿が一致していなかったのである。

 「……ちょっと待って。」
 「何、ノア。」
 「リッカくんたちの話を聞くに、リッカくんとタイチくんは少なからずも浮蛇フロートコブラと遭遇したことがあるってこと?」
 「そうだね。僕の家の裏庭が森になってるんだけど、そこにたまに来てくれてたんだよ。ほんとにたまに見かけるってレベルだからそこまで仲が良かったわけではないけど……。」
 「いや、それでもすごいことなんだけど……!?」

 信じられないと両手で顔を覆うが、すぐにノアは大きなため息をついて手を離した。そう、常識が通じないのがリッカである。もはやこんなことで驚いていてもしょうがないのだ。諦めの混じった表情をしたノアを見て、ようやくリッカ達が言ったことに理解が追いついたのか、グランは目を見開き、小さく言葉を零す。

 「……浮蛇フロートコブラと遭遇したことがある、と言ったのかリッカたちは。」
 「そうですよ、ギルマス。まあでも、こんなことでいちいち驚いていても仕方がないですよ、何せリッカくんたちですから……。」
 「そ、そうか……、それは、リッカの連れている従魔が神獣やら聖獣やらであるということに関係が?」
 「あれ、気づいてたんですね、グランさん。」

 考え込むように、言っていいものなのかと悩んだ風に言われたそれに、リッカはあっけらかんと返した。確かに以前はノアにバレたりカガチにバレたりで精神が不安定になってしまったこともあったが、もうそんなことはないのだ。封印の呪はあくまで保険。絶対にバレてはいけないというわけではないし、グランはギルドマスターであるため、リッカにとって、自分に悪意を持つ者ではないのだ。それに、ギルドマスターであるということは相当な実力を兼ね備えているということと同義であり、気づかれてもしょうがないのである。
 むしろ神獣たちが話しているところに居合わせていれば声まで丸聞こえだっただろう。

 「まあ、な。気配が普通の従魔とは違うし、前に遭遇したことある神獣と雰囲気が似ている。」
 「グランさんはなんにでも出会ったことがあるんですね。経験豊富だ。」
 「それもそうだろう。俺はもう五十年は生きている。お前たちよりも長生きしているからな。……それはそうと、浮蛇フロートコブラの保護は頼めるか?」
 「それはもちろん。いいよね、ノア、タイチ。」
 「まあ、リッカくんがいいって言うんなら大丈夫なんじゃないかな……。」
 「俺もノアに同感だ。」
 「そう言うことなんで、大丈夫でーす。」

 リッカの答えにグランはほっと息をつき、助かる、と言葉を返した。曰く、その浮蛇フロートコブラだけが妙に難易度が高く、本当に誰も受けてくれないとのこと。グラン自身も探してみたらしいのだが、そう簡単に見つかるはずもなく一週間捜索して断念したそうだ。
 それじゃあこれで、とノアとタイチが腰を上げたのだが、リッカは腰を上げずにグランへ問いかける。

 「ん、待って、捕まえたらいつもどうやって連れてきてるんです?」
 「いつもは魔法で眠らせてケースに入れてギルドに戻ってくるんだが……そこはお前らに任せる。」
 「はーい。」
 「頼むぞ、ノア、リッカ、タイチ。」

 グランがしっかり目を合わせて言う。それぞれ頷くと、ノアはリッカとタイチへ声をかけた。

 「よし、じゃあ行こっか!」
 「ああ。行くぞ、リッカ。」
 「ん、また後で、グランさん。」

 タイチがリッカへそう声をかけると、リッカは軽く返事をして席を立った。

 

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