たとえそれが、片思いであったとしても

池田 瑛

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7.一年十二月十八日 AB  ②

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 清水莉子は走る。廊下を走る。そして、自分の教室ではなく、階段を登り、屋上へと出た。

 十二月の空は、ドンヨリとしていた。粉雪が待っていた。

 頬に、肩に、粉雪は一瞬つもり、そして消えていく。

 屋上を強い風が吹き抜けた。

 待っていた粉雪を攫っていった。

 清水莉子は、屋上を歩き、手すりを握る。金属製の手すりは冷たく氷のようだった。そこからは野球グラウンドが見えた。フェンスも見える。そして、マウンドも見える。

 清水莉子の想い人は、 山崎美津子であった。そして、それは清水莉子の親友であった。

「どうしようもないじゃない」と莉子は屋上から叫んだ。相田健太がいつも放課後にいるマウンドに向かって。粉雪と同様に、その言葉は風に消えていった。野球グラウンドに舞い散ったのかも知れない。

 相田健太は異性として好きだ。これは間違いない。

 山崎美津子は親友で、好きだ。これも間違いない。

 そして、相田君が……ミツ……を好きになるもの、分かる。相田君も、ミツも恨めない。憎しみの矛先を向けるなら、美津子を彼氏がいないまま放っておいたクラスの男子かもしれない。

「どうしようもないじゃない」

 清水莉子は、もう一度叫んだ。

 恋心が、臼にかけられ、粉雪になって風に散っていくようだった。
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