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第二話 男装の令嬢は聖女を守りたい
01-3.
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……シリルはなにかするだろうと思っていましたが、ディーンもするつもりだとは思いもしませんでしたわ。
幼馴染のシリルは感情的に振る舞うことがある。
なにかと言い争いをすることが多い相手ではあるものの、それはシリルがアデラインに好意を抱いているからこその進言であるのはアデラインも気づいていた。
シリルの恋は叶わない。
それでも、婚約者に蔑ろにされているアデラインを放っておけなかった。
婚約が白紙に戻ればいいとシリルは何度も口にしていた。その言葉を聞くたびにアデラインと喧嘩になるのだが、それでも、想いを心に留めておけなかったのだろう。
「お伝えいたします。しかし、お嬢様は望まないと思いますよ」
アデラインの言葉に対し、ディーンはわかっているというかのように頷いた。
「そうだろうな」
ディーンは声に出して肯定する。
「だが、アデラインのことなんか知ったことじゃねえんだよ」
ディーンはアデラインの恋心を知っている。
それが叶ったからといって、素直に喜んであげられないのは、メルヴィンの言動を知っているからだった。
「一回のデートですべてが帳消しになったと思い込んでいやがる騎士団長が許せねえだけだから。これは俺の問題な。それでも、一応、アデラインに伝えといてやらねえとかわいそうだろ?」
「……かしこまりました。そのようにお嬢様にお伝えいたしましょう」
アデラインは不服ではあったものの、ディーンの言葉を否定しなかった。
……メルヴィン様の今までの行いが許されないのはわかっています。
本人同士が許し合っていたとしても関係はない。
社交界で流れた悪質な噂は簡単には消えない。急接近をしていたのならば、それまでの噂が綺麗になくなるというわけではない。
……なにかしらの手を打たなければなりませんね。
メルヴィンはそのことに気づいていない。
非情なまでに無関心だった。
「悪いな。討伐任務のせいで会いに行く時間がなくてな」
「いえ。緊急事態ですので、お嬢様もご理解していただけると思います」
「バカだな。理解したふりなんじゃねえの」
ディーンは第二騎士団として討伐任務に参加をする。
しかし、辞退をしようとしていたのはアデラインも知っている。
幼馴染のシリルは感情的に振る舞うことがある。
なにかと言い争いをすることが多い相手ではあるものの、それはシリルがアデラインに好意を抱いているからこその進言であるのはアデラインも気づいていた。
シリルの恋は叶わない。
それでも、婚約者に蔑ろにされているアデラインを放っておけなかった。
婚約が白紙に戻ればいいとシリルは何度も口にしていた。その言葉を聞くたびにアデラインと喧嘩になるのだが、それでも、想いを心に留めておけなかったのだろう。
「お伝えいたします。しかし、お嬢様は望まないと思いますよ」
アデラインの言葉に対し、ディーンはわかっているというかのように頷いた。
「そうだろうな」
ディーンは声に出して肯定する。
「だが、アデラインのことなんか知ったことじゃねえんだよ」
ディーンはアデラインの恋心を知っている。
それが叶ったからといって、素直に喜んであげられないのは、メルヴィンの言動を知っているからだった。
「一回のデートですべてが帳消しになったと思い込んでいやがる騎士団長が許せねえだけだから。これは俺の問題な。それでも、一応、アデラインに伝えといてやらねえとかわいそうだろ?」
「……かしこまりました。そのようにお嬢様にお伝えいたしましょう」
アデラインは不服ではあったものの、ディーンの言葉を否定しなかった。
……メルヴィン様の今までの行いが許されないのはわかっています。
本人同士が許し合っていたとしても関係はない。
社交界で流れた悪質な噂は簡単には消えない。急接近をしていたのならば、それまでの噂が綺麗になくなるというわけではない。
……なにかしらの手を打たなければなりませんね。
メルヴィンはそのことに気づいていない。
非情なまでに無関心だった。
「悪いな。討伐任務のせいで会いに行く時間がなくてな」
「いえ。緊急事態ですので、お嬢様もご理解していただけると思います」
「バカだな。理解したふりなんじゃねえの」
ディーンは第二騎士団として討伐任務に参加をする。
しかし、辞退をしようとしていたのはアデラインも知っている。
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