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第1話 10歳の悪役令息、幼馴染の秘密を知る
02-13.
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「俺はルシアンと結婚したい」
セシルは、もう一度、訴えた。
その必死な声はアリシアの耳にも届いたようだ。
「本気でおっしゃっていますの? セシル。お母様と離れ離れになってしまうのですよ?」
「本気だよ。お父様やお母様、お兄様たちと離れたくないけど。でも、俺じゃない人がルシアンと結婚するのは、もっと嫌だ」
「まあ、そうなのですの。……セシル。あれはセシルには似合わないでしょう? セシルが気に入っていたからお茶会にも招きましたが、こうなるのならば、そのようなことをせずに見守っていればよかったですわ」
アリシアはセシルの言葉を否定する。
代々国境を守っている貴族とはいえ、首都付近に領地を与えられている身分の高い貴族たちからすれば、辺境の者として見下す傾向が強い。
「ごめんなさいね、セシル。お母様の考えが甘かったわ」
アリシアもその一人だった。
宰相であるデズモンドが気にかけているロザリア王国による侵攻を食い止める防御壁として、ハヴィランド辺境伯爵家の者たちを対等であるかのように接してはいるものの、内心ではかなり下に見ていたようだ。
「お母様」
セシルは困ったような顔を浮かべながら、アリシアを呼ぶ。
アリシアがセシルを心配しているのはわかっている。
しかし、辺境の生まれというだけでルシアンを見下ろした言葉を聞くのは、心が痛くなる。
「心配はいらないよ。だって、俺、お母様たちの子どもだからさ」
セシルの言葉を聞き、アリシアは瞬きをした。
突拍子もない言葉を聞き、セシルがなにを言いたいのか、すぐにわからなかったのだろう。
「お母様によく似てるから、俺、強いんだ」
セシルはアリシアを安心させたかった。
辺境の地でも元気に過ごしていられると信じてほしかった。
「そうですわね。わたくしに似ておりますもの」
アリシアは困ったように笑う。
セシルがルシアンとの婚約を嫌がらないと、ようやく理解をしたのか。
もしかしたら、無理に婚約を白紙に戻そうとすれば、セシルを悲しませるだけだと考え直したのかもしれない。
セシルは、もう一度、訴えた。
その必死な声はアリシアの耳にも届いたようだ。
「本気でおっしゃっていますの? セシル。お母様と離れ離れになってしまうのですよ?」
「本気だよ。お父様やお母様、お兄様たちと離れたくないけど。でも、俺じゃない人がルシアンと結婚するのは、もっと嫌だ」
「まあ、そうなのですの。……セシル。あれはセシルには似合わないでしょう? セシルが気に入っていたからお茶会にも招きましたが、こうなるのならば、そのようなことをせずに見守っていればよかったですわ」
アリシアはセシルの言葉を否定する。
代々国境を守っている貴族とはいえ、首都付近に領地を与えられている身分の高い貴族たちからすれば、辺境の者として見下す傾向が強い。
「ごめんなさいね、セシル。お母様の考えが甘かったわ」
アリシアもその一人だった。
宰相であるデズモンドが気にかけているロザリア王国による侵攻を食い止める防御壁として、ハヴィランド辺境伯爵家の者たちを対等であるかのように接してはいるものの、内心ではかなり下に見ていたようだ。
「お母様」
セシルは困ったような顔を浮かべながら、アリシアを呼ぶ。
アリシアがセシルを心配しているのはわかっている。
しかし、辺境の生まれというだけでルシアンを見下ろした言葉を聞くのは、心が痛くなる。
「心配はいらないよ。だって、俺、お母様たちの子どもだからさ」
セシルの言葉を聞き、アリシアは瞬きをした。
突拍子もない言葉を聞き、セシルがなにを言いたいのか、すぐにわからなかったのだろう。
「お母様によく似てるから、俺、強いんだ」
セシルはアリシアを安心させたかった。
辺境の地でも元気に過ごしていられると信じてほしかった。
「そうですわね。わたくしに似ておりますもの」
アリシアは困ったように笑う。
セシルがルシアンとの婚約を嫌がらないと、ようやく理解をしたのか。
もしかしたら、無理に婚約を白紙に戻そうとすれば、セシルを悲しませるだけだと考え直したのかもしれない。
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