センパイ番外編 

ジャム

文字の大きさ
上 下
34 / 34
ワタナギ

ワタxナギ なんちゃってオメガバース③

しおりを挟む

この強情っ張り・・・!

オレの匂いを嗅いで、ガッチガチに勃起してるクセに、凪は自分の本能にも抗おうとしている。

綿貫は、一瞬考えた。
激情のままに凪を滅茶苦茶に犯して、快楽漬けにして籠絡させようかとも思ったが、どうせなら、抗えない現実を突き付けてやる方が、諦めがつくだろうと悟る。
凪を取り押さえていた足を放してやり、綿貫はおもむろにベルトを弛めると、前を開いた。
下着も引き下ろし、自分の状態を凪の眼前に見せつけてやる。
その凪の目が、1mmも逸らされず、自分の欲棒にヒタと注がれているのを見て、思わず綿貫は口元が弛みそうになった。
足が解放されいつでも逃げる事が出来るだろうに、凪は壁に凭れたまま、身動き一つ出来ず、綿貫の精気に満ち溢れた充溢に一心に視線を注いでいる。
その姿は、呼吸をするのも忘れてしまったように固まっていて、目を開けたまま失神しているのかと心配になった程だ。
「なあ、凪・・・欲しいよな?」
綿貫に聞かれて、思わず顔を上げてしまった凪は、下唇を噛んで悔しそうな顔をする。
その表情は素直過ぎる程素直で、今すぐにも頷きたいのを必死に堪えているような表情だった。
自分の下腹を掌で押え、その手が小刻みに震えている。
上気した顔は、一層目を潤ませて、今にも雫が零れ落ちそうだ。
『お預け』を食らった犬のように、凪の喉がゴクリと鳴る。
綿貫はそんな凪の顔を観察しながら、自分の屹立を軽く握り、見せつけるように根元から先端まで手を動かした。
キュッと先端付近で握る手に力を込める。
真っ赤に充血したカリ首が更に艶を帯びて張り詰め、蜜口には透明に光る膜が張った。
それを見た凪が、綿貫の雄に目を釘付けにしながら膝を折る。
ゆっくりと壁伝いに背中を擦って、凪の体が床へと落ちていく。ついにぺたりと床に尻が付いた瞬間、脊髄反射を起こしたように凪の体がビクッと跳ねた。
力無くへたり込んだ凪の視線は、今度こそまともに綿貫の怒張を目の前にする。
強烈なαの雄の匂いに刺激され、凪はハフハフと口を喘がせ、頭を強く振ると、涙目で綿貫の顔を見上げた。
「ひ、避妊してくんなきゃ、ヤだ・・っ」
その台詞に、綿貫は驚いた。
避妊、つまり凪は自分が妊娠するという事を知っていたのだ。
なぜ、その事を凪が知っているのか。
Ωの情報はαに限ってだけ知らされているが、一般の人間、特にΩ自身には絶対に知られないよう、配慮がされている。
それらは、Ω自身の精神衛生上の問題と、倫理、世の中の混乱を避けるために必要な配慮だ。
自分と凪の関係を知っていて、そんな事を注意する人間は1人しか思い当たらなかった。

あのド鬼畜、余計な事を・・・

内心、綿貫は舌打ちしたが、とりあえずは凪の不安を取り除いてやる事にする。
「わかった。中で出さなきゃいいんだろ?」
凪の頭を撫でて、譲歩するが、凪は首を横に振る。
「そう言って、センパイ、中に出しちゃうだろ・・!?いつも、いつも、中で出しちゃうじゃんか・・!」
凪が怒るのも疑うのも、尤もだった。
綿貫は初めの時から、外で出した事がない。
全部、凪の中で出していたし、そのまま抜かずに続ける。
そんな凪が、綿貫に妊娠させられる・・!と、怯えるのも仕方がない。
「待て。あのな、オレはお前を妊娠させたくて、中出ししてたんじゃない。お前は、ほっとくとイイニオイが出るだろ?だから、その匂いを消すために、オレの匂いで上書きしてたんだ。でも、中出しイヤだって言うなら、とりあえず、一回飲め。そしたら、後は絶対中に出さないようにヤルから・・」
苦肉の策を講じた綿貫に、凪が「ムリ」と再び首を振る。
その泣きそうな凪の顔に、綿貫の我慢も限界を超える。
「ムリじゃねえ。飲め」
「ヤダ・・っこんな大っきいの口に入るか!?ムリ!顎、外れる!」
「バカ。全部咥えろなんて言ってねえだろ」
「そんな事言って、しゃぶらせたら、絶対グイグイやる気だろ!?」
「そんな事・・・しねえ」
「何だよ!今の間は・・っ絶対ヤル・・ムリ、オレ、ムリ!口でアンタをイカせるなんて絶対ムリ・・!」
断固拒否する凪に、綿貫は痺れを切らし、無理やりにでも咥えさせようと、凪の頭を掴んで固定した。
「ヤダ、やだああ・・!!」
大声で泣き叫ぶ凪に、綿貫は慌てて凪の口を手で塞いだ。
「お前な・・!」
誰か来たらどうすんだ・・!
そう叱りつけるつもりが、エグエグと咽び泣く凪の可愛さに絆され、言葉が続かない。
仕方無く、目を真っ赤に潤ませる恋人の身体を腕に抱き締め、綿貫はその背をあやすように摩った。
「泣くなって・・な?飲まなくてもいいから・・な?」
そう言うと、凪が「ほんと?」と綿貫の肩で呟く。
「ホント」
綿貫の声に、今まで張り詰めていた緊張の糸が切れたように凪の全身から力が抜けた。
それから凪は首を起こし、綿貫の目を見つめると、か細く震える声で綿貫に訴えた。
「じゃあ、コレ、やって・・、中で、ヤって・・」
一瞬、自分の耳を疑った綿貫だったが、凪の手にそっとソコを掴まれ、もそもそと片手でズボンを脱いで下肢を露わにする凪に、頭の中が沸騰した。
まだ解してもない。
いや、触れてもいない。
その凪の尻の狭間にある蕾が、綿貫の眼下で真っ赤に熟れて開いている。
身体はこんなに従順にαの匂いに従っているのに、コイツはこうなるまで意地張って堪えてたって事か・・!?
その意志の強さに、綿貫も驚いた。
「わかった・・中出ししない。こんなんなるまで我慢させてゴメンな・・?」
そっと凪の蕾に手を伸ばし、挿入しても大丈夫か具合を確かめるため、指を中に入れる。
「あ・・アアッ」
酷く柔らかくて、熱い粘膜が、綿貫の指をねっとりと包んだ。
その感触に、凪はビクビクと身体を奮わせ、身を竦める。
凪の呼吸は自然と荒くなり、上気した頬はピンクに染まって、重い瞼の下からは濡れた目が綿貫をジッと見つめていた。
「センパイ・・オレ、もう、ダメ・・身体が、変・・」

綿貫といると、自分がおかしくなる。

もう、ずっとこうなんだ。
だから、二人っきりになるのは怖い。
自分の身体が変で、綿貫とする事しか考えられなくなる。
そう、ここが何処だろうと構わない。
真っ昼間の明るい教室の中でも、制服が誇り塗れになっても、もし誰かに見られるかも知れなくっても、もう関係ない。
綿貫と?壓がる事以外、考えられなくなる。
「センパイ・・センパイ・・っアアアッ」
「煽り過ぎだっつーの・・バカ・・ッ」
気付けば、綿貫の雄が凪の緋肉の中へと潜り込み、そのまま一気に最奥を貫いた。
それと同時に、凪が達する。
真っ白に噴き上げた粘液が凪のYシャツの胸元に飛び散った。
「バカ・・、それ、もう着れねえぞ」
言いながら、1秒も動かずに居られないと、綿貫が動き出す。
「こんな匂いさせて、教室戻ったら・・」
輪姦されるーーーー。

冗談じゃない。
そんな事は絶対に許さない・・!

綿貫は凪の腰を掴むと、深く大きく抉るように中を突き上げた。
その突き上げ毎に、凪の全身がたわむ。
最奥を突かれれば、弓のように撓り、小刻みに全身が戦慄く。

これはオレのものだ。
誰にも渡さない、触れさせない。

深く、早く、絡みつく凪の緋肉の中を繰り返し何度も貫いた。
ガクガクと凪の身体が揺れ、堪え切れない先走りが、銀の糸のように腹に伝う。
絶頂が近づき、凪の肉襞が淫らに収縮する。
引き抜く力を奪われそうな程の愉悦と、緋肉の中を擦り上げる快感に、骨の随までモッテイカレル。

ヤバい・・出る。
このまま、中でイキたくなる・・

一瞬、躊躇った。
が、それは一瞬だけだった。
体重を掛けて、深く深く、根元まで凪の中に喰い込ませる。
途端に、凪の目が見開かれ、甲高い嬌声が室内に響いた。
心臓が脈打つような強さで、綿貫の欲棒が凪の中で爆ぜる。
「ア、ア、ア・・・センパイ、ダメ・・ッダメえ・・っ」
そう言っても、手遅れだった。
どんなに嫌だと喚いても、自分の体内で躍動する男根を止められる筈がない。
綿貫の精を、きっちり最後の一滴まで受け止めて、凪は目の奥が熱くなった。
「バカ、綿貫のバカぁ・・許さない、アホ、この絶倫、チンポヤロー・・ッ」
泣きながら、子どものように悪態を吐く可愛い恋人の唇に、綿貫はキスをする。
「しょうがねえだろ。お前の足が、オレの腰に絡んで抑え付けてたんだから」
言われて見れば、密着した結合部分を真ん中に挟んで、自分の足が綿貫の身体を股の間に閉じ込めるように左右の足を絡ませていた。
「な?お前が放さなかったんだろ?」
そう嬉しそうに自分の上で微笑む綿貫に、凪は蒼白になった。
「オレ・・妊娠しちゃう、かも・・」
「そうだな。もういっそ、結婚するか」
満面の笑みで凪に頬擦りをする男の爆弾発言に、凪の思考が停止する。
「あの、結婚の前に・・・避妊しようって気持ちはねえのかよ・・」
「あ・・!ああ、そっか。避妊な、避妊・・うーん、結婚のが早くねえ?」
全然早くない。
そう怒りたかったが、あんまり綿貫が嬉しそうな顔をして笑っているから、こっちが恥ずかしくなって怒る気もなくなる。
「オレ・・、オレ・・、いつか絶対、結婚するからっちゃんと、センパイの赤ちゃんも産むから・・高校は、卒業させて下さいっ・・ダメ・・?」
思っても見ない凪からの求愛を受けて、綿貫は放心状態になる。
オレと凪の赤ちゃん。
その言葉の激しさに、顔が熱くなる。
頭の中は、凪との新婚生活風景で埋め尽くされ、切実な凪の訴えに、綿貫は返す言葉も思いつかない。
「センパイ・・聞いてる?」
「え!・・そうだな~・・」
言いながら、凪の胸の上に顔を乗せ、手持ち無沙汰に凪の乳首を弄り出した。
「ちょ、そこ、触んな・・!」
綿貫の手を抑えようと伸びて来る凪の手を、綿貫は逆に掴まえる。
そのまま、舌を伸ばして凪の胸の粒を嘗め回した。
「ッアッアアッ・・ダメって!言ってんのに・・!」
「よし。じゃあ、口で飲めたら、避妊する。・・けど、危ない日だけな。毎日検温して基礎体温計れば、安全日わかるし、その方が避妊もしやすいだろ?」
綿貫の提案に、凪は唖然とした。
「アンタ・・どんだけ妊娠について調べてんだよ・・!?基礎体温とか、安全日とか、知識ありすぎだろっ」
「そりゃ、妊娠させる気でヤってるし」
つい本音が出てしまった綿貫に、凪の悪い足癖が出る。
綿貫の腰に絡ませていた足を、自分の方へ勢い良く踵を引き、綿貫の尻を蹴ったのだが、?壓げたままだった体に、受けた衝撃はモロに自分に還って来た。
「・・・ア、アアっっッ」
「お前、バカだろ・・」
今の一撃で、より深く綿貫の剛欲を自分の体内に押し込んでしまい、絶頂を超えて敏感になっている肉襞を抉られ、身震いする凪に綿貫は笑った。
「ちゃんと嫁に来いよ・・」
そう囁き、涙目になる凪の唇に熱く蕩けるようなキスをする。
返事を返したくても、綿貫のキスがどんどん深くなって、自分の中にあるイチモツが硬くなって、どうしようもない衝動が凪の中でどんどん生まれてーーー結局、凪が出来る事と言ったら、綿貫の体に四肢を絡めて抱きつくくらいしかなかった。
「動くぞ」
そう宣言する男に、凪は翻弄された。



世の中は、色とりどりの愛に溢れ、彼らは想い人のために、時に苦悩し、時に胸一杯の愛を紡ぐ。
その方法は様々で、そっと真綿で包むような愛だったり、深く優しく慈しむものや、一度火が点けば手がつけられないような凶暴な愛し方だったりする。
けれど、どんな愛し方が間違いで、どんな愛し方が正解かなんて、誰にもわからない。
わからないから、二人でその答えを出す。
誰にも真似出来ない、二人だけの愛し方がある。
二人一緒なら、αとしてとか、Ωである事とか、この先に、何が起きてもきっと恐くない。
決められた枠の中でも、フィールドの中なら、綿貫は無敵だ。
凪はパートナーとして、その綿貫の隣に立つ事が出来る。
超絶にオレ様で、我が侭で、貪欲で、性欲にはとことん忠実でドスケベな男だが、綿貫は凪の憧れのセンパイ。
その男が自分を求め、骨までむしゃぶり齧りついてくる様は、凪の理性を軽く崩壊させ、箍の外れた身体は、綿貫が求めるだけそれを甘受した。
腕を回した広い背中は、分厚く筋肉質。
綿貫の腕も腹筋も、太腿もふくらはぎも、全てが凪のものと一回り近く違う。
信じられない・・何この体・・。
高校生らしからぬ体躯に伸し掛かれられ、自分との違いを実感するだけでも、凪の気持ちは内心、舞い上がった。
そんな所に萌える自分を凪は『オレってバカじゃねえの・・』と諫めてはいるが、綿貫に強く激しく求められれば、どうしても嬉しさの方が勝ってしまう。
抵抗するのがバカバカしくなり、最後には白旗を上げて、グズグズのトロトロになる。

もう、好きにして・・、アンタの好きなだけ、やるよ。
猛獣使いのつもりが、服を脱いだら自分も猛獣だっただけの話。


そう思っていた矢先の、妊娠の可能性ーーー
いくら憧れの人、大好きな人とするセックスでも、妊娠するかも知れないと言われれば、また話は違ってくる。

「ちょ、待った!待った・・!出すな!中で出すなーーーッッゴムしろって!!」
「あー?・・今、ムリ・・明日な、明日・・っ」
「あ、ちょ、もうっ絶対避妊する気ないじゃんか・・!受精したら、どうすんだよ・・っ!!」
「ッ・・、凪、凪・・っっ」
「ア~~~~~ッ出てる!やっぱ、出しちゃっ・・・アアッあ、あ、・・ッ」



こうしてーーー
出すか、出さないか、の主導権争いは二人の間でこれからも続いていく事になるだろう。



「明日は、絶対ゴムさせるからなっ!」
「ん・・ああ、明日な、明日」(やる気無し。そして抜かずにスタンバイする綿貫だった)




終。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ニコニココラム「R(リターンズ)」 稀世の「旅」、「趣味」、「世の中のよろず事件」への独り言

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:425pt お気に入り:28

俺なんかに目をつけられた可哀想な不良

BL / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:152

[R18]空き缶太郎のBL短編集 1冊目

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:412

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:46,499pt お気に入り:35,276

【完結】優しくしないで

BL / 完結 24h.ポイント:276pt お気に入り:1,432

落ちこぼれ治癒聖女は幼なじみの騎士団長に秘湯で溺愛される

恋愛 / 完結 24h.ポイント:560pt お気に入り:616

処理中です...