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第1章 古代の魔法使い
王族来村
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診療所を出てロデリック村長の家に向かったクラウド達。入り口でエドの妻ミーアが出迎えてくれた。
そのまま中に案内され居間の扉が開けられる。その中に居たのはバダックとその妻エリス、執事のコーラン、家宰のバート、メイド長のドミニカと見知った面々の他にあと1人。
サラサラの金髪はふんわりと緩くカーブしながら腰まで届いている。年の頃は10歳くらいだろうか。幼い顔で非常に愛らしい。人見知りをするようでクラウド達を見てモジモジしている。
「やあクラウド殿。といってもほんの2週間ぶりだが。」
クラウド達が入って来たのを見てバダックが声をかけてきた。
「全くだ。随分と暇があるんだな領主って仕事は。」
笑いながらクラウドがバダックをからかうが、それを聞いて驚いているのはマーサ達トント村の面々である。
「ちょ、ちょっと、クラウド!」
タニアが慌ててクラウドを見るが、それを聞いても言われた当人は涼しい顔をしている。
「ははは、構わないんだよ。貴女がタニアさんかい?直接会って礼を言いたかったんだ。嫌がるクラウド殿をミルトアに行くよう説得してくれたと聞いている。本当にありがとう。」
領主から名を呼ばれるとは思って無かったタニアが驚いて返事を噛む。
「ふわっ!?ふわい!」
ぷっと吹き出したのはルークであった。
「お姉ちゃん、ふわいだって!」
そう言いながらケタケタ笑っている。
「バ、バダック様?」
状況が理解出来なかったロデリックがバダックに声をかけた。
「ふふ、すまんすまん。驚かす気は無かったんだがな。でもまぁ、見ての通りだ。エリスを助けてくれた2人は私の大恩人。領主では無く友人として付き合ってもらっているんだ。」
「こっちがマーサさん、ルークとタニアの婆ちゃんさ。俺が頭が上がらない、怖いお人だ。」
「はっはっは!クラウド殿が頭が上がらないとはな!」
「こんな場で何言ってんだい。」
マーサ婆さんが呆れている。
「それでこちらの方が?」
怒られない内にとクラウドはさっさと話しを変えた。
「ああ、リリー殿下だ。」
バダックが少女を紹介する。皆の視線を向けられた少女はビクッとした後小さな声で話しだした。
「わ、私リリー。」
それを聞いたルーク達。バダックとのやり取りで呆気に取られていたため殿下が来たという話しを忘れていたようだ。
「わ、わっ!」
皆が急いで床に跪(ひざまず)こうとするがそれを止めたのはリリー本人であった。
「ん、と、しないで。」
「あぁ、皆そのままで大丈夫だよ。」
言葉足らずなリリーの後をバダックが補足する。
リリー殿下は人見知りであり、また王族として特別扱いされることを嫌うと説明したのだが、それがかつて王族であるため交渉材料にしようとしたもの達により誘拐されかけたことが原因であることをバダックは知らない。
「ん、エリ姉のこと、ありがと。」
「エリネ?」
「エリスのことだよルーク殿。リリー殿下にはエリスもよくしてもらっているんだ。」
「それを言うためだけに来たのか。律儀なことだな。まぁせっかく来たんだ、こんな田舎なら鯱張らなくてもいいだろ。ゆっくり遊んでいけばいいさ。」
「あそぶ・・・?」
「ああ。友達と遊んだことはあるかい?」
「な、ない・・・。」
「よし、それじゃあせっかく皆揃ってるんだ。チームを組んで鬼ごっこでもするか!」
「ク、クラウド!?」
「・・・いや、面白そうだ。よし、いっちょやるか!」
ルークが王族にさせる事では無いと驚いたが、バダックが乗り気となった事で鬼ごっこの開催が決まる。
「しかし、私たちと子供では勝負にならないのでは?」
コーランが子供が勝てないと心配している。
「むぅ、こどもじゃない・・もん。」
「頑張るぞ~!」
「ルークにリリー殿下も張り切るのは良いが無理は駄目だぞ。それにちゃんとルールでカバーするさ。」
クラウドが鬼ごっこのルールを知らせる。
一、チームメンバーは手を繋がなければならない。逃げる最中に手が離れるとペナルティとして10秒間動けなくなる。
二、鬼に捕まったメンバーは決まった場所に集められるが、まだ捕まってないメンバーがタッチすると逃げる事ができる。
三、逃げる場所は村長の家から中央の広場まで。
「そうか、これなら確かに子供と大人で組めばゲームになるな。」
「感心してるところ悪いが、バダックさんのパートナーは子供じゃないぞ?」
「何?」
そう言うクラウドに理由を聞こうとしたバダックはクラウドの指がある人を指している事に気付く。
「え、わ、私もするんですか?」
「ああ、いいリハビリになるだろう?」
「ほう、そう来たか・・・。だが、そうとなったら手加減出来んぞ。エリスに格好の悪いとこは見せられんからな!」
バダックのセリフにエリスが笑っている。
みんなが外に出ていく。ちなみにチームメンバーは、
クラウド&ルーク(鬼)
バダック&エリス
リリー&ドミニカ
タニア&マーサ
コーラン&バート(目隠し)
と決まった。
「クラウド様、いくらハンデでも目隠しは酷くないですかね・・・?」
コーランが尋ねる。
「仕方ないだろ?大人同士なんだから頑張ればいけるって。」
クラウドの一言に皆が笑っていた。そして、昼ごはんになるまでの間第一回鬼ごっこ大会が開かれるのであった。
「ク、クラウド、そんなに引っ張らないでよー。」
「こ、こらっ、何処に行くんだバート!」
「見えないんだから仕方ないだろっ!」
「こ、こっち来て・・・る!」
「ちょっとクラウド様、リリー殿下は初めてなんですからいきなり狙わないで下さい!!」
「ふはは、遊びとは真剣だからこそ楽しいのだ!」
「お、おばあちゃん大丈夫?」
「ふんっ、ルークなんぞに捕まるもんかねっ!」
「きゃっ、あ、貴方~!」
笑い声が飛び交う中、思い思いに楽しんだ一行は昼食の時間には誰もがヘトヘトになっていたのであった。
そのまま中に案内され居間の扉が開けられる。その中に居たのはバダックとその妻エリス、執事のコーラン、家宰のバート、メイド長のドミニカと見知った面々の他にあと1人。
サラサラの金髪はふんわりと緩くカーブしながら腰まで届いている。年の頃は10歳くらいだろうか。幼い顔で非常に愛らしい。人見知りをするようでクラウド達を見てモジモジしている。
「やあクラウド殿。といってもほんの2週間ぶりだが。」
クラウド達が入って来たのを見てバダックが声をかけてきた。
「全くだ。随分と暇があるんだな領主って仕事は。」
笑いながらクラウドがバダックをからかうが、それを聞いて驚いているのはマーサ達トント村の面々である。
「ちょ、ちょっと、クラウド!」
タニアが慌ててクラウドを見るが、それを聞いても言われた当人は涼しい顔をしている。
「ははは、構わないんだよ。貴女がタニアさんかい?直接会って礼を言いたかったんだ。嫌がるクラウド殿をミルトアに行くよう説得してくれたと聞いている。本当にありがとう。」
領主から名を呼ばれるとは思って無かったタニアが驚いて返事を噛む。
「ふわっ!?ふわい!」
ぷっと吹き出したのはルークであった。
「お姉ちゃん、ふわいだって!」
そう言いながらケタケタ笑っている。
「バ、バダック様?」
状況が理解出来なかったロデリックがバダックに声をかけた。
「ふふ、すまんすまん。驚かす気は無かったんだがな。でもまぁ、見ての通りだ。エリスを助けてくれた2人は私の大恩人。領主では無く友人として付き合ってもらっているんだ。」
「こっちがマーサさん、ルークとタニアの婆ちゃんさ。俺が頭が上がらない、怖いお人だ。」
「はっはっは!クラウド殿が頭が上がらないとはな!」
「こんな場で何言ってんだい。」
マーサ婆さんが呆れている。
「それでこちらの方が?」
怒られない内にとクラウドはさっさと話しを変えた。
「ああ、リリー殿下だ。」
バダックが少女を紹介する。皆の視線を向けられた少女はビクッとした後小さな声で話しだした。
「わ、私リリー。」
それを聞いたルーク達。バダックとのやり取りで呆気に取られていたため殿下が来たという話しを忘れていたようだ。
「わ、わっ!」
皆が急いで床に跪(ひざまず)こうとするがそれを止めたのはリリー本人であった。
「ん、と、しないで。」
「あぁ、皆そのままで大丈夫だよ。」
言葉足らずなリリーの後をバダックが補足する。
リリー殿下は人見知りであり、また王族として特別扱いされることを嫌うと説明したのだが、それがかつて王族であるため交渉材料にしようとしたもの達により誘拐されかけたことが原因であることをバダックは知らない。
「ん、エリ姉のこと、ありがと。」
「エリネ?」
「エリスのことだよルーク殿。リリー殿下にはエリスもよくしてもらっているんだ。」
「それを言うためだけに来たのか。律儀なことだな。まぁせっかく来たんだ、こんな田舎なら鯱張らなくてもいいだろ。ゆっくり遊んでいけばいいさ。」
「あそぶ・・・?」
「ああ。友達と遊んだことはあるかい?」
「な、ない・・・。」
「よし、それじゃあせっかく皆揃ってるんだ。チームを組んで鬼ごっこでもするか!」
「ク、クラウド!?」
「・・・いや、面白そうだ。よし、いっちょやるか!」
ルークが王族にさせる事では無いと驚いたが、バダックが乗り気となった事で鬼ごっこの開催が決まる。
「しかし、私たちと子供では勝負にならないのでは?」
コーランが子供が勝てないと心配している。
「むぅ、こどもじゃない・・もん。」
「頑張るぞ~!」
「ルークにリリー殿下も張り切るのは良いが無理は駄目だぞ。それにちゃんとルールでカバーするさ。」
クラウドが鬼ごっこのルールを知らせる。
一、チームメンバーは手を繋がなければならない。逃げる最中に手が離れるとペナルティとして10秒間動けなくなる。
二、鬼に捕まったメンバーは決まった場所に集められるが、まだ捕まってないメンバーがタッチすると逃げる事ができる。
三、逃げる場所は村長の家から中央の広場まで。
「そうか、これなら確かに子供と大人で組めばゲームになるな。」
「感心してるところ悪いが、バダックさんのパートナーは子供じゃないぞ?」
「何?」
そう言うクラウドに理由を聞こうとしたバダックはクラウドの指がある人を指している事に気付く。
「え、わ、私もするんですか?」
「ああ、いいリハビリになるだろう?」
「ほう、そう来たか・・・。だが、そうとなったら手加減出来んぞ。エリスに格好の悪いとこは見せられんからな!」
バダックのセリフにエリスが笑っている。
みんなが外に出ていく。ちなみにチームメンバーは、
クラウド&ルーク(鬼)
バダック&エリス
リリー&ドミニカ
タニア&マーサ
コーラン&バート(目隠し)
と決まった。
「クラウド様、いくらハンデでも目隠しは酷くないですかね・・・?」
コーランが尋ねる。
「仕方ないだろ?大人同士なんだから頑張ればいけるって。」
クラウドの一言に皆が笑っていた。そして、昼ごはんになるまでの間第一回鬼ごっこ大会が開かれるのであった。
「ク、クラウド、そんなに引っ張らないでよー。」
「こ、こらっ、何処に行くんだバート!」
「見えないんだから仕方ないだろっ!」
「こ、こっち来て・・・る!」
「ちょっとクラウド様、リリー殿下は初めてなんですからいきなり狙わないで下さい!!」
「ふはは、遊びとは真剣だからこそ楽しいのだ!」
「お、おばあちゃん大丈夫?」
「ふんっ、ルークなんぞに捕まるもんかねっ!」
「きゃっ、あ、貴方~!」
笑い声が飛び交う中、思い思いに楽しんだ一行は昼食の時間には誰もがヘトヘトになっていたのであった。
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