14 / 17
7.一年十二月十八日 AB ②
しおりを挟む
清水莉子は走る。廊下を走る。そして、自分の教室ではなく、階段を登り、屋上へと出た。
十二月の空は、ドンヨリとしていた。粉雪が待っていた。
頬に、肩に、粉雪は一瞬つもり、そして消えていく。
屋上を強い風が吹き抜けた。
待っていた粉雪を攫っていった。
清水莉子は、屋上を歩き、手すりを握る。金属製の手すりは冷たく氷のようだった。そこからは野球グラウンドが見えた。フェンスも見える。そして、マウンドも見える。
清水莉子の想い人は、 山崎美津子であった。そして、それは清水莉子の親友であった。
「どうしようもないじゃない」と莉子は屋上から叫んだ。相田健太がいつも放課後にいるマウンドに向かって。粉雪と同様に、その言葉は風に消えていった。野球グラウンドに舞い散ったのかも知れない。
相田健太は異性として好きだ。これは間違いない。
山崎美津子は親友で、好きだ。これも間違いない。
そして、相田君が……ミツ……を好きになるもの、分かる。相田君も、ミツも恨めない。憎しみの矛先を向けるなら、美津子を彼氏がいないまま放っておいたクラスの男子かもしれない。
「どうしようもないじゃない」
清水莉子は、もう一度叫んだ。
恋心が、臼にかけられ、粉雪になって風に散っていくようだった。
十二月の空は、ドンヨリとしていた。粉雪が待っていた。
頬に、肩に、粉雪は一瞬つもり、そして消えていく。
屋上を強い風が吹き抜けた。
待っていた粉雪を攫っていった。
清水莉子は、屋上を歩き、手すりを握る。金属製の手すりは冷たく氷のようだった。そこからは野球グラウンドが見えた。フェンスも見える。そして、マウンドも見える。
清水莉子の想い人は、 山崎美津子であった。そして、それは清水莉子の親友であった。
「どうしようもないじゃない」と莉子は屋上から叫んだ。相田健太がいつも放課後にいるマウンドに向かって。粉雪と同様に、その言葉は風に消えていった。野球グラウンドに舞い散ったのかも知れない。
相田健太は異性として好きだ。これは間違いない。
山崎美津子は親友で、好きだ。これも間違いない。
そして、相田君が……ミツ……を好きになるもの、分かる。相田君も、ミツも恨めない。憎しみの矛先を向けるなら、美津子を彼氏がいないまま放っておいたクラスの男子かもしれない。
「どうしようもないじゃない」
清水莉子は、もう一度叫んだ。
恋心が、臼にかけられ、粉雪になって風に散っていくようだった。
0
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる